群馬県

常布の滝下温泉(常布の滝下温泉)

酸性・含鉄 塩化物泉 ?

吾妻郡草津町
野湯なので年中無休ですが、夏場向きです

「常布の滝」は、日本の滝百選にも選ばれている、謂わば日本を代表する滝の一つです。
しかし、かなりの難所にあり、ある程度の覚悟を決めて山登りする必要があるため、誰でも気軽に見物という訳にはいきません。
何でこんな難所の滝が百選に選ばれているのだろうという話はおいて置いて、この常布の滝近くに野湯がある事は、温泉通の間では比較的有名な話です。
実際の常布の滝は落差70メートルにも及ぶ大瀑布なのですが、その下流に落差5-6メートルの滝があり、すぐ脇にお湯が沸いていて野湯になっているという話です。
「常布の滝下温泉」などと呼ばれるその温泉は、周囲の景観が抜群に優れており、私も常々行ってみたいと思っていました。

そして2005年6月15日。遂に念願だった常布の滝下温泉へいく機会に恵まれました。
今回のお供は、ネットで知り合った写真仲間のακιο(あきお)さんです。
ακιοさんは私みたいな温泉マニアではないのですが、良い風景写真を撮る事が出来そうだと言う事もあり、ご同行頂ける事になりました。

さて、行きかたですが、角にセブンイレブンがある「草津」交差点から国道292号線を走り、西の河原公園無料駐車場を横目に天狗山レストハウスを過ぎると道は左にカーブします。左カーブが終わったすぐの右側に小道があるのでそこに入って下さい。
そのまま進むと草津志賀道路に入るのですが、道路状況を知らせる電光掲示板まで行ってしまうと行き過ぎですので引き返してください。

さて、その小道を進むと、道幅はだんだんと狭くなり、道路の舗装状況も悪くなってきます。そのうちに車では進めないような荒れた路面になると思いますので、そこで下車。あとは徒歩でその先に進みます。
上り坂なので少々しんどいですが、頑張って歩きます。

暫くすると、道はヘアピン状のカーブになり、左手に「谷沢川第三ダム」というのが見えてきます。この辺までくると、巨大な落石が道の中央に鎮座していたりしますが、気にせずどんどん先を目指してください。
ヘアピンカーブの地点から100メートルほど歩くと、湧水が飲めるポイントがありまが、上り坂はまだまだ続きますので、飲みすぎに注意してください。

舗装された坂道を登りきると、「常布の滝展望台」につきます。
私とακιοさんはここでひとまず休憩。
なお、この展望台、名前の示すとおり常布の滝を見ることが出来るのですが、滝は遥か遠くかなたにあり、豆粒のような大きさにしか見えません。
私たちは最初見つける事が出来ず、てっきり茂った木の葉っぱで隠れているのかと勘違いしてしまいました。

展望台で一息入れた私たちは、今度は未舗装の登山道をひたすら登ります。
5分ほど歩くと、右手に「常布の滝遊歩道」の看板が見えてきますので、遊歩道に入ってください。

なお、遊歩道と言う言葉の響きに騙されてはいけません。
看板には「上級者向けコース」で「登山に自信の無い方はご遠慮下さい」とあります。、
何だか、「警告したからね」「あとは知らね~!」って投げやりな感じがとても素敵です。

遊歩道に入ってからは暫くの間下り坂が続きます。
下車してからずっと上り坂だったので、とても救われた気分です。(帰り道の事を考えると気が重くなりますが・・・)

しかし、そんな安らぎの一時も一瞬で終わります。
下っていくにつれて遊歩道はどんどん狭くなり、最終的にはロープやリボンを目印に歩く、獣道のようになってしまいます。
当然ですが舗装などされておらず、落ち葉で滑って足を踏み外したらどこまででも転げ落ちて行けそうです。

途中、道の傾斜が45度位に傾いている所などもあり、ロープで使って落ちないようにしながら先に進みます。何だか「ファイト一発」な気分。
落ちたらかすり傷では済まないような急斜面もありますので、足場には十分に注意をして進んで下さい。

暫くすると沢が見えてきて、滝が2箇所見下ろせる地点に辿り着きます。
進行方向奥の滝が今回の目的地です。遊歩道を外れて滝を目指してください。(ちなみに、この山道をそのまま進むと、常布の滝につくみたいです。)

遊歩道から滝までの距離は30メートル程度ですが、足場が無く、体を支えるロープもありませんので、ゆっくり慎重に。
滝に辿り着くと、色んなホームページで見慣れた常布の滝下温泉が眼前にありました。
写真ではなく本物を目の前にすると喜びもヒトシオです。
ちなみに、ここまでの所要時間は休み休み歩いておよそ1時間半です。

↑加水されまくりの湯船は湯温26度でした
さて、記念撮影を済ませた後、早速入浴です。岩と岩の隙間に作られた天然の浴槽は滝の真横にあり、物凄い迫力があります。
広さはちょうど一人分といった感じで、二人同時に入るのは窮屈そうです。
とりあえず私が先陣を切って入浴する事にしました。
服を脱ぎ、素っ裸になって岩間へと向かう。裸で転んで怪我でもしよう物なら、かなり格好悪いので、慎重に進みます。

で、湯船についたのですが、肝心のお湯は・・・冷たい!
持参の温度計で計ったところ、26度しかありませんでした。
それもそのはず、源泉温度は41度あり、良い勢いで溢れているのですが、それ以上の勢いで滝の水が湯船の中に流れ落ちてしまっているからです。
当然長湯は出来ず、3分も入っていなかったかも知れません。
お湯の観察だけして早々に出てきてしまいました。

お湯の印象ですが金気臭を含む土類系の臭いがしました。
肌触りはサラサラ・・・だと思うのですが、単に鳥肌でサラサラに感じるだけなのかも知れません。
ごく僅かに酸味を感じるお湯で、ここも草津なんだな~と思いました。

なお、ακιοさんも折角来たのだからと入浴されていましたが、入浴時間は私よりも短く、1分にも満たなかったと思います。ほぼ記念撮影だけして終了。
「私たちはこんな山奥まで来て、一体何をしているんだろう・・・」という、軽い脱力感を覚える。
しかしながら、自然に囲まれた景色の良い所なので、休憩兼を兼ねて、写真撮影を小一時間ほど楽しみました。

帰り道は今来た道を逆に行きます。
常布の滝遊歩道だけは上り坂ですが、あとはずっと下り坂なので、行きよりもだいぶ楽です。
迷わなかった事もあり、帰り道は1時間未満で車がある所まで戻る事が出来ました。
普段運動不足な私にとっては、良い運動になりました。

行くまで大変ですし、お湯はぬるかったですし、泉質が際立って良かったわけでもないですし・・・
「快適で良いお湯をゆっくりと」と考えている人には、あまりお勧め出来るところではありません。
しかし、辿り着いた時の達成感や、周囲の環境は抜群に良い所なので、野湯好きな人や野湯に興味がある人にはとても良い所だと思います。
頻繁に行くような所ではありませんが、2.3年に一度くらいのペースであれば、何度でも行ってみたい所だと思いました。

なお、この常布の滝下温泉の近くに、草津で最強の酸性地を誇り、成分も他所を抜きん出て素晴らしいと言われる「香草温泉」があります。
勿論野湯で、道のりはここよりも遥かに険しいそうですが、いつか入ってみたいものですね。

2005-6/12

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