北海道

五色温泉 別館 (ニセコ五色温泉) ★4.5

酸性・含硫黄-マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
(源泉名:五色温泉)
73.6度 / ph2.0 / 自然湧出 / R3.10.7
H+ = 10.0 / Na+ = 401.4 / K+ = 101.2 / NH4+ = 4.4
Mg+ = 327.7 / Ca+ = 319.6 / Al+ = 48.9 / Mn+ = 15.7
Fe++ = 0.2 / Fe+++ = 0.3 / Zn+ = 1.6
F- = 15.5 / Cl- = 1187 / S2O3- = 1.1 / SO4- = 1725
HSO4- = 581 / H2PO4- = O.1 / Br- = 2.8
H2SiO3 = 253.8 / HBO3 = 36.2 / HAsO2 = 0.2 / H2SO4 = 14.7
CO2 = 76.8 / H2S = 4.5
成分総計 = 5129mg

北海道虻田郡ニセコ町ニセコ510
0136-58-2707 (本館連絡先)
男女別内湯・露天風呂
宿泊者専用、日帰り入浴不可

この日のお宿、ニセコ五色温泉の別館です。

今回の北海道旅行では前もって色々と計画を立てて来たのですが、宿泊場所は特に悩みました。
翌日は苫小牧からフェリーに乗って帰路につくので、そこからあまり離れ過ぎず、最終日の湯めぐりを始めるに便利な場所が良かったのです。
ここ以外だと登別や長万部、蟠渓、白老、濁川辺りも候補でした。
そんな中でも五色温泉は苫小牧からも程よい距離だし、周辺にも良い温泉が沢山ありますし、何とお湯が良いですからね!
立ち寄りではなくじっくり入りたかったので、最終的に五色温泉を選びました。

五色温泉と言えば、立ち寄り入浴を受け付けている本館の方が圧倒的に有名です。
というか、別館がある事を知らない人の方が多いのでは?
でも、今回はその本館ではなく別館です。
別館を選んだ理由は至ってシンプル、別館は日帰り入浴を受け付けていないので、宿泊しなければ入れないんですよね。

別館に宿泊していれば本館の温泉に無料で入れるので一石二鳥です。
別館は素泊まりのみですが本館に比べて安いのも魅力的。(ひとりあたり一泊4220円~)
前日の宿泊先だった洞爺湖温泉のごきらく亭湖畔亭みたいな関係ですね。

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と言う訳で、別館を目指してバイクを走らせました。
別館は素泊まりだけなので、途中の倶知安でセイコーマートで夕食の買い出しを行い、そこから約15km、山の中に入ってしまえば信号はありませんので、およそ20分ほどです。
走っていて楽しい場所ですが、途中からは車同士だとすれ違うのも困難な細道になります。

そんな細道を抜けると、岩肌むき出しのガレ場が見えてきますが、そこが本日の目的地、五色温泉です。
五色温泉の周辺ではあちこちから温泉が湧いていて、周囲は硫黄臭で包まれていて、いかにも山の中の温泉とう荒涼とした雰囲気があります。

通りから入るとまずは砂利の駐車場があり、その先に本館があります。
本館の前にはこの日宿泊する人たちのと思われる車が何台も停まっていて、誰が見てもここがお宿だと分かります。
昔ながらの湯治場って感じで、素朴ながら雰囲気の良いお宿です。

で、今回私が泊まる別館はどこかと言うと、その本館から100メートルほど離れた所にあります。

え? ここ? って感じの場所にポツンと建っていました。

周囲には何もありませんので、別館の建物の存在は誰でも気がつくと思いますが、ぱっと見でこれが旅館には見えません。
本館と別館の間には温泉で出来た池があり、湯畑みたいになっていていました。

とても簡素な建物です。
言葉を選ばずに書くと粗末です。
まるで従業員用の宿舎みたいに見えます。
それに、建物前には1台も車が停まっていないので、従業員宿舎どころか、廃墟!?って雰囲気すら漂って来ます。

なんかちょっと不気味です。
近付いてはいけないようなオーラを放っているんですよね。(失礼)

建物近くまで行くと壁面に「五色温泉 別館 長壽乃湯」と書かれているので、ここがそれだと分かりますが、玄関の目立つところに「日帰り入浴はしていません」の張り紙が。
それはまぁともかく、「警 Warning 告」「無断侵入者 不法侵入により見つけ次第110番通報します」など、物騒な事も書かれています。
外国人観光客が多いせいでしょうね、ご丁寧に英語で「KEEP OUT」の張り紙もありました。

なんか、全然ウェルカムな感じがしません。
とりあえず私はこの別館の宿泊客ですし、ちゃんと本館で受付も済ませているので、少しドキドキしながらも中に入りました。

で、その中なのですが、これまた凄いです。
チェックインが遅く辺りが少し暗かったせいもありますが、建物の中が真っ暗なのです。
本館で鍵を貰う際に2階の部屋だと聞かされていたので、その部屋を探す訳ですが、階段あがった2階も真っ暗。
結論から言えば電気を点ければ良いだけなのですけど、初めて入る建物ですので、スイッチがどこにあるかなんか知る由もなく・・・
節電の為とは思いますが、せめて人感センサーでもつけて自動点灯にしてくれれば良いのにw

外観だけ見たらチョットとか、中に入ってみてうわぁ~って所はありますが、外から見ても中に入っても不気味なお宿ってのは珍しいですね。

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そんなこんなでやっとたどり着いたこの日のお部屋。
なんでしょうね、とてもシンプル、冷蔵庫とストーブとテーブルがあるだけです。
でもなんだろう、この部屋に辿り着くまでが不安だらけだったんで、緊張の糸が緩むような寛ぎの空間です。

もしかしたら今まで見て来た旅人を拒絶するようなアプローチですが、この部屋の温もりをより一層引き立てる為の演出なのかも知れません。(絶対そんな事はない)

部屋からの眺望はなにげに良いです。
ちょっと離れた所にある本館と、ポツンと1台だけ寂しく停まっている相棒(バイク)が良く見えます。

別館は基本的に従業員が常駐していません。
当然だけど本館には従業員がいます。

窓越しに本館を眺めていると、アッチの建物は快適そうで良いなぁ(別館も十分快適でしたよ!?)とか、きっとスタッフによる最高級のおもてなしを受けているのだろうなぁ(そんな高級旅館ではありませんけどね)とか、何だって自分はこんなところに隔離されているんだろう(そりゃアンタがコッチを予約したからだ!)とか、そんな気分を味わえます。

本館と別館の間にある湯溜まりが、渡ってはいけなかった三途の川にも見えてきます。

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なお、早めに書いておかないと怒られそうなのでこのレポートを締めくくる前に書きますけど、

私はこの別館のちょっと不気味な雰囲気、すごく楽しんでいますからね!?
ハッキリと断言しますが、私はツッコミどころの多いお宿が大好きです!

・・・アレ? フォローになっていませんでした? (;^ω^)

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と言う訳で、部屋にいてもやる事無いですし、お風呂です。
直前に本館のお風呂にも入っていますが、とても風情があって素晴らしかったです。
で、こちら別館はと言うと、本館ほどではないものの、これはこれで、なかなか良いお風呂です。

内湯と露天があり、湯舟がひとつずつあるだけです。
源泉は本館の物と基本的に同じなのですが、ちょっと印象が異なります。
一言で言うと、こちらの方が鮮度が良いです。
私が気付いた限りですけど、この日は別館には私の他にもう一組がいるだけのようでしたので、お湯が汚れないのでしょうね。

内湯と露天、基本的にお湯の印象はどちらも同じで、透明度が高く全く濁っている様子はありません。
少し青みがかっていていますが、とても澄んだお湯で、湯花もありません。

お湯からは僅かに硫黄臭がしますが、痕跡程度で、ほとんど感じません。
その他の臭いとしては、薬臭にも似た酸性臭。
湯口のお湯を嗅ぐと少しだけ硫黄臭を強く感じます。

浴感は肌を突き刺すようなビリビリする刺激と、ぬめり感もあります。
本館のレポートでも書きましたが、このぬめり感は所謂「うなぎ湯」などと呼ばれるトロトロ系とは異なり、実際に肌を溶かしているのでは!?と思うような感覚の肌触りです。
あまりこすると皮膚が剥けてしまいそう。
感覚的には草津の湯畑源泉や蔵王の上湯共同浴場のお湯に似ている感じです。

湯口からのお湯を口に含んでみたら、かなり強い酸味を感じました。
歯が溶けそう・・・
飲泉はオススメしません。

とにかく気持ちが良いお湯でしたので、朝と夜、しっかりと堪能させて頂きました!

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ちょっと、と言うか、だいぶ不思議な雰囲気のある五色温泉 別館。
色々と好き勝手に書きましたが、私は大好きです。
他のお宿では体験できないような、不思議な孤独感と癒しを楽しめました。

普通の人には本館の方をオススメしますが、色んな温泉に泊まっていてたまには変わり種も・・・ って方には別館は良い選択肢だと思います。
なによりも別館には泊らなければ入れない温泉がありますからね!

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2023年 9月4日 - 初訪問・宿泊(素泊まり)

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