伊東温泉静岡県

梅屋旅館 (伊東温泉) ★4.5

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
(岡227号泉・岡234号泉・岡235号泉) 54.7度 / pH7.9 / H12.11.21
Na+ = 207.6 / Ca++ = 101.8 / Mg++ 6.5 K+ = 4
Cl- = 248.6 / SO4– = 385.3 / HCO3– = 27 / Br- = 0.3
H2SiO3 = 63.7 / HBO2 = 2.4 / CO2 = 15.5
成分総量 = 1063mg

and 塩化物泉 (詳細成分表無し)

静岡県伊東市猪戸1-6-5
0557-37-2112
内湯 × 2ヵ所
500円
10:00 – 15:00

伊東駅から徒歩で5分程度の場所にあります。路地を入った先にあり、とても小ぢんまりしていて、アットホームな印象を受けるお宿です。
東北から友人が来るにあたり、「どこに泊まろうか?」と色々相談した結果、このお宿が選ばれました。
理由は結構単純で、安いからと言うものです。温泉も悪くは無さそうだった事が決め手ですが、ネットで探しても温泉マニアな方のレポートが出て来ないので、いまいちどんな感じか分かりません。
まぁ、外湯が沢山ある伊東ですので、外れても良いやと思っていました。

チェックインしたのは、夕方8時頃です。既に辺りは真っ暗。とりあえず部屋に荷物を置いて、早速お風呂な訳ですが、ひねくれた私達は、外湯めぐりに出てしまいました。
再び宿に戻ってきたのは、10時過ぎです。入浴は11時までと言われていたのですが、夕食も食べずに外湯めぐりしていたので、とにかく空腹。
コンビニで買ってきた弁当を食べてから、そろそろお風呂行かなければと、重い腰を上げたのが、10時半過ぎです。
内湯にたいした期待を寄せていなかった事が分かるような行動パターンです。

その内湯ですが、2箇所あります。元々は男女別なのかも知れませんが、この日はどちらも貸切風呂です。
この日は私達以外に宿泊者がいないので、貸し切り札すら掛ける必要がありません。
2つの内湯は少し離れており、時間も少ないので、もう片方は朝入ろうと思い、狭い廊下を歩いた先にひっそりとある、奥の浴室を利用する事にしました。

さて、その奥の浴室。入ってみて思わず「おぉっ!?」と声をあげてしまいました。
結構年季が入った作りのタイル浴室で、脱衣所から数段降りると言う、個人的に好みの造りをしています。
浴室内は湯気に蒸しており、その匂いが何とも芳しい芒硝臭なのです。造りからして、一目で分かる掛け流しです。

湯船にはホースが一本突っ込まれています。お湯の表面だけが流れ去ってしまうのを防ぐ為でしょうか、サイフォンの原理で湯底からお湯を排水する仕組みが取られていました。
いやぁ、色んな意味で、私が大好きなタイプのお風呂です。この日は久しぶりに沢山の温泉に入り、少し食傷気味でしたが、これを見た瞬間に疲れが吹き飛んでしまいました。

早速浸かってみたお湯は、肌にビリビリと心地よい刺激が伝わる、芒硝泉です。
実際の温度は43度程度で適温なのですが、体感温度をそれよりも少し高く感じます。
私達がこのお湯に目もくれず外湯めぐりをしている間も、このお湯は、この日ただ一組だけの客である私達を、ずっと待ち続けていたのです。無論の事ながら、鮮度は抜群です。
肌を刺すような刺激的な感触は、なかなか入りに来なかった私に対する、お湯からのメッセージでしょうか。
湯面から漂う仄かな芒硝臭を嗅ぎながら、こんなに良いお湯であったならば、もっと早い時間に入るべきだったと、少し反省してしまいました。

翌朝、玄関から入って手前側にある、もうひとつのお風呂を利用してみました。
こちらは、奥の浴室に比べると少し新しく、少し手狭な感じのする物です。見た目だけの話をすれば、個人的には奥の浴室の方が断然に好みです。
まぁ、折角来たのだし、両方とも入っておいて損は無いだろうと言う事で・・・

で、そのお風呂。青いタイル張りの湯船が一つと、手前に洗い場がある、シンプルな物です。
湯口は蛇口タイプで、4つ並んでいます。その一つから源泉が注がれており、しっかりと掛け流しにされている事が見て取れます。
お湯は、前日に入った奥の浴室と同じく、芒硝泉です。ちょっと熱めに調整されていたので、肌にビリビリと強い刺激を感じます。
湯船の大きさが小さい事も相まって、とても鮮度が良いです。

とりあえずここで、中途半端に4つ並ぶ蛇口を確認してみる事に。
右の二つは、水と沸かし湯のようです。とりあえず私には無縁なモノです。
右から3番目の湯口には、単純温泉と書かれており、蛇口から熱い源泉が静かに注がれています。
そして一番左端の4番目。これにだけ、ホースがついており、「塩おんせん」とか書かれた札が下がっていました。

塩温泉・・・?

そのホースの先を辿ってみると、温めのお湯が勢い良く噴き出していました。
35度くらいでしょうか。ここの源泉はかなり熱い筈なのに・・・?
試しに口に含んでみると、何だか物凄くしょっぱい!
なんと、予想もしていなかったのですが、別源泉なのです。しかも、私の中で、芒硝系のアル単泉と言うイメージだった伊東で、食塩泉!
それも、かなりショッパイです。
成分表無くて正確な数値が分からないのが残念ですが、私の感覚では、強食塩泉までは届かないものの、成分総量は確実に10gは超えていると思われます。

試しに、湯船に塩おんせんを注いでから、改めて入ってみたところ、あら不思議。
35度はあるお湯ですので、多少注いだ所で急激な温度低下は無い筈なのですが、さっきまで強く感じていた芒硝のビリビリが一気に和らぎ、さらさらする浴後感が途端にシットリ系になりました。

朝食の際、女将さんに塩おんせんの正体を聞いてみると、なんと、この敷地内から沸くお湯だそうで、ここと、数軒の民家だけに引いている、貴重な独自源泉だと言うではありませんか!
伊東にまさかの食塩泉、しかも独自源泉!いやぁ、こんな名湯が眠っていた
なんて、驚きました!!!

それに、朝食も美味しい!女将さんもとても気さくな方で、朝食の際に、ご自身で作られた手芸品などを披露して下さいました。
何ともアットホームな対応で、とても心安らぎます。
今回は到着時間が遅くなる都合上、夕食抜きのプランでしたが、次回は是非とも夕食もお願いしたいです。
少し慌しい滞在だったのが、つくづく悔やまれました。

伊東のお宿をあまり知らない私が断じてしまうのは、少々おこがましいですが、この梅屋旅館さんは大当たりです!
是非湯めぐりの拠点に使って欲しい、とても素晴らしいお宿でした!

2010-2/5

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