秋田県

ふけの湯温泉 (蒸ノ湯温泉) ★5.0

単純酸性泉
(岩の湯) 88.8度 / ph2.4 /
Al++ = 9.7 / Fe++ = 11 / HSO4- = 39
SO4– = 291.3 / H2SiO3 = 156.1
CO2 = 240 / H2S = 0.9
成分総量 = 779mg

秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林
0186-31-2131
男女別内湯 ・ 露天 ・ 混浴露天
500円
11:00 – 22:00

秋田八幡平には所謂「秘湯」と呼ばれる有名な温泉が沢山あります。
この「ふけの湯」もそんな有名な秘湯のひとつです。
秘湯として非常に名高く、一度は行って見たいと思っていた所でした。
今回、ふけの湯の隣にある後生掛温泉に宿を取ったので、行く前に立ち寄ってきました。
(隣と言っても車で5分ほど離れているのですが・・・)

旅館は八幡平アスピーラインから少し奥に入った、いかにも秘湯と言う山間にあります。
周辺は山肌剥き出しで、とても荒涼としており、至る所から温泉の噴気が立ち上がっている光景はまさに地獄。温泉は自然が作り出したものと改めて認識させられます。
草津のような江戸構えの瀟洒な温泉街も好きですが、大自然の一部と言うロケーションもまた格別ですね。
辺りに立ち込める硫黄臭を嗅いでいると、この際お湯に浸かる事なんかどうでも良くなってしまいそうで不思議です。
あ、いや、実際はどうでも良い事ではないのですけど・・・

日帰りの受付は18時までで、到着したのはその15分前です。
もしかしたら断られるかもと思いましたが、快く受け入れて下さりました。
料金は500円で、旅館の内湯と露天、それと、旅館の離れにある露天風呂を利用出来ます。
まずは旅館の露天を利用しました。

脱衣所室内にあり、そこから出るとすぐに露天と言う造りです。
湯船があるだけのシンプルな造りで、開放感があってなかなか気持ち良いです。
灰色がかった白濁のお湯が張られており、温めに調整されています。
酸性のお湯で、肌触りがサラリとしてとても気持ち良く、湯切れが良くて汗がさっと引きます。
意外な事に、旅館周辺に立ち込めていた硫黄臭は、お湯そのものからはほとんどしません。湯口のお湯を口に含んでみたところ、僅かな酸味と土類系の味がしました。

次に旅館内湯。こちらは露天のすぐ近くにあるのですが、途中に廊下を挟んでいるので、一度服を着て移動する必要があります。
浴室は木造で、なかなか良い風情をしています。湯船は一つあり、こちらにも露天と同じ、灰色がかった白濁のお湯が張られています。
お湯は露天よりも少し熱く、適温と言った感じです。さらりとした同じ感触のお湯ですが、温度が高い分、こちらの方が鮮度良く感じました。

面白いのは洗い場で、掛け湯コーナーのようになっていました。
シャワーが無くて不便だとか無粋な事を言う人が出てきそうですが、私はこう言う造りの洗い場大好きです。

なお、旅館内の内湯と露天ですが、女性用は一つの脱衣所で繋がっており、わざわざ服を着て移動する必要はありません。
そちらの方が楽そうで良いのですが、たまには男女入れ替えているのかな?
思った程に強烈さが無いお湯でしたが、結構気に入りました。

ちなみに、玄関先にある小さな温泉神社には木彫りの男根像なんかが奉納されています。
子宝の湯として昔から知られているそうですね。

さて、お次は旅館の外にある露天風呂です。
ただっ広い荒涼としたスペースにあり、駐車場から少し歩いた所に男女別露天風呂と、その更に先に混浴露天があります。
混浴露天風呂に至っては遮るものが無い為、通りから丸見えです。
ただ、通りから50メートル以上離れており、人が入っていても米粒程度にしか見ず、男だか女だか分からないほどです。
見た限り誰も利用していなかったので、まずは紅鮭と一緒に混浴露天を利用しました。

混浴露天風呂は硫黄臭漂う殺伐とした空間にポツンとあります。
もう5月だと言うのに、身を切るような冷たい強風が吹き荒んでおり、行くまでが一苦労です。
一応男女別に別れた脱衣所がありますが、強風で一部が破壊されておりボロボロでした。
そそくさと脱ぎ、駆け込むように湯船に浸かる。(勿論掛け湯は忘れない)

ほんのり灰色白濁したお湯で、こちらも旅館内湯で入ったものと同じ、肌触りがサラリとするものです。
浴槽は上段と下段に別れており、上段は熱めで、下段も少し熱め。
どちらも長湯するには少々辛い温度です。
鮮度が非常に良く、旅館の湯船では殆ど感じなかった硫黄臭がハッキリと漂っていました。
特筆すべきは開放感で、立ち上る噴煙を見ながらとても気持ちよく入浴出来ます。私達が入浴中、他に誰も来なかった為、ゆっくり落ち着いて入っていられました。

ちなみに、通りから丸見えな分、逆にこちらからも誰かが近づいて来るのがすぐに分かります。
ですので、他に利用者がいないのであれば女性にもオススメ出来ますね。
他の人が来たら急いで上がってしまえば良いのですから。

最後に、男女別の露天風呂にも入りました。
こちらは駐車場にも近く、利用しやすいです。
しっかりと男女別に別れており、簡素な脱衣所と湯船があるだけのとてもシンプルな造りです。
浴槽内のお湯は、おそらくふけの湯一番と思われる激熱で、48度近くありそうです。無数の針で刺されたようにビリビリと熱く、とてもではありませんが長時間は浸かれません。
お湯の鮮度は申し分無く、硫黄臭と土類臭が混じり、実に気持ちが良いものでした。
混浴風呂ほどではありませんが、こちらも開放感があります。
自然に抱かれながら入るお湯は格別でした。

駆け足のような入浴になってしまった今回の立ち寄り。
折角来たのに、何だか勿体無い気がします。
次回は是非とも時間の余裕を持たせるか、思い切って宿泊で利用したいと思いました。

温泉の原点を見る事が出来たような気がする、素晴らしい施設です。
いつまでもこのままの風情で残って欲しいですね。
大満足の一湯となりました。

2006-5/5

2008年5月10日-再訪

ふらりと立ち寄ってみました。ここの雰囲気はとても好きです。
内湯も露天も、以前訪れた時と変わっておらず、これぞ温泉とほっと一息つく事が出来る素晴らしい物です。
お湯は前回来た時より少し濃く感じます。この日はその前に単純泉ばかり入っていたせいもあるかも知れません。
明礬臭と、僅かに香る硫黄臭が、クドくなくて気持ち良いです。

私は、ここに関しては、内湯より露天が好きです。すぐそこにお湯が沸いていて、それがそのまま湯船に注がれる、温泉の原風景。
湯使いだとか、鮮度だとか、成分だとか、そう言う頭でっかちな事を全て忘れて、理屈抜きで気持ちが良いのです。自然の中に全身を預けているような、不思議な安堵感で気持ちが満たされます。
こう言う良いお湯に浸かると、改めて自分が温泉好きで良かったと思えて来ますね!

いつまでも変わらずにいて欲しい名湯です。
ここには定期的に来たいと思いました。

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