含硫黄 – ナトリウム – 炭酸水素塩泉
源泉名:正木温泉 / 12.8度 / 1,900mg
千葉県館山市正木3027
男女別内湯 (ほとんど貸切で利用)
0470-27-4614
550円
営業時間 : お爺ちゃんの気分次第?
正木温泉は、その名前の通り、千葉県館山市の正木にある温泉です。
とても鄙びているという噂を聞きつけ、行って参りました。
たどり着いた所は温泉施設というより、そのまま農家と言った感じのところです。
少し不安にはなりましたが、至るところに「正木温泉」「入浴500円」などの看板・・・というか、張り紙のようなものがありました。
玄関先で暫く立ち尽くしていると、庭先からお婆ちゃん登場。「日帰り入浴出来ますか?」と聞くと、「いいよ、いいよ。」と、快く受け入れてくれました。
「今は誰もいないから、入って、一番奥の浴室を使いなさいね。」との事です。
案内されるままに建物の中に入るとビックリ。
中身も農家のまんまで、角材やベニヤ板、ビニールシートなどで作られた、手作り感が溢れる内装をしています。
失礼ながら、台風が来たら吹き飛んでしまいそうな感じです・・・^^;
浴室は幾つかあり、それぞれが貸切で利用するようになっていました。
中から鍵を掛ける事は出来ません。扉も建て付けが悪く、軽く持ち上げながら引かないと途中で引っかかってしまいます。
なんと言うか、鄙びもここまで徹底すれば、一種の風情ですね。
浴室には湯船が一つ。保温の為に、お湯の上にはマットが置かれていました。
汲み置きのお湯らしく、入浴前には必ずシャワーを浴びてからお入り下さいとあります。
壁にある給湯のスイッチを入れてシャワーを浴び、いよいよ入浴。
なんだか、温泉に入っていると言うより、他人のウチでお風呂を借りているような気分です。
肝心なお湯はというと、透明度30センチ程の黒湯です。
鉱泉ですので、勿論沸かしているのですが、かなり熱めに調整されていました。
恐らく45度前後はあると思われ、長湯は出来そうにありません。
臭いは、ごく僅かな甘めのモール臭。
重曹成分が多く含まれる黒湯らしい肌触りで、結構ぬめぬめします。
とても熱いので、入っていると足先がジンジン痺れてきました。
お湯のせいか、温度のせいかは知りませんが、何だかとても効きそうなお湯です。
おかげで、湯上りは体が火照ってなかなか汗が引きませんでした。
さて、帰り際、浴室前に掲示されている成分表などを眺めていたところ、こちらのご主人が通りかかりました。
「良いお湯でした~!」と、話しかけたところ、成分表のコピーをくれました。
興味がある人に配っているそうですね。
また、玄関先で、この正木温泉について、色々とお話を伺う事が出来ました。
お湯は、矢張りと言いますか、汲み置きだそうです。源泉が離れた所にあるので、週に3~4度、トラックで運んでいるそうな。
「新陳代謝が良い若い人が入ると、すぐに臭くなっちゃうんだよねー!」とは、ご主人談。うーん、話が妙に生々しく、ちょっと想像したくないですね。^^;
聞けば、このご主人、農作業で使用する農薬中毒で、一時は半身不随になったそうです。
その時、半信半疑で毎日このお湯に入ったところ、僅か1ヶ月で完治したらしく、以来、多くの人にこのお湯の恵みを享受して貰おうと、採算度外視で施設を造り、一般開放されているそうです。
「実際、ウチは農家だからね。温泉で儲けているお金なんて、全然無いんだよ。」
「最初は本当に半信半疑だった。でも、治ってしまったから不思議だよ。」
「体が悪い人がいたら、ウチを紹介してあげてね。すっごく良く効くお湯だから。」と仰っていました。
このお湯で助かる人がいるから続けている。なんて素晴らしい事でしょう・・・
ちょっと話が長いご主人で、帰るに帰れない状態にもなりかけましたが、色々と貴重なお話を聞けて感謝です。
これからも、この素晴らしいお湯を、守り続けて欲しいと思いました。
でも、病気になってお世話になるのはちょっと嫌ですけどね・・・(笑)
2005-11/6
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