栃木県

喜楽旅館 (老松温泉) ★4.5

硫黄泉

栃木県那須郡那須町湯本181
0287-76-2235
男女別内湯
大人500円、子供300円
8:00 ~ 20:00

那須湯本にある珍湯、老松温泉です。

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ここ老松温泉に初めて入ったのは2004年の12月です。
初訪問時の記憶は今でもはっきりと覚えています。
ネットで色々と調べていたら、那須湯本では珍しいアルカリ性の硫黄泉だと言うので、面白そうだから行ってみる事にしたのです。
古いお宿だとは聞いていたので、覚悟はしていましたが、建物の一部は崩落しているし、想像以上にボロボロで驚きました。

何よりも印象に残っているのは受付で、ガラガラと扉を開けると、炬燵に入って煙草を吸っているオジサンがふたり。
私が「あのぉ~・・・ 日帰りでお風呂に入りたいのですが・・・」とお願いすると、「あぁ、良いよ良いよ!」と言いながら、寒いからと言って炬燵から出てこないのです。お金を渡す際も、「悪いけどもう少し手を伸ばして~!」なんて言われながら何とか受け取って貰えて、「初めて来るの?お風呂は反対側だよ! まぁ、行けば分かるでしょ!」と、アッケラカンと大笑いで見送られました。

ここだけ切り取って読むと、ひどい接客です。
でも、なんと言うか、このお宿全体が醸し出している一種不気味な雰囲気を前にすると、この気が抜けた対応がお宿の良さを引き立てているような、素晴らしい接客に感じてしまうから不思議です。

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その後も何度か訪問していますが、いつ来ても印象は一番最初に訪れた時とあまり変わりありません。
一部が崩落しているような建物ですから、まぁ、お風呂までの道のりも結構なカオスです。
日中でも薄暗くて、フワフワしていて今にも抜けてしまいそうな床。
いつも薄暗くてあまり利用したいとは思えない休憩所。
宿泊も受け付けているようですが、さすがの私でもここに泊まろうって気には、ちょっと・・・

お風呂は男女別で内湯のみ。
廊下同様、日中なのにいつ来ても薄暗いです。
浴槽は2箇所ある那須湯本スタイル。初めて訪れた際には両方の湯舟に温めのお湯が満たされていましたが、2回目以降は片方したお湯が張られていませんでした。
なんでだろう・・・?

お湯は白濁で、見た目だけの話をしたら那須湯本の鹿の湯源泉とあまり変わらないです。
でも、お湯の印象はとても柔らかくて、浴感は明らかに異なります。
酸性度が強くビリっとくる感触のある鹿の湯源泉と異なり、肌に優しくシットリと柔らかいお湯です。
お湯からは強い硫黄臭がしますが、ふんわりと優しい感じで、鹿の湯のような臭いからも苦みが伝わってくるような力強さはありません。

なんと言うか、良いお湯なんですよね。
このお湯に浸かっていると、宿全体が醸し出す不気味な雰囲気を忘れ、長居をしてしまいたくなるから不思議です。
ピリッと刺激的な鹿の湯源泉も良いですが、老松温泉のお湯も甲乙つけ難く素晴らしいです。

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なお、この貴重なお湯と、不思議な風情の老松温泉ですが、建物の老朽化が原因で2019年12月に惜しまれつつ廃業してしまいました。
今にも廃業しそうだと言われながらも、いついってもボロボロの建物で出迎えてくれた老松温泉。この先もずっとこんな調子で営業しているに違いないと、淡い期待を抱いていましたが、ついに来るべき日が来てしまったようです。

名湯がこのまま廃れてしまうのは悲しいです。
もう入れないのでしょうか・・・?
何かしらの形で復活してくれれば良いのですが・・・

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2015年 12月20日 ー 何度目かの再訪

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