山梨県

白根館 (奈良田温泉) ★5.0

含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉
(源泉名:奈良田温泉 七不思議の湯)
47.8度 / ph9.1 / 動力揚湯 / 毎分75L / H28.5.6
Li+ = 6.3 / Na+ = 1366.6 / Mg+ = 0.3 / K+ = 18.1
Ca+ = 2.9 / Al+ = 0.2 / NH4+ = 16.5 / Sr+ = 1.4
F- = 27.8 / Cl- = 1812.2 / Br- = 4.3 / I- = 0.3
HS- = 24.3 / OH- = 0.2 / S2O3- = 0.2 / SO4– = 234.7
CO3- = 124.4
H2SiO3 = 33.1 / HBO3 = 85.8 / H2S = 0.2
成分総計 = 3905mg

山梨県南巨摩郡早川町奈良田344
0556-48-2711
男女別内湯・露天風呂 / 貸切風呂
大人 1000円、子供(1歳~小学生) 800円
貸切風呂 1500~2500円(80分)+ 入浴料 + 一人利用だと1000円増
10:30 ~ 16:00 (土日祝は17時まで)

温泉仲間と一緒に箱根のかっぱ天国で一晩を過ごした翌日。
当初の予定では午前中で箱根の湯めぐりをして、午後からは湯河原に行く予定でした。
ところが、前日の湯めぐりでリストアップしていたお宿のほとんどで日帰り入浴NGを喰らってしまい、午前中に箱根で行く所が無くなってしまったのです。
かといって、湯河原は午後からしか入れない所ばかりなので、予定を前倒しに行動する事も出来ません。

どこへ行こうかな、いっそこのまま東京に帰ってしまおうか・・・?
そんな事を悩みながら、温泉仲間のYさんとの会話でふと思い出したのが、山梨のぬる湯です。
暑い時期のぬる湯は最高に気持ちが良いですからね。

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と言う事で向かったのは、山梨県の奈良田温泉。
箱根から東京とは真逆の方向、三島インターから新清水まで高速で走り、その後は下道走行。およそ150km、約3時間の道のりです。
この後で帰る事を考えると、東京から更に離れた場所に移動するのは賢い行動ではありません。
でも、最近バイクにハマっている私としては、ただ走るだけでの楽しいので、これはこれでアリです。

下部から奈良田温泉まで続く南アルプス街道は早川と並行していて、景色が良く適度なワインディングもあって、とても気持ちが良かったです。
ここだったら温泉抜きにしても何度でも走りに来たいなぁ~

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さて、そんな事で辿り着いたのは、奈良田温泉の白根館です。
温泉が好きな人ならば知っている人も多いのでは?
まして、温泉マニアともなれば、入っていて当たり前の名湯です。
でも、実は私、ここはずっと行きたいと思いつつ、未湯だったんですよね。

ここに限らずですけど、入っていて当たり前レベルの名湯で実は未湯なんですシリーズ、結構あるんですよね・・・
長い間課題として残していた奥鬼怒温泉の加仁湯もそうでしたが、「良い温泉だから、日帰りではなく泊りで来よう!」なんて大事に残しておいて、そのままってケースが多いです。

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そんなわけで、本当は宿泊で来たかった白根館ですが、2020年の2月末をもって宿泊業務を終了し、現在では日帰り専用の施設になっています。
入浴料は1000円。貸切風呂もありますが別料金です。
言っては悪いですが、とても辺鄙な場所にある温泉にしては、強気な金額設定です。

でも、最初に書いておきますが、ここのお湯は本当に素晴らしいです!
1000円が高いなんてケチ臭い事とか、遠くてなかなか行けないとか、四の五の言わず黙って入りやがれ的に最高のお湯です!(いままでずっと未湯だったオマエが言うな案件)

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お風呂はもちろん男女別です。
日によって男女を入れ替えているらしく、私が訪れたこの日は右側が女湯、左側が男湯になっていました。
男湯の先にも女湯の暖簾がありますが、この日の女湯は内湯と露天風呂が離れていて、両方に入る場合は一度服を着て移動する必要があるみたいです。

男湯の方はひとつの脱衣所から内湯と露天風呂どちらにも行けるので、いちいち着替え直す必要はありません。

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と言う事で、まずは内湯です。
一言で言って、美しいです。

湯舟には仕切りがあり、湯口のある左側が適温、仕切りからのオーバーフローが流れ込む右側が温めです。
最初に入ったのは温めの方。37~38度位でしょうか、体温よりも少し暖かい程度です。
お湯は透明ですが、よく見ると僅かに濁っているのが分かります。しばらくすると酸化が進み白濁しそうですね。
その日の気候気温によって透明だったり、白濁や緑色に色を変えるそうで、源泉名も「七不思議の湯」だそうです。

お湯の臭いはハッキリと分かる硫黄臭がします。
硫黄臭と一言で言っても色々とあって、恐らく他の成分と組み合わさって変化するのだと思いますけど、このお湯の硫黄臭は、うまく伝わらないと思いますけど「苦い」感じの臭いなんですよね。

もうひとつある特徴としては、肌触りが強烈にニュルニュルするお湯です。
成分表によると炭酸イオンが約125mgと、かなりの濃度があり、恐らくこれの影響と思われます。

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いつまでも入っていられそうな程のぬる湯で、心地いい硫黄臭、それに加えてトロトロの肌触り。
ここのお湯が良いと言う話は随分と昔から聞いて知っていましたけど、正直言って私の想像を超えていました。

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続いて入ったのは、湯口のある適温側です。
この日は暑かったですし、ぬる湯の方ですっかり満足していたので、熱い方は入らないでも良いかな?位に思っていましたが、いざお湯に浸かってみて驚きました。
こちらの方が、臭いも肌触りにしても、ぬる湯とはまるで別物って位に、明らかに濃いんですよね!

ぬる湯側でも十分な衝撃を受けた後で、それを上回る更なる衝撃です!
こういうのを何て言うんでしょうね? 泣きっ面に蜂? ダブルパンチ? 弱り目に祟り目?
何故かネガティブな言葉ばかり連想してしまいますが、もちろん今回のは嬉しい悲鳴の方です。

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湯口から注がれるお湯を手で掬い、口に含んでみると、硫黄の甘味と苦みに加えて、僅かに塩味を感じます。決して美味しものではありませんし、そもそも飲用に適しているかどうかも分かりませんけど、私は結構好きな味ですね。

熱い方と書きましたが、それでもせいぜい41度前後で、特別熱いと感じる事の無い普通の温度です。
それでもずっと入っていると体が茹ってくるので、たまに仕切りを跨いでぬる湯の方へ移動。

左右の湯舟を行ったり来たりを繰り返していると、時間が幾らあっても足りなくなってしまいます。
いずれにせよ、この極上のお湯をエンドレスで浸かっていられるのは、幸せ以外の何物でもありません。

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なお、こちらのカランから出るお湯も温泉です。
温度調整の為の加水もされているので、湯口から注がれる源泉ほどの濃さはありませんが、シャワーを頭からかぶるととても幸せな気分になれます。

こんな名湯を今まで取りこぼしていたなんて・・・
温泉マニアを自称する身として、ちょっと情けなくなってしまいました。

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続いて露天風呂。前述の通り、内湯と同じ脱衣所と繋がっているため、素っ裸のままで移動する事が出来ます。
こちらにはシンプルに湯舟がひとつあるだけです。

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張られているお湯は内湯と同じ源泉です。
実際に浸かってみた印象も内湯のものとほぼ同じで、とても気持ちの良い素晴らしいお湯です。
源泉投入量ですが、内湯が毎分15Lに対して、こちらは毎分17Lなのだそうです。
湯使いとしては露天の方が良い事になりますね。

ただ、外気に晒されているせいか知りませんけど、露天のお湯は少し薄く感じます。
また、温度が適温なのは良いのですが、体が温まったので涼もうとすると、内湯のように隣のぬる湯にドボンって訳にはいかず、お湯から出なければならなくなります。
お湯から上がった際にどこで体を休めるかなのですが、床面もですが、木の椅子も丸太も、どれも座面が妙にギザギザしていて、座っているとお尻が痛くなるんですよね。
湯舟の縁石だけはギザギザしてませんけど、バランス悪いくて座り難いですし・・・

そんなわけで、露天の利用は少しだけに留めて、ずっと内湯だけで過ごしました。

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ハッキリ言って、山梨でもかなり辺鄙な場所にあります。
それでも、わざわざ足を運んででも入る価値のある、素晴らしいお湯でした。
先ほども書きましたが、こんなに良いお湯を後回しにして今まで入らないでいた事を激しく後悔したほどです。

当ホームページをご覧の方で、恐らくそんな方はいないと思いますが、私みたいに「今はその時期ではない!」なんて言いながら大切に暖めている方がいたら、会社を休んですぐにでも入りに行く事をお勧めします。

控えめに言って名湯中の名湯です。
最高の一湯でした!

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蛇足で少し不謹慎な事を書きますけど、宿泊をやめて日帰り入浴のみに切り替えたお宿って、あまり長続きせず、そのまま廃業してしまう事が多いんですよね・・・
ここ白根館も同じ一途をたどるとは思っていませんし、宿泊をやめたを理由を人づての噂程度に聞いている限りでは大丈夫だと信じていますが、この素晴らしいお湯が廃れる事が無い事を祈ります。

いつか宿泊を再開された際は、その時こそは真っ先に泊まりに来ますよ!!!

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2023年 7月7日 - 初訪問・日帰り入浴

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