大分県湯布院温泉

荒木共同浴場 (由布院温泉) ★4.5

単純温泉?

大分県由布市湯布院町
男女別内湯
100円
24時間?

由布院に幾つかある共同浴場。その中でも、私が特に行きたかったのがここ、荒木共同浴場です。
なんと、線路のすぐ脇という、実に珍しい場所にあるのです。
色んな方のHPに掲載されている写真を見ましたが、実に良い風情で、写真越しにもその魅力が伝わってきます。

その荒木共同浴場。場所は何となく分かりますが、駐車場は無さそうですし、下手な所に停めて地元の方に迷惑を掛ける事はしたくありません。
と言う事で、とりあえず駅前の有料駐車場に愛車コペンを停めて、歩く事にしました。
駅から歩くこと、10分少々。線路沿いの通りを歩いていくと、行く先に写真で見た通りの湯小屋を発見しました。
もう少し迷うかと思ったのですが、実にあっけなく見つけてしまいました。
考えてみれば、線路沿いなので、迷う筈もありません。

ただ、発見したとはいえ、浴舎は線路の向こう側です。
はてどうしようと迷っていると、通りから線路へ降りていく為の階段があり、踏み切り状になって湯小屋へと続いています。
地元住人の方に踏み固められたであろう道は、どう見ても通って下さいと言わんばかりの物です。
実はそれと一緒に「線路には立ち入らぬよう云々」と書かれた看板も見つけたのですが・・・すみません、横断してしまいました。

実際にたどり着いて外観を眺めてみると、なんとも素晴らしい風情に改めて感心させられます。
本当にすぐ真横が線路なのです。
外観写真を撮りながら、これで電車が走ってくれれば良い絵が撮れるのにと思ってみるも、そう言えば来る途中も電車が走る姿を見ていません。
どうやら本数が少ないようです。いつ来るとも分からぬ電車を待っていても仕方が無いので、さっさとお風呂に入る事にしました。
料金はわずか100円です。入り口に料金箱があり、そこに投入する仕組みになっていました。

さて、その湯小屋内部。外観からも期待出来る通りの、小ぢんまりしていて風情溢れる物です。
靴を脱いで中に入ると、脱衣所と洗い場が一体になっています。掛け湯の際などは気をつけないと洗い場のスノコが水浸しになりそうです。
こう言うプリミティブな共同浴場は大好きです。

思わず写真をバシバシ撮っていると、気付いたら後ろにオジサン。一眼レフで湯船の写真を撮っている私を怪訝な表情で見ています。うん、自分自身で想像してみても、怪しい人ですよね。
「えぇと、温泉が好きで湯めぐりしてまして・・・」「旅の記念に写真を・・・」などと、シドロモドロに説明をしつつ、撮影を中断し、服を脱いでお風呂へ。
オジサンもほぼ同じタイミングで服を脱ぎ、一緒に入浴と相成りました。

湯船に張られたお湯は、無色透明で、ほんのり潮系の温泉臭が漂う、アッサリした物です。
成分表が無いのでよく分かりませんが、恐らく塩化物泉に近い単純温泉と思われます。
肌触りは、湯船の中だと僅かに滑る感じがしますが、湯船から出るとシットリする感じです。
コンクリートの湯船が鄙びた風情を更に雰囲気良くしています。その湯船に張られたお湯は、少し熱めの44度くらいでしょうか。
長湯するには少々きついですが、どっぷり浸かると気持ちの良い汗を掻ける、良い温度です。
一角にある湯口から50度オーバーのお湯が静かに注がれています。湯口の一角は、源泉を貯め奥マスのようになっており、飲泉用のコップが備え付けられています。口に含んだ所、ごく僅かな薬味を感じました。

手狭な浴室ですので、一緒に入っていたオジサンと、自然に会話が始まります。オジサンはこの地元出身の方だそうです。
今は他所で働いているけど、たまに戻ってきたらこのお風呂を利用するのだとか。生まれ育った環境に温泉があるなんて、羨ましい話です。
私と同じように、温泉めぐりで入りに来る人は珍しくないそうです。写真撮影している怪しい姿を見られてしまいましたが、地元の方からすると、案外珍しくもない光景なのかも知れません。
「ブログでもやっているの?」と聞かれたので、たまたま持ち合わせていた名刺をお渡ししてみました。このページご覧になられているかなぁ・・・?
その節は、貴重なお話を有難う御座いました。

風情が共同浴場に、気持ちの良いお湯、そして、地元の方とのひと時の触れ合い。
この荒木共同浴場には、私が求める温泉めぐりの醍醐味が濃縮されていました。
支払ったお金はたったの100円でしたが、それ以上の見返りと、思い出を貰う事が出来た、とても素晴らしい一湯でした。

2010-4/29

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