アルカリ性単純温泉
(源泉名:前山源泉)
62度 / ph8.7 / 動力揚湯 / 毎分333L / H30.4.16
Na+ = 68.3 / K+ = 0.8 / Ca+ = 6.9
F- = 10.4 / Cl- = 44.1 / HS- = 0.7 / HCO3- = 42.8
SO4- = 30 / CO3- = 10.8
H2SiO3 = 43.5 / HBO2 = 3.5 / CO2 = 5.3
成分総計 = 267mg
栃木県日光市湯西川1012
0288-98-0062
男女別内湯
大人500円、子供250円
12:00 ~ 18:00 ? (要確認)
湯西川温泉にあるお宿です。
高房ホテルと言う名前から、同じく湯西川温泉にある宿の「平の高房」を想像してしまいますが、それとは別のホテルです。
ちなみに湯西川温泉には高房神社と言うのがあります。平家の落人である高房公(本名は平忠実、または平忠房)が祭られているのですが、湯西川のルーツのようなお方です。
高房ホテルも平の高房も、きっとそこから名前を貰ったのでしょうね。
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高房ホテルは、土産屋などが並ぶ温泉街中心部から、湯西川を挟んだすぐの所にあるのですが、私が訪れたこの日は、川を渡るための湯平橋が工事の為に車両通行止めでした。
もうすぐ目の前に見えているのに・・・
そのため、橋を渡る為に1km程先にある沢口橋まで、ぐるっと迂回する羽目に・・・
ホテルと言う名前ですが、どう見ても「旅館」って感じの外観です。
中に入るとお婆ちゃんが出て来ました。女将さんでしょうか?
日帰り入浴をお願いすると、快くどうぞとの事です。
ご丁寧にお風呂場まで案内してくれました。
「宿泊の方は辞めちゃったのよねぇ~」
「保健所の方からアッチを直せコッチを取り換えろと、色々と言われたけど、そんなの無理だからねぇ。」
「だから今はお風呂だけしかやっていないんだよ」
との事です。
外観だけ見ると実に立派で趣のある建物なのですが、色々とご苦労されたのでしょうね。
お風呂場まで案内されている途中、色んな置物を発見。
鹿のはく製なんかは、いかにも山の中だなぁって感じです。
妙にリアルな子宝の神様もありました。山の中の秘湯とか行くと結構あるんですよね~・・・
子供と一緒に行って「パパこれなに?」なんて言われたら、どう説明すれば良いのでしょう?
「今はだぁれも入って来ないから、ゆっくりしてけぇ~」
「ゆっくり、ゆぅ~っくり!」
と、女将さん。
人生の大先輩に対して失礼だとは思いつつ、なんかだか体の力が抜けるような、凄く可愛らしい喋り方に癒されました。
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さて、案内して貰ったお風呂。
シンプルにタイル張りの内湯がひとつだけで、少しだけ湯気蒸す浴室ですが、ハッキリと分かる強めの硫黄臭がするんですよね。
「あれ? 湯西川の硫黄臭って、こんなに強かったかな?」
事前に「民宿やま久」と「高野旅館」に立ち寄っており、どちらも甘い硫黄臭がする良いお湯だったのですが、それよりも更に強い硫黄臭がするんですよね。
気になって真っ先に確認したのは湯口です。
浴槽のサイズに対して、投入量は少な目。
素手で触るには熱すぎるお湯が注がれているんですよね。
やま久と高野、どちらも加水しながらのドバドバ掛け流しでした。
加水しながらとは言えドバドバ掛け流しは気持ちが良く、とても印象が良かったんですよね。それはそれで正解!って思っていました。
でも一方でこの高房ホテルは、湯量を絞っての源泉100%です。湯舟からのオーバーフローこそ地味ですが、加水されていない分、濃さがまるで違います。
同じお湯(厳密には同系統のお湯だけど別源泉)でも、ここまで印象が違ってしまうとは!
新湯投入量が少ないからお湯がなまっているかと言われたら、まるでそんな事はありません。訪れた時間が昼過ぎと言う事もあり、一番風呂に近かったのかもですね。鮮度は抜群に良いです。
少し熱め、と言っても適温の範囲を超えない43度位です。
これは源泉の違いによるものかも知れませんけど、やま久と高野では観察した湯花がありません。
でも、しっかり強く香る硫黄臭。
お湯の肌触りは少しツルツルして、体の力を抜いて浸かると、体がお湯に溶けていくような錯覚すら覚えます。とても柔らかく優しいお湯なのです。
お湯から出たり入ったりしながら、女将さんから言われた、「ゆっくり、ゆぅ~っくり!」の言葉が蘇りました。
あぁ、そうだ。何も急いで出る事は無いんだ、ここでゆっくりしよう!
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湯西川で湯めぐりをすると決めて来ていましたので、ここに来る前は1箇所でも多く入って帰ろうと思ってたんですけどね。
これだけ良いお湯に出会ってしまうと、後の事なんかどうでも良いような気がしてしまい、気が付いたら洗い場で寝ころんだりしながら、たっぷり1時間は入浴を楽しみました。
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湯上りに誰もいなかったので女湯も見せて貰いました。
造りはほぼ同じですね。
それよりも気になったのが家族風呂です。
小さな浴室に小さな湯舟、浴室内に充満する硫黄臭は男女別浴場の比ではありません!
お願いしたら入れたかもなぁ~・・・
でも、たっぷり1時間お湯を堪能した後で、少しグッタリしていましたので、聞く事すら忘れてしまいました。
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帰り際、女将さんに「バイクで来たの~?」「大変でしょう、気をつけてねぇ~!」ってお見送りされました。
初めて来た所なんですけど、このお婆ちゃんとお話をしていると、何だか昔から知っていたような、妙な居心地の良さを感じるんですよね。
日本全国の温泉を巡っていると、お湯だけでなく人に癒されてしまう極上のお宿は結構あります。
そのひとつひとつは忘れ難い思い出になるのですが、この高房ホテルは、間違いなくその中のひとつです。
宿泊を辞められてしまったとの事ですので、いずれは日帰り入浴すら出来なくなってしまうのかも知れませんね。
この素晴らしい一湯に出会えた事は嬉しいのですが、それと同時に、いずれ来るべき日が来てしまう事を考えると、少しだけ寂しさを感じてしまいました。
出来るだけ早いうちに再訪をしたい一湯です。
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2023年 3月28日 - 初訪問・日帰り入浴
コメント
初めまして、昔こちらによく宿泊をしていた者です。
何年か前ですが、久しぶりに泊まろうと思い、電話を掛けてみたのですが繋がらず
どうしてしまったのかとずっと気になっていました。
そのような経緯があったのですね
数年来のもやもやが晴れました、本当にありがとうございます。
更新等大変かと思いますが、これからも頑張ってください。
応援しています。
>>匿名さん
コメントありがとうございます。
宿泊されたことがあるのですね?
とても良い温泉でしたし、女将さんの対応も良かったので、宿泊してみたかったです。
匿名さんが泊まられた時はどんなだったか知りませんけど、今は本当にひっそりとされていて、訪れる人にお湯を提供しているって感じですね。
もし機会があったら立ち寄りだけでも、是非!
とても気持ちが良いお湯でした。