旅館さつき荘（下風呂温泉） ★ 5.0

含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
（海辺地2号泉） 57.2度
Na+ = 896.3 / K+ = 109.5 / NH4+ = 2.7 / Mg++ = 59
Ca++ = 239.6 / Mn++ = 7.0 / Cl- = 1797.7 / Br- = 3.8
So4– = 273.8 / HCO3- = 219.4
H2SiO3 = 71.3 / HBO = 254.2 / CO3 = 607.9 / H2S = 55.2
成分総量 = 4605mg

青森県下北郡風間浦村大字下風呂字下風呂33
0175-36-2625
貸切内湯 × 1

温泉街の一角にある、貴重な海辺地2号線に入る事が出来る唯一のお宿です。
ちなみにこの海辺地2号線ですが、足湯にも使われており、昨年私が下風呂の足湯を訪れた際、あまりの泉質の良さでビックリした記憶があります。
それ以来、常々湯船で浸かってみたいと夢を見続け、やっと宿泊して思う存分堪能する機会が訪れました。

お風呂は内湯が一つあるのみです。その為、貸し切りでしか利用出来ず、他のお客さんが使っていると入る事が出来ません。
ただ、この日は私達以外には一組しか利用しておらず、あまり不便さは感じませんでした。
ちなみに、昔は露天もあったそうですが、私が訪れた際は利用されておらず、確認もできませんでした。

さて、肝心のお湯ですが、なんと灰色に濁っています。去年足湯で見たのと同じ濁り方で、何とも嬉しくなってしまいます。
お湯の表面にはこれまた灰色がかった湯花が浮いており、かなり珍しい泉質と言えるのではないでしょうか。

臭いは少し甘さと感じる、何とも心地が良い硫黄臭で、私が大好きなタイプです。
肌触りはとても柔らかく、シットリする感じが最高ですね。
適温のお湯ですが、泉質のせいか、体がポカポカと暖まり、長時間入っているとどんどん体力を消耗しそうです。
湯口のお湯は透明で、時間と共に黒く濁るみたいです。
口に含んでみたところ、硫黄の苦味が非常に強いもので、思わず顔をしかめてしまいます。でも、クセになる味なんだなぁ。
良薬口に苦しって感じでしょうか。

湯底は真っ黒で、オシリにくっきり座った跡が残るのはご愛嬌。
風呂に入っているのに体が汚れるとはこれいかに？って感じですが、実に気持ちが良いお湯でとても気に入りました。
ちなみに、黒く濁る硫黄泉と言えば、塩原元湯にある大出館が有名です。
入った印象はかなり似ていると思いました。ただ、その日の調子にもよるのですが、大出館よりも黒くはありません。鮮度が良いって事なのかな？

余談ですが、この海辺地2号泉、昔はさつき荘以外でも利用されていたそうです。
しかし、黒く濁るせいで敬遠され、他所は他の源泉を引いてしまい、今ではこのさつき荘と、新しく出来た足湯でしか使われなくなってしまいました。
確かに、このお湯でメンテナンスをするのは難しそうですし、温泉の事を何も知らない利用者が入ると、汚いと言って怒って帰ってしまいそうです。
難しいお湯で頑張っていらっしゃるさつき荘の方には頭が下がるばかりです。
しかし、本物が好まれるようになった昨今、このお湯がさつき荘最大の武器になる日もきっと遠く無いと思います。
是非ともこの貴重な源泉を使い続けて貰える様、心の底から応援します。

（2006-4/30）