含弱放射能-ナトリウム-塩化物泉
(和泉) 67.2度 / H2.5.14
Na+ = 380 / K+ = 26.5 / Ca++ = 32 / Mg++ = 1.4
Cl- = 527.5 / F- = 4.3 / SO4– = 49.4 / HCO3- = 159.3
H2SiO3 = 133.1 / HBO2 = 11.7 / CO2 = 3.1
成分総計 = 1329mg
他、源泉(河原)があるが、成分詳細無し
鳥取県東伯郡三朝町大字三朝302-1
0858-43-0211
内湯 ・ 露天/内湯/サウナ (時間による入れ替え)
1000円
15:00 – 21:00
私が尊敬する温泉の達人、温泉チャンピオンの郡司勇さん。その方が、ご自身の著書の中で、日本全国数少ない100点満点をつけたとされるのが、ここ、三朝温泉の旅館大橋です。
それはもう、行ってみるしかありません。しかし、調べてみると、とんでもない事実を発見。
宿泊料が、1泊2万円からと、とても高いのです。カニの時期となると、お料理にもよってですが、3万円以上がザラにあります。
じゃあ日帰りと思ったのですが、日帰り時間帯だと、評判の岩風呂は女性専用になっており、私には入る事が出来ません。
何だかとっても高級そうな、立派なお宿ですので、頼み込んでどうにかなりそうな雰囲気もありません。
根気良く何度も通えばもしかしたらチャンスもありそうですが、そうそう何度も山陰に行けない私からすると、一度断られたら即アウトなのです。
うーん、それでも行きたい。そんな事を考えながら、大橋のHPを見ていたところ、平日限定で安いプランが出ているではありませんか!カニがオフシーズンな為、「お試しコース」と言うのを設定
しているようで、1泊2食付きで15750円とあります。まだまだ高いですが、現実的な値段になってきました。
さらに、じゃらんでも予約が出来、ポイントが利用出来ます。ポイントが余っていた私は、貯まっていたポイントを全て使用し、そこから更に10%引きです。正直、それでもまだまだ、私にとっては高いのですけどね。
こんな機会は滅多に無いし、10月6日は紅鮭との結婚1周年と言う事もあって、奮発して宿泊してしまう事にしました。
で、宿泊当日。期待に胸を膨らませて到着した私。玄関先に車を横付けすると、お宿の方が出て来られました。
「予約していた牧野です」と伝えると、「お疲れ様でした」「ささ、お荷物を・・・」と、今まで私が何度も利用している安宿とは明らかに違う対応をして下さいます。
この時、私の格好は、Tシャツ、ジーパン、サンダル履きに、白ケロリン桶を片手の、いつもの湯めぐりスタイル。
玄関に上がると、仲居さんが正座してお出迎え。ケロリン桶を片手にやって来た客は、大橋の長い歴史上初めてなのではないでしょうか。仲居さんも私の珍妙な格好にビックリされている様子。
いやいや、この白いケロリン桶は貴重なんですなどと言うマニアックな説明をしよう物なら、余計に怪しまれてしまいそうです。私の考えが甘かったです。
高級なお宿へ行くには、それなりの格好をしないとならないのですね。ちょっと考えれば分かりそうなものですが、せめて靴下と靴くらいは履いて来るべきでした。
何とか追い出されずに中に入ると、ロビーに通され、「こちらにお掛け下さい」と、ソファを薦められました。何が始まるのだろうと待っていたら、なんと、抹茶とお茶菓子が出てくるではありませんか。
ええぇと、こんな飲み物、今まで私が宿泊したお宿で出てきた事ありません。
オカシイ、温泉宿の宿泊回数だったら、普通の人より遥かに多く泊まっている筈の私なのですけどね。完全にオノボリさん状態。作法とかさっぱり分かりません。
とりあえず、お菓子を食って飲む。うん、多分美味しい。でも、今の私には冷静に味を楽しむ余裕なんて無かったりします。
その後、宿帳に住所や名前を書いて、やっとお部屋にご案内。仲居さんが色々と丁寧に説明をして下さいます。何もかも、今まで私が泊まり歩いていた宿と、対応が違います。
高いお宿って、こんな感じのサービスなんですねぇ。と言うか、むしろ、これが一般的なのかな?
やっとこさ仲居さんがお帰りになり、安堵のひと時。この日のお部屋は、なでしこの間だそうです。
改めてお部屋を見渡すと、いやぁ、立派です。広々としていて快適!座椅子に肘掛が付いています。扇子でもあろうものなら、肘をついて、「越後屋、お主も悪よのぉ」とかやってみたくなります。
ちなみにこのお宿は建物が文化財に指定されているそうで、細部を見ると、歴史を感じると共に、造りの良さも良く分かります。改めて「良いお宿だ!」と実感出来ます。
テーブルの上には、気が利く事に、おつまみが用意されています。部屋の一角には冷蔵庫も完備。早速ビールと思って中を見ると、入っていたのはアサヒスーパードライの小瓶です。
お値段はなんと650円!想像していたけど高いです。
せめて大瓶で600円にしてとか叫びたくなりますが、ココまで来て倹約してたら余計侘しいし楽しくないので、頂きました。うーん、飲み屋より高いビールの味は、不思議と美味しく感じます。
部屋の前には川が流れており、白鷺がとまっていました。なんだか優雅な気分です。
さて、落ち着いたところで、夕食前にお風呂。この時間帯は女湯が岩風呂で、男湯は露天つきの新しい浴室です。
正直、岩風呂に期待をしていたので、あまり興味は沸かなかったのですが、折角来たのだからと、入って見ることにしました。お風呂はお宿の客室数などからすると、広すぎるくらいに立派なものです。
さすが、良いお宿は違いますね。
まずは内湯。玉子がふたつ並んでいるような可愛らしい湯船が、浴室中央にあります。洗い場も数人分。お湯は無色透明で、無臭。塩素臭もしませんが、温泉臭もしません。どうやらちゃんと掛け流しになっているようです。
肌触りがツルツルしますが、これと言った特徴は無いお湯。でも、鮮度は悪くも無く、期待していませんでしたが、気持ちが良いお湯です。
ふと洗い場を見ると、シャワーがずっと出しっぱなしになっていました。さすが、高級旅館ともなると、カランも掛け流しなのでしょうか。どうやら自動的にお湯が止まる筈のボタンが固まっていたせいで、叩いたら暫くして止まりましたが・・・
最後に使った人、ちゃんと止めてからその場を去りましょうね~!
続いて露天。内湯から外に出て螺旋階段を降りた所にありますが、その手前に寝湯がありました。
ひとりサイズです。とりあえず入ってみたのですが・・・このお湯からは塩素臭を感じます。残念だけどすぐに出てしまいました。
で、たどり着いた露天ですが、岩風呂になっています。目の前に川が流れていて、風情は良さそうなのですが、残念ながら衝立のせいで眺望は一切ありません。
お湯は無色透明で、内湯と同じものです。少し浅いので、寝湯のような状態で入る事が出来ます。少しずつ日が沈み、薄暗くなっている中で、ゆったりとした気分で入ることが出来ました。
さて、浴後。岩風呂は夜9時から男女入れ替えだそうで、先にお食事を頂きます。
時間になると、仲居さんがお部屋で料理の仕度を始めました。こんな時どうすれば良いのでしょうね。次の間の椅子に座り、ぼんやりと外を眺める私。
ある意味手持ち無沙汰。でも、こんな暇を楽しむのも、たまには良いかも知れません。そうこうしている内に、準備完了。
ビールを頂いて、まずは乾杯。お料理は前評判どおりに、一品一品とても綺麗に盛り付けられており、美味しいです。まるでフレンチのフルコースのように、後から後から、色んなお皿が出てきます。
途中で演出の為と、電気を消すシーンも。一体何が出てくるかと思いきや、キャンドルつきのお刺身盛り合わせが出てきました。
どれもとても美味しいです。お腹が空いていたので、ペロリと食べてしまいましたが、気付いたら満腹です。
たまにはこんな夕食も良いですねぇ!
食事の後、一休みして、外湯巡りなんかにも行って見て、さて帰ってきたら、お次はいよいよ待望の岩風呂です!この為に大橋に宿泊したのですからね!
綺麗な脱衣所で浴衣を脱ぎ、岩風呂の浴室に入って、驚きました。なんか、今までお洒落なお宿と言う感じがしていた大橋ですが、この浴室は雰囲気が違うのです。
良い意味で、手が加えられていなくて昔のままと言う感じがします。華やかな旅館のイメージから一転、湯治場の雰囲気が伝わる、実に渋い造りをしています!
まずは、浴室全体を見ると、湯船も岩風呂で、横に3つ並んでいます。
それぞれに、上之湯、中之湯、下之湯と書かれています。
まずは順番に、上の湯から。無色透明のお湯で、トリウム泉とあります。
三朝の温泉は放射能泉で、含有量が日本一なのだとか。尤も、放射能泉と言っても、放射能臭や放射能味ってのがある訳では無く、私個人的には何が違うのか良く分かりません。
適温43度くらいのお湯で、勿論掛け流し。湯口がありそこからお湯が注がれているようです。
3つの湯船はそれぞれ源泉が異なるので、何とも贅沢な話です。
特筆すべきは、中之湯。こちらも無色透明のお湯ですが、湯口は無く、お湯は足元自噴で湯底の岩の隙間から沸いています。尤も、足元自噴と言うだけでは、他所でも結構ありますけどね。
今日はこの大橋で、足元自噴6箇所目です。でも、この中之湯の何が凄いかって、お湯と一緒に出ている気泡の量なのです。
足元自噴の気泡と言えば、ポロロンと上がってくるのが普通ですが、ここのは、ボコボコと、まるで人口のジャグジーみたいです。凄いのですが、ココまでくると、逆に有り難味を感じないほどです。
お湯の温度は43度で、適温。ただ、ボコボコと上がってくるジャグジー気泡のため、お湯が絶えず揺れており、アッと言うまに体力が奪われていきます。
放射能泉は温まると聞いたこともあるので、それも影響しているのかも知れません。
こんな凄まじい気泡は、他所ではなかなかありません。これに近いのを探すとしたら、秋田の八九郎温泉くらいかな?
並べて比較すると八九郎の方が強烈ですけど、ココも十分過ぎるほどに凄いです!
最後に下之湯。こちらも足元自噴です。お湯はどれも似たような印象で、無色透明無臭。少しだけツルツルしないでもありません。少しカリっと硬い感じがするお湯です。鮮度が良いのでしょうね。
下之湯も気泡が上がっていますが、こちらは中之湯のようなジャグジーでは無く、ポロロンと上品な感じです。とはいえ、その気泡も止まることを知らず、ずっとあがって来ています。
こちらのお湯は41度くらいで少し温めです。気泡を背中で受け止めながら入っていると、コロコロとくすぐったく、気持ちが良いです。
放射能泉だからでしょうか、もしくは、中之湯に入ったあとだからでしょうか、温いとは言ってもしっかりと温まります。
中之湯のジャグジー気泡も良いですが、私にはこっちの方が好みだったりします。滞在中に何度か岩風呂に入ったのですが、中之湯3割、下之湯7割で、下之湯に浸かっている時間の方が長かっ
たです。中之湯のような強烈なのは全国を探しても貴重なわけで、今考えると、ある意味贅沢と言うか、勿体無い事をしたかもしれません。
さて、お風呂も堪能して、一夜明けて翌朝。ふかふかの布団と、川の流れる音に癒されて、グッスリ寝ることが出来ました。
お陰でとても気持ちが良い目覚めです。
勿論お風呂に入って、いざ朝食。朝ご飯もバッチリ、とても美味しいものです。
昨日沢山食べた筈なのに、ペロリと平らげてしまえるから不思議です。
最初少し居心地が悪く感じたお宿ですが、慣れてしまうと、快適で、チェックアウトしなければならないのが少し辛く感じます。
宿から立つ際、お宿の方や仲居さんが、車が見えなくなるまで手を振ってお見送りして下さいました。
たまにはこう言う贅沢なお宿も良いですね。
私は温泉好きと言っても、鮮度重視、小浴槽鄙び旅館マニアですので、一般的に言う「温泉好き」とは少しベクトルが違います。そんな事を改めて感じさせられてしまいました。
お湯は言うまでも無く最高!また、私にとっては初めて泊まったと言っても良い、ハイクラスなお宿でしたので、とても良い思い出になりました。
たった1泊の滞在でしたが、ここ大橋さんで過ごした時間は、恐らく一生忘れないでしょうね。
とても素敵な一湯でした!
動画
2008-10/9
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