北海道

明林荘 (川汲温泉) ★4.0

アルカリ性単純温泉
(源泉名:川汲温泉明林荘)
44.9度 / ph8.9 / 毎分35L / 自噴 / H1.5.9
Na+ = 101 / K+ = 2.1 / Ca+ = 118.1 / Mg+ = 6.6
F- = 0.3 / Cl- = 24.9 / OH- = 0.1 / HS- = 0.5
SO4- = 458.5 / CO3- = 12.1
HSiO3- = 43.8 / HBO2 = 20.8 / HAsO2 = 0.5
成分総計 = 789mg

北海道函館市川汲町
0138-25-3303
男女別内湯
480円
7:30 ~ 20:00

函館の渡島半島東側にある温泉です。
一応函館市内ですが、港町函館って感じのイメージとは程遠い、何だかとっても最果てみたいな所にあります。
そんな中にある川汲温泉、立ち寄り出来るお宿が2軒あるのですが、その中でも特に気になっていたのがこちらの明林荘です。
今回の函館湯めぐりで、特に入っておきたい温泉のひとつでした。

何故気になっていたかの理由ですが、もちろんお湯が良さそうとか風情が良いと言うのもありますが、それ以上に、とっても「個性的」と聞いていたからなのです。
個性的と言うのはお湯の話ではなく、宿主さんが・・・ です。

以前、私の友人が入ろうと思って建物の外観を撮りながら宿に向かったところ、監視カメラで見られていたらしく、拡声器で「写真撮っちゃ駄目!!!」と怒られたそうです。
で、その友人、気分が萎えてしまい入らずに引き返したところ、今度は拡声器で「温泉は入って良いのよ!」と呼び止められたのだとか。

うん、なんともお茶目、とっても気になる!

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と言う事で、期待に胸を膨らませながら、現地に到着。
県道沿いに駐車場があったのでそこに車を停め、看板を見ると、看板にもしっかりと「写真撮影禁止」と書かれていました。
とりあえず、拡声器で怒られないだろうかドキドキしながら、看板の写真を撮影。
県道沿いにあるんだし、看板は撮っても良いよね・・・?

お宿は県道から階段で降りた先にあります。
樹々に遮られていて、県道からだと建物は殆ど見えないので、隠れ家的なロケーションです。
素朴な建物でだいぶ年季が入っていますが、鄙びた温泉が好きな人であれば「おぉ!」と言いたくなるような情緒のある外観。写真で紹介出来ないのが残念・・・

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写真撮影禁止なので温泉の写真はありません。
写真無しのレポートも味気ないので、代わりに今回の下風呂~函館旅行で初日に行った、青森県の三内丸山遺跡の写真でも載せておきます。

(緑字は三内丸山遺跡についての説明です)

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山内丸山遺跡はかなり広々としていました。
復元ですが、当時の様子が分かる復元住居などが多数展示されています。

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一通り外観を眺めながら、拡声器で怒られる事無く、無事建物内へ。
お宿なのですが、現在は宿泊は受け付けておらず、日帰り入浴のみらしいです。

中に入ると番台にお婆ちゃんがいました。ここの女将さんと思われます。
友人が来た時に拡声器で注意されていたのもこの方なのかな?
ちょっとドキドキしながら入浴したい旨を申し出ると、快くOKとの事です。
初めて来たと察したのか、脱衣所の使い方やお風呂の入り方などをとても丁寧に説明して下さいました。

拡声器の話を聞いていたので、どんな方だろうと思っていましたが、口調なんかも含めてとてもチャーミングな方です。

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当時の建物図面なんかがある筈も無く、復元住居は検証などを元にして「当時こうだっただろう」と言う想像のもと作られています。
でも、こんな感じだったのかな? と思いを馳せながら眺めるのも楽しいですね。
遠い未来、今の私たちの生活も「昔はこんな生活をしていたんだよ」と語られる日がくるのでしょうね。

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さて、そのお風呂ですが、脱衣所から階段を降りた先にあります。
湯舟はタイル張りの湯舟がひとつ。
女湯との仕切りの壁ですが、障子のような格子状で、白とオレンジで彩られています。
一言で言って、美しいです。
湯めぐりしていると「これはっ!」と思うような、言葉では言い表せないような美しい浴室に出会う事があるのですが、ここ明林荘の浴室は間違いなくその中のひとつです。

写真で紹介出来ないのが残念過ぎます。
(探せば写真を載せてるサイトがありますので探してみて下さい)

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三内丸山遺跡の見所のひとつ、発掘された柱の跡から「想像」で作られた大型掘立柱建物です。
物見やぐらみたいなものがあったのではと言う話ですが、今となっては本当の事は誰も分かりません。

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お湯は無色透明、もちろん掛け流しです。
掛け湯をしてみたところ、ちょっと熱め。お湯に浸かってみても熱めで、ビリビリと肌を刺すような刺激があります。
でも暫くすると、不思議と熱さを感じなくなっているのが分かります。
実際の温度は適温なので、「あ、これ、芒硝泉だ」と、一瞬で分かる奴です。
泉質的には単純温泉なのですが、硫酸イオンが約450mg含まれてるんですよね。

湯舟の大きさから比較して、新湯の投入量は可もなく不可も無くですが、利用者が少ないのか鮮度が非常に良い印象です。
湯口の脇には飲泉用のコップが置かれていたので、飲んでみたのですが、僅かにエグ味のようなものを感じる程度で、これといった味はしません。
芒硝臭を期待したのですが、これといった臭いもありません。

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屋内にも展示スペースがあり、実際に出土した土偶などの生活用品や、当時の生活を再現した模型なども置かれています。
いままで縄文文化についてあまり深く考えた事ありませんでしたが、たまにはこういうのも面白いですね!
ウチには小学生の娘が2人いますので、子供の教育にも良さそう。
今回はあまり時間が無かったのでパスしましたが、実際に土偶を作ってみるなどの体験コーナーもあるので、もしまた訪れる機会があれば是非利用してみようと思いました。

あ、あと、念のため付け加えておきますが、私はグンマー大好きです!

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ずっと浸かっていると茹りそうだったので、掛け湯しながら過ごしたのですが、鮮度が良くて肌の上をサラサラと流れるお湯がこの上なく気持ち良いです。
この日は暑かったので、浴後は汗がすぐに引かず、その点だけにおいてはあまり芒硝っぽさはありませんでしたが、個人的にはかなり好きな泉質でした。

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浴後、脱衣所で着替えていると、女将さんが仕切りに色々と話しかけてきてくれました。
お付き合いしていたら延々と話が続きそうな感じです。
本当はゆっくりと色々お話しをしたかったのですが、限られた時間の中で色々と行きたかったので、早々に切り上げてお暇してしまいました。
ちょっと申し訳ない事をした気分です。

こんな言い方をするのは失礼だと思いつつ、とっても可愛らしい女将さんでした。
もしまた来る機会があれば、ゆっくりとお話をしてみたいですね。

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お湯の良さは勿論ですが、美しすぎる浴室と、愛嬌たっぷりの女将さん。
最初はおっかなびっくりで来ましたけど、出る時には幸せな気分になっていました。

誰にでもお勧めって感じではありませんけど、個人的には大好きな一湯です。

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2023年 8月13日 - 初訪問・日帰り入浴

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