秋田県

銭川温泉 (銭川温泉) ★3.5

単純温泉
(銭川) 56.3度 / ph7.6 / 自然湧出
Na+ = 91.8 / K+ = 5.9 / Mg++ = 1.1 / Ca++ = 10
Cl- = 53.1 / SO4– = 76.1 / HCO3- = 88.1
H2SiO3 = 88.5 / HBO2 = 77.1 / CO2 = 10
成分総計 = 508.8mg

秋田県鹿角市八幡平字トロコ沢
0186-31-2336
男女別内湯 ・ 混浴内湯
400円

八幡平のトロコゲート近くにある一軒宿の温泉です。
今年のGWにここを訪れ、入浴しようと思っていたのですが、あいにくその日は日帰り入浴を受け付けておらず、断念した事がありました。
今回やっとリベンジを果たす事が出来たと言った具合です。

お宿は国道から細い道を下ったと所にある、渓流近くの一軒宿です。
秘湯と言う言葉を冠するに相応しいロケーションにあり、旅館部と湯治部があります。
日帰りではそのどちらも利用する事が可能。
受付を済ませ、まずは旅館の玄関すぐの所にある旅館部の内湯を利用しました。

ちゃんと男女別に別れており、結構小奇麗です。浴室には洗い場が数人分と、広々とした湯船が一つあります。浴槽には無色透明のお湯が張られていました。
適温に調整されており、臭いのしない単純温泉です。周辺には白く濁る硫黄泉の後生掛温泉やふけの湯などがあり、それらをイメージして入ると少し物足りなさを感じてしまいます。
しかし、とても柔らかいお湯で、不思議なペタペタ感があり、単純泉とは言えども特徴を感じる入り心地がとても良いものです。
肌に対する刺激が少ないので、ゆっくりと入っている事が出来そうですね。
酸性値の強い八幡平のお湯を堪能した後の上がり湯に良さそうな印象を受けました。

続いて、湯治部のお湯も頂きました。
浴室は湯治棟の一角にあり、宿の玄関から少しだけ奥に入った所にあります。

ちなみにですが、浴室に行くまでの間、自炊棟の廊下を歩く事になり、自炊部のオンドル部屋を覗くことが出来ました。
広さはまちまちですが、狭い部屋になると、3畳ほどの広さしかなく、小さなちゃぶ台と裸電球だけがある、まるで独房のような造りをしたものです。
何だか凄いなぁ・・・
どうやら長期逗留の方が多いみたいで、入居されている部屋を見ると、狭いながらも使い勝手良くまとめられており、独房のような雰囲気は無くなります。
湯治部ですので、旅館部のように、最初から何でも揃っているわけではなく、自分の好きなように模様替えするって感覚なんでしょうね。
なんとも不思議な空間です。

さて、そんなでたどり着いた自炊部浴室。こちらは1箇所だけあり、男女混浴です。
まるで共同浴場のような造りで、浴室には湯船が一つあるだけです。
こちらにも同じく無色透明のお湯が張られていました。
ほぼ適温ですが、旅館部のものに比べると少し熱めです。同じく単純温泉ですが、別源泉ではないかと思われ、肌触りは少しビリビリ刺激があるものでした。
芒硝成分でも含まれているのでしょうか・・・?
旅館部のお湯は「優しい癒しの湯」だとすれば、こちらは「万病に効く薬湯」ってところでしょうか。
微細な違いしかありませんが、どちらも楽しむ事が出来ました。(同じ源泉で、お湯の使い方が違うだけかも知れませんけどね。)

余談ですが、銭川温泉の近くには澄川温泉と赤川温泉がありました。
しかし、1997年に発生した大規模な土石流で両方とも流されてしまい、壊滅的な被害を受け、営業再開を断念し、現在では温泉自体が失われてしまいました。
その時の土石流はこの銭川温泉のすぐ手前まで迫り、あわや、ここも飲み込まれてしまうのかと言う程だったそうですが、奇跡的に助かったそうです。
2軒の貴重な温泉が失われてしまった事は、温泉ファンとしては悲しみに耐えない事ですが、せめて銭川だけでも残ってくれたのは不幸中の幸いです。
大自然に囲まれたいで湯ですので、自然災害とは隣り合わせだと思いますが、銭川温泉にはいつまででも残っていて欲しいと思いました。
勿論、銭川温泉に限った事ではありませんけどね・・・
「温泉とはありがたいものである」と、改めて認識させられた一湯です。

2006-8/20

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