伊香保温泉群馬県

処々や (伊香保温泉) ★4.5

カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉
(本泉 <混合泉>)
40.9度 / ph6.4 / H9.7.18
Na+ = 105 / K+ = 10.2 / Mg++ = 29.5 / Ca++ = 142
Fe++ = 8.28 / Mh++ = 1.42 / Cl- = 118 / SO4– = 301
HCO3- = 282 / H2SiO3 = 177 / HBO2 = 7.7 / CO2 = 98.6
成分総量 = 1280mg

群馬県渋川市伊香保町伊香保
0279-72-2156
男女別内湯 ・ 貸切風呂
500円 (蕎麦を食べれば無料)
営業時間 要相談

今まで何故か避けていた伊香保温泉。
るるぶやじゃらんの影響か、部屋付き露天風呂のお宿とかばかりがクローズアップされて、お湯を大切にしない歓楽温泉街と言うイメージが強く、来る気がしなかったのです。
でも、色々と調べる中で、伊香保にも私好みの所があると知り、行ってみました。

まず最初の1軒目は、有名な石段街を登りきった所にある伊香保焼き(たこ焼き)のお店。
店頭でたこ焼きを売っており、内部は「睦庵」と言うお蕎麦屋さんで、座敷に上がって頂く事が出来ます。
まぁ、それだけならば、観光地でよく見かけるお店でしか無いのですが、なんとココで立ち寄り入浴が出来るのです。
しかも、入浴料は、食事をすればタダと言うから嬉しい限り!
何故たこ焼き&蕎麦のお店に温泉が引かれているかと言うと、ここは古くは「叶屋旅館」として温泉宿を営業していたそうなのです。
ただ、施設が古くなった事と、少し離れた場所に、自前のケーブルカーまである超立派な「景風流の宿かのうや」が完成したので、お宿としての役目を終え、改装した後に現在の「処々や」になったのだとか。

お蕎麦屋さんの中に入ると、お出迎えしてくれたのは、とても気さくな女将さん。お風呂に入りたいと告げると、「あら!いいわよ~!先に食べてから入る?入ってから食べる?」と仰る。
先にお風呂をお願いすると、「コッチです~!」と、陽気に案内。趣ある店内にある、怪しげなドアを開けると、なんとそこは浴室。
店内は雰囲気良くてお洒落なのですが、ココだけ雰囲気が違います。なんか、ジモ専のような雰囲気です。

脱衣所はウナギの寝床みたいな、手狭な物。入って最初の脱衣所が男性用。
女性用はその奥にありますが、利用するには男性用を通過しなければいけない仕組み。お風呂はちゃんと男女別に別れています。
女将さん、「こっち男用ね!」「奥は女性の方のお風呂です~!」と、一通り説明して、最後に、「別に他にお客さん入れないから、好きな方入っちゃって!」「ごゆっくり~!」と言って出て行かれました。
なんか、とても楽しそうにお仕事をされていて、素敵な方です。

さて、そのお風呂。小さな男湯と、さらに小さな女湯。伊香保にこんなマニアックなお湯があったのかと、思わず絶句してしまいます。
「お洒落な浴衣でカレのハートをゲット♪」「憧れの部屋付き露天風呂」などと言う、伊香保のイメージが音を立てて崩れ去りました。
お湯は黄土色に濁る、敢えて言葉を悪く表現すると「泥水」のような感じの物です。
るるぶ&じゃらんを片手に、カレとお洒落に石段街を散策したい女性が見たら、悲鳴を上げてしまいそうです。
しかし、これが本来の伊香保のお湯。温泉好きには、この手付かずでピュアなお湯が有難い事この上無いのです!

早速入ってみましょう。お湯は意外と温めで、41度くらい。ずっと浸かったままで入れる温度です。
見た目に狭い湯船ですが、浴槽は思いの他深く、お尻を少し浮かせて入る体勢になります。
お湯は泥臭い金気臭。以前石段の湯に入った事がありますが、それと比べると、全く別源泉と言っても過言では無いほどに、個性的で、エグいです。

湯口は湯船の奥、小さな窓状の小部屋(?)にありました。打たせ湯のように、高い所からドボドボと注がれています。
お湯を口に含んで見ると、実に不味い。エグい金気味がして、飲泉に抵抗が無い私でも吐き出したくなってしまう程の味です。

ちなみにこの小部屋は、男女湯両方と繋がっており、身を屈めて通れば、お湯に浸かったまま男女湯を行き来出来ます。
女性にとっては、覗かれてしまうのでは無いかと、少し不安になる作りですが、今では貸切で利用しているみたいですし、問題ありません。
それにしても、凄い浴室です。一体いつまでココが旅館として使用されていたのかは不明ですが、今の「かのうや」さんからは、全く想像も付かない、クラシック過ぎる浴室でした。

浴後、2階のお座敷でお蕎麦と伊香保焼き(たこ焼き)を頂きました。
たこ焼きは外がカリっとしていて、中はクリーミー!6個で400円です。高からず安からずの観光地価格ですが、石段街散策の際にフラリと軒先で食べるには良さそう!
お蕎麦は、細麺で上品な物です。大盛りを注文したのですが、見た目が少ないです。でも、麺が細い為にギッシリ詰まっており、食後は満腹になりました。
お味は、上品な蕎麦の香りを喉越しよく頂ける、なかなか美味しい物です。
私の理想は、ガッツリと野性的な蕎麦の香りを、ゴワゴワに硬い太麺で頂く、山形蕎麦なのですが、それから比べると対極のようなお蕎麦。でも、良い物は良いって事で、しっかり美味しく頂けました。

私の中で「るるぶ&じゃらん系」と決めてかかっていた伊香保温泉の株が、一気にストップ高まで急騰した、実に素晴らしく、かつ、マニアックな一湯でした。

2008-4/12

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