山梨県

元湯 蓬莱館 (西山温泉) ★4.5

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
(源泉名:A) 源泉名がAってナンダヨ? 過去の成分表から、源泉名は「西山温泉 蓬莱館」と思われます
38.8度 / ph9.2 / 自然湧出 / 毎分36.4L / H23.6.23
Li+ = 0.4 / Na+ = 252.9 / Mg+ = 0.2 / K+ = 3.5
Ca+ = 86.1 / Sr+ = 0.8 / NH4+ = 0.6
F- = 2.6 / Cl- = 225.3 / Br- = 0.6 / I- = 0.2
HS- = 1.3 / OH- = 0.3 / S2O3- = 0.4 / SO4– = 418.3
CO3- = 14.4
H2SiO3 = 45.1 / HBO3 = 15.1
成分総計 = 1068mg

山梨県南巨摩郡早川町湯島73
0556-48-2211
混浴内湯
1000円
10:00 ~ 15:00

長年の課題であった奈良田温泉の白根館に入って、だいぶ満足した私ですが、ここ奈良田温泉がある早川町には他にも名湯が沢山あります。
折角の機会だから、ひとつでも多くの温泉に入ってから帰ろうと思い立ち寄ったのがここ、西山温泉の元湯 蓬莱館です。

西山温泉は下部から奈良田まで走る南アルプス街道沿いにあり、奈良田温泉に行く途中で一度通り過ぎた所です。
西山温泉には蓬莱館の他にも慶雲館と言うお宿があり、なんとこちらは世界で最も古い歴史を持つ宿としてギネス記録なのだそうです。
そちらも気になりますが、慶雲館は残念ながら日帰り入浴を受け付けていないため、蓬莱館のみ利用してきました。

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さて、その蓬莱館。
慶雲館がかなり立派で綺麗なのに対して、こちらはなんと言うか、とっても年季が入ったお建物です。

中に入って「ごめんくださ~い」と声を掛けてみたものの、誰もいません。
ふとフロントを見ると、受話器を取ってお話下さいとの事で、受話器越しに「お風呂入りたいのですが~」と伝えたところ、「今行きます!」と元気な声が帰ってきました。

どうやら無事に入れるようで一安心ですが、それにしても、年に数度だけある黄金色に輝くお湯ってのが気になりますね~

暫く待っていたらご主人が出て来られました。
ここ数日源泉の温度があがらず、加温して暖かい方でも38度位しかないそうで、しきりに心配されていましたが、この日は暑かったので全く問題ありません。
入浴料1000円を支払うとお風呂場まで丁寧に案内してくれました。

お風呂はフロントのある建物の中を通って、その裏手にある別棟、本館なのかな?にあります。
フロントのある建物もかなり年季が入っていますが、この本館はその更に上を行く年季の入り方です。

「立ち寄り入浴は15時まで出来ますので、時間いっぱいゆっくり入って下さいね」との事。

なんか、建物の感じもですけど、ちょっと緩いけど丁寧に対応してくれるご主人を見ていると、私が大好きな那須湯本の雲海閣を思い出します。

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さて、そんなご主人に案内されたお風呂。
いまどき珍しく、脱衣所は男女別ですが浴室は混浴です。

脱衣所には「温泉情報コーナー」と言うのがあり、色々と掲示されています。
温泉に対するこだわりを感じるは素晴らしいのですが・・・

成分表が沢山掲示されていたので、複数源泉かな?と思いきや、どうやらひとつの源泉の成分表で、調査日が違うものが貼られているだけでした。
温泉って自然のものなので、調査する日によって濃い薄いがありますし、汲み上げの温泉だと年々薄くなってしまうなんて事もよく聞く話ですからね。
情報が多い事は良い事だと思います。

どうでも良いですけど、測定日によって泉質名が変わっているのが少し面白いです。
最新版だと「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉」なのですが、平成19年に調査されたものだと「単純温泉」なのですよね。
これは単に成分総計が僅かに1000mgを下回ったためで、測定誤差みたいなものですが、たった僅かな数値の違いでナトリウム、カルシウム、硫酸塩、塩化物と4つもの成分がつく凄そうな泉質名になったり、なんだか薬効が無さそうにも聞こえる単純温泉になってしまったりします。

どこかで線引きが必要なのは分かりますけど、なんかいい加減な話ですよね。

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前置きはほどほどにして、いざお風呂へ。
見た瞬間に「あ、好きだわこれ」って感じの、素晴らしい風情です。

混浴なので先客に女性がいたら気を遣うし嫌だなぁと思っていたのですが、いたのはオジサン一人だけ。そのオジサンも入れ違うように出て行かれたので、ずっと貸切で利用出来ました。
風情が良くて広々とした浴室を独泉です。
なんとも贅沢な気分です。

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さて肝心のお湯ですが、年に数回あるらしい黄金色ではなくて、無色透明のものでした。
湯舟は2槽に分かれており、湯口がある側は35度前後でかなり温め。その隣は加温されていますが、それでも38度しかありません。
入る前に説明を受けていたので驚きはしませんでしたが、これが冬場であれば浴後に風邪引きそうですね。

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お湯からはほんのりと芒硝と石膏系の温泉臭がします。
湯口は2本ありますが、特に違いは感じません。恐らく同じ源泉と思われます。
湯口の上には飲泉用のコップが置かれていました。お湯を口に含むと、僅かな塩味と、口の中が渋くなるような薬味がします。

湯口側の浴槽内には無数の白湯花も確認出来ました。
成分表の数値では単純泉かそうでないかの1000mgギリギリラインですが、誰が入ってもこれは温泉だと分かる、ハッキリと特徴があって気持ちが良いお湯です。

最初は加温側と源泉側を行ったり来たりしていましたが、加温側に行っても結局温いんですよね。
だったらいっそのことと、ずっと源泉側に浸かっていたら、誰にもお湯を揺らされる事の無かった加温側の湯面が鏡のように平らになりました。
これはこれで、なんとも素晴らしい風情。
ぼーっと眺めていると幸せな気分です。

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それにしても、夏場にこの温度のお湯は困ったものです。
気持ちが良すぎて、すっかりお湯から上がるタイミングを見失いました。
滅多に来ることの無い奥山梨、他にも色々と立ち寄りたい温泉はあるんですけどね~

本当はあともう2箇所くらい入ってから東京に帰るつもりだったんですけどね、これだけ気持ちが良いお湯に浸かってしまうと、「あ、もうここで切り上げて、もう帰ろうかな」って気分になってしまうのです。

気持ち良すぎる温泉ってのも考えようですね。
ほんとうに困ったものです。(誉め言葉)

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結局、なんだかんだで1時間以上ここで時間を費やしてしまいました。
素晴らしい名湯です!

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蛇足ですが、無色透明のお湯で、隠れられる死角も無いので、女性にはかなり入りにくい混浴なのが少し残念です。
宿泊すれば女性専用時間もあるみたいですね。

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2023年 7月7日 - 初訪問・日帰り入浴

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