アルカリ性単純温泉
(駒の湯温泉2号源泉)
32.1度 / ph8.6 / 1840L / 掘削自噴 / H6.12.20
Na+ = 16.5 / K+ = 0.5 / Ca++ = 36.3 / Cl- = 8.2
F- = 0.8 / SO4– = 91.2 / HS- = 0.1 / HCO3- = 23.2
CO3– = 1.2 / H2SiO3 = 22.7 / HBO2 = 0.5
成分総計 = 201.5mg
新潟県魚沼市大湯温泉719-1
025-795-2126
090-2560-0305 (衛星電話)
男女別内湯 ・ 混浴露天 ・ 貸切露天
500円
8:00 – 17:00 (受付は16時まで)
前々からずっと気になっていた、新潟県の駒の湯温泉。本当はもっと早くに訪れたかったのですが、良いところだとは知りつつ、来ることが出来なかったのには、訳があります。
まず、温い事。源泉温度が33度と温く、夏向きなのです。必然的に夏しか訪れる事が出来なくなります。
また、温いので、ゆっくり浸かっていたくなってしまい、はしご湯で立ち寄るには向かない事も挙げられます。
さらに、立ち寄り入浴だと離れの内湯しか利用出来ず、露天が使えないのです。
そうなると、夏の時期に宿泊すると言う選択肢しか残らず、今まで来ることが出来ませんでした。
今回やっと機会を得て宿泊する事が出来た次第です。
まずは、お宿について。場所は関越道の小出ICから出て、車で20分程度です。国道からそれて、山の中にある一軒宿ですが、道路はちゃんと舗装されていて、アクセスに便利な所です。
東京からだと、3時間で行けてしまいます。こんなに近かったとは・・・
お宿の外観は山小屋風で、アットホームで落ち着ける物です。車を停めたら、中から従業員さんが出てきました。
泊まりと告げると、荷物を持ってくれたりと、感じの良い対応です。
お部屋は本館で、1部屋2名の宿泊で、1泊たったの9000円。土曜日でこの金額なのはちょっと嬉しいです。しかも、日本秘湯を守る会の会員宿で、ちゃんとスタンプを貰えます。
ちなみに、私ですが、この秘湯会はあまり好きではありません。
伊豆や鳴子なんかの秘湯でも何でも無い所の宿が加盟していたり、仮に秘湯にあったとしても、周囲の旅館より明らかに豪勢な造りで、一人勝ちしているようなイメージがあったり・・・
でも、中には良いお宿も加盟していますので、ちゃっかりとスタンプを集めていたりします。
我ながら、ポリシーの無さに、脱帽です。(笑)
閑話休題
で、通されたお部屋は、ごろりと寝るだけの、とてもシンプルな物です。
部屋の照明はランプだけ。2個あり、ひとつは電気、もうひとつは灯油を使った本物のランプです。
自家発電をしているらしく、完全にランプだけで無いのはちょっと寂しい気がしないでもありませんが、こういう非日常は嬉しいですね。
どんなに手狭で、シンプルな部屋でも、ランプの光に照らされるだけで、どんなに飾り立てた豪華な部屋より寛ぐ事が出来ます。
食事は、部屋だしではなく、食堂に集まって頂きます。
食堂に来てみてビックリ。満室なのでしょうか、結構多くの人が席に着いていました。
お料理は地の物を中心に一品一品とても手が込んでいる物です。食事中に女将さんがいろいろと説明をして下さいます。
何より、ご飯がとても美味しい!流石は米どころの新潟です。
1泊9000円と言う金額を考えたら、この食事内容はオーバースペックと言える程に充実しています。
さてさて、肝心のお湯。
まずは、日帰りでも利用出来る、離れの内湯に行ってみました。
こちらには、女性専用の小さな浴室と、混浴の大きな浴室があります。
当然私は、混浴の大きな浴室を利用する事になります。
服を脱いで、浴室に入ったのですが・・・
余りの湯量に、一緒に訪れた友人と大爆笑してしまいました。
何と言う事でしょうか。これは、配水管の故障か、はたまた、噴水のつもりなんですかねぇ。
湯船の中央に湯口があり、お湯が垂直に、どばどばと噴出しています。
その湯量たるや凄まじくて、オーバーフローしたお湯は、まるで沢のように、排水溝から流れ去っています。
こんなにアホな量の掛け流しは・・・例えば、霧島ホテルなど、大きな浴槽だったらともかく、この規模の内湯でこの湯量は他に例を見ません。
試しに、ケロリン桶をさっとお湯に通してみたところ、一瞬で桶がお湯で満たされました。秒間2~3ケロリン程の湯量があると推測されます。
そのお湯の感触。まず、一番の特徴は、温い事です。33~34度程しかありません。
しかし、体温が奪われる程の冷たさでは無いので、いつまでもずっと入っている事が出来ます。
私は食事の後にこのお湯に1時間ぶっ通しで浸かっていましたが、それでも全然疲れませんでしたし、寒くもありませんでした。夏の時期には最適の温度です。
肌触りは、わずかにペタペタする感じがあります。湯船に浸かって暫くじっとしていると、無数の気泡が体に付着しました。
お湯からはほんのりと硫黄臭が香り、特徴もしっかりと感じることが出来ます。
一応書いておきますが、当然掛け流しです。加温も加水も循環も塩素消毒も一切していません。
と言うか、この湯量で加温したり、一定濃度を保つだけの塩素を投入していたとしたら、恐ろしい金額になりそうです。
お湯を口に含んでみたところ、わずかに甘い硫黄味と、少しだけ渋味を感じました。
ごく微量の金気成分も含まれている様子です。
それにしても、凄まじい湯量に圧倒。顔より遥かに高い位置まで噴水が達しているのです。
ざばざばと注がれるせいで、浴槽内のお湯は常に揺れており、お湯もばしゃばしゃと跳ねます。
ちなみに、この源泉の湧出量は、1分間に1800リットルだそうです。つまり、1秒間に30リットルな訳で・・・1.5リットルのペットボトルが毎秒20本な訳ですね。
すでに想像すら出来ない湯量ですが、凄まじい事だけは確かです。
まぁ、その源泉は、女性専用風呂だったり、貸し切り風呂なんかにも供給されている訳ですけれどもね。
あぁ、書き忘れるところでした。一応、加温浴槽もあります。
源泉を暖めた物で、体を温める為の物で、必要に応じて蛇口からお湯を注ぎ足す、汲み置きのような湯船です。
ずっと温いお湯だけに浸かり、たまに暖かいお湯に入ると、とても気持ちよく感じますが、お湯そのものは必要に応じて加温されたお湯を注ぎ足す仕組みで、常時掛け流されている訳ではなく、鮮度はあまり宜しくありません。
まぁ、ここのお湯は、あえて評価する必要無いかな?
ただ、温度が高い分、硫黄臭などは強く感じます。蛇口をひねると出てくる熱湯の匂いを嗅いでみたところ、硫黄臭のほかに、金気臭が熱せられた為に出たと思われる、少し生臭い匂いがしました。
ちなみに、他に利用者がいなかったので、女性専用の内湯も見学させて頂きました。
混浴に比べるとかなり手狭ですが、源泉浴槽と加温浴槽の両方がちゃんとあります。
源泉浴槽に注がれるお湯は、湯船の大きさから考えると、かなりの量です。
これはこれで気持ち良さそうですね。ただ、見た目のインパクトからすると、混浴浴槽に軍配があがりますね。
続いて、宿泊者以外は入ることが出来ない、内湯。
混浴と女性専用があります。
岩風呂になっており、離れと同じく、源泉浴槽と加温浴槽があります。
なかなか良い雰囲気ですね。源泉風呂の湯口からは、どばどばとお湯が注がれていますが、噴水湯口のインパクトからすると、味気なく感じてしまうほどです。
これでも一般的には凄まじい湯量だと思うんですけどね。噴水湯口がどうかしているだけなのです・・・
ちなみに私は、こちらには見学だけで、入りませんでした。
お次は、貸し切りの露天風呂。内湯の先にあります。
2箇所あり、開いていればいつでも好きなように利用して良いそうです。
上段と下段があり、まずは上段から。
入ってビックリ。なんと、テラスのように広々とした空間が広がっています。
当然駄目なのですが、思わずバーベキューとかしたくなってしまうような、素敵な造りです。
お風呂はその一角にありました。岩で組まれており、加温浴槽と源泉浴槽の二つがあります。
源泉は噴水湯口がある離れと同じなので、浴感などについての説明は割愛。
ちなみに私は、夜中に入ったので、気がつきませんでしたが、天幕が赤いので、日中に利用すると妙に怪しい雰囲気になります。
でも、この開放感と、この空間をプライベートに利用出来る贅沢は素晴らしいの一言に尽きます。
子供連れなんかにはピッタリでしょうね!
続いて、下段の貸し切り風呂。こちらは、上段のテラス部分が屋根になっており、テラスはありません。
上段に比べると手狭ですが、それでも十分過ぎるほどに快適な空間になっています。
上段のお風呂が、家族でテラスを利用する為の物だとしたら、下段は純粋にお風呂メインで利用したい人向けかも知れません。
湯船の位置が手前側なので、外の景色を眺めながらゆったりと入ることが出来ます。
温い源泉風呂と、加温浴槽で、行ったり来たりしていると、時間が過ぎるのを忘れてしまいます。
私は、朝食を食べてから、チェックアウトぎりぎりまでの間、この下段の貸し切り風呂を利用させて頂きました。
緑に囲まれてとても気持ちが良かったです!
最後に、混浴の露天風呂。
ある意味において、ココがこの旅館の目玉かも知れません。
サンダルに履き替えて崖下に降りたところにあります。
脱衣所は男女別ですが、お風呂は混浴。女性には少々入りづらいですが、タオル巻きがOKなので、敷居は低いです。
女性用のタオルは、サンダルが置かれている所の脇に沢山置かれています。
それにしても、ここの風情は、素晴らしいと言うより他ありません。
言葉にしても伝わらないので、とりあえず、私が撮ってきた写真を見てくださいとしか言いようがありません!
目の前に川が流れる開放的な露天風呂。なんとなく、木賊や、壁湯あたりを彷彿とさせられます。
そして、特筆すべきは、お湯。なんとココは別源泉なのだそうです。湯量は毎分300Lだそうで、それがすべて、この露天に注がれています。
特徴的なのは、そのお湯が注がれる湯口です。まず1本、パイプでざぶざぶと注がれています。
もう一本お湯の中に突き刺さっており、ココからも物凄い勢いで注がれています。
そして何より不思議なのが、まるで融雪用に玄関先とかに置かれているような、パイプに穴が明けられてそこからピューっと櫛状に源泉が注がれている湯口です。
これらの湯口から容赦なく注がれるお湯で、湯船からはお湯が盛大にオーバーフロー、と言うか、まるで沢のように、湯船から溢れ出しています。
お湯の印象ですが、噴水湯口などがある他所とあまり変わりありません。
微硫黄臭+わずかな金気臭。ただ、こちらの方が、少しだけ臭いが強いような気がします。
また、お湯が浴槽内からも共有されているせいでしょうか、泡つきが非常に良いです。
入ってすぐに、全身気泡だらけになります。
湯船は狭く、がんばって詰めて、せいぜい4人分と言った程度です。それとは別に加温浴槽もあり、こちらは2人分でしょうか。
狭い湯船にこの湯量。湯船に対する源泉投入量は、今まで私が入った事のある温泉の中ではピカイチです!
しかし、難点がひとつ。余りの湯量で、落ち着きません。(笑)
しかも、櫛状に注がれるお湯が、顔に跳ねるので、うまい具合に居場所を探さなければなりません。
まぁ、嬉しい悲鳴なんですけどね。
居心地が悪くなってしまう程の湯量なんて、今までにありませんでした。凄いの一言です!
いやぁ・・・
それにしても、本当に凄いです!
お湯最高。ランプの雰囲気も素晴らしく、ご飯美味しい!しかも、安い!
これ以上望む事なんてありません。
こんなに素晴らしいお湯なのに、今まで理由をつけて後回しにしていたとは・・・
もっと早く来るべきだったと思いました。
毎年1度ではなく、夏場は毎月1度来たいくらいの、素晴らしいお湯です!
来年いつ来ようかな・・・?ではなく、「今年もう一度来れないかな?」と、真剣に考えながら、お宿を後にしました。
是非とも泊まりで利用して欲しい一湯です!
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