酸性硫黄泉?
鹿児島県鹿児島郡三島村硫黄島
野湯? 野湯ですらなくて、温泉が湧いている海岸と言った方が正しいかも?
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24時間 (干潮時で波が穏やかな時のみ)
鹿児島の離島、硫黄島にある温泉です。
ウータン温泉とも呼ばれますが、当ホームページではウタン浜温泉(大谷温泉)と言う名前で紹介します。
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なお、硫黄島については、硫黄島備忘録と言う特設ページ?で色々と書いてみましたので、お暇がある方はご覧下さい。
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硫黄島港から平家城展望台に向かって車を走らせること、およそ10分。
もう間もなく平家城展望台に到着と言う辺りに、「 大願成就の島 大谷(ウータン)入口 [徒歩10分] 」と書かれた、目立つ看板があります。
大願成就って言葉の意味だけならば分かるけど、大願成就の島? 大谷ってなんなのだろうか?
島内にいる間にもう少し調べておけばよかったと、少しだけ後悔。
いずれにせよ、この看板が目印です。
ここから降りた先に温泉があるのだそうです。
看板の所に車を停めて、ハイキングコースのような道を歩きます。
最初は緩やかな下り坂ですが、少しずつ傾斜がきつくなりますので、足元は注意。
我が家は、「途中で危なかったら引き返そう」「どうせ見るだけで入れないだろう」ってくらいの気持ちでしたので、恰好がかなりラフです。
我が家の女子3人、全員スカートなんですよね。
間もなく小学生になろうとしている次女6歳に至っては、太陽の光に当たってラメが輝くヒラヒラのドレスで、自然を舐め腐った恰好をしています。
私はちゃんと「せめてズボンにして!」と言ったのですが、本人がどうしてもその恰好で行きたいと言うもんですから・・・
でも、そんな恰好でも何とかなってしまう道のりでした。
この日は晴天で風も穏やかだったのが幸いしたみたいです。
強風だったり足元が濡れている時は滑りやすいので特に注意。
普通、海に近づくと、潮の臭いがしますよね?
ここはちょっと変わっていて、海岸に近づけば近づく程、硫黄臭がしてきます。
で、斜面を降り切ったら、岩場に到着。
少し前から感じていた硫黄臭がかなり濃くなっています。
その硫黄臭を嗅ぎながら、より臭いが強い方を探していたら、何だか良さそうな場所を見つけました。
ただでさえ温泉成分で島の周りの海水が変色しているのですが、この一帯の変色は特に強くて、はっきりと白濁しているんですよね!
当然ですが、岩場の波打ち際なので、湯舟なんて気の利いたものはありません。
でも、大きな岩に囲まれていて、波がモロに当たらないような居心地良さげなスペースです。
最初は見るだけで済ますつもりの私でしたが、目の前の光景と硫黄臭に頭がおかしくなったのか、「これ、入れるんじゃね!?」って気がしてきました。
で、白濁している海水を触ってみると・・・
ん? 温いぞ!?
幾ら南国鹿児島の離島とはいえ、この日は1月です。
それなのに、水温は30度位ありそうです。
暖かいとまでは言いませんけど、決して寒さを感じるような温度ではありません。
と言う事で、入ってしまいました!
海から押し寄せる波はそれなりに冷たいですが、どこからともなくお湯が沸いてるようで、波が引くたびに海岸側から暖かいお湯が流れてくるのがわかります。
この日は風が穏やかで波は高くありませんでしたが、それでも体が持っていかれる程には揺れます。
バランスを取るので精一杯。
泉質は・・・?
うん、良く分かりませんけど、とりあえず「酸性・含硫黄・多分アルミニウム-ナトリウム・ほぼ海水強塩泉」って感じですかね?
波が激しいので意図せずに口の中に海水が入るのですが、当然ながらショッパイです。
でも、それ以外にも確かな酸味と、硫黄の味が混ざっていて、複雑怪奇な味がします。
飛沫が目に入ると沁みます。
お湯? 海水? の臭いは、ハッキリと分かる硫黄臭。東温泉の場合、湧出口では硫黄臭がありましたが、お湯そのものからは硫黄臭を感じませんでした。
でも、ここの場合、お湯?海水?からもハッキリと硫黄臭を感じる事が出来ます。
海水ですから潮の臭いも僅かにしますが、硫黄臭にかき消されています。これが普通の温泉だったら「強い硫黄臭と、その他、潮臭のような成分臭」って感じの感想だったでしょうね。
う~ん、どこまでが温泉で、どこからが海なのか分からない(と言うか、そもそもこれは温泉ですらないかもしれない)けど、気持ちが良いぞぉ!?
これだけ大量加海水されていても温泉の特徴がハッキリ残っているのですから、源泉はかなり濃いのでしょうね。
もし東温泉のような湯舟があって、ピュアな源泉だけでて波と戦わず穏やかに入る事が出来たら、どれだけ素晴らしかった事でしょう?
でも、ざぶざぶと波に揺られながら入るのも、結構楽しいです。
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私が波に揺られながら 遊んで 入浴していたら、いつの間にか子供達も脱いでお湯?海水?に浸かっていました。
波が強いのでキャッキャとはしゃいでいます。
海遊びみたいな感覚なのでしょうね。
ふと気付いたら、子供達が一箇所に固まってじっとしています。
何かと思ったら、良い具合に源泉が沸いている箇所を見つけたみたいで、そこだけは他よりも暖かくて40度弱ありました。
浅すぎるのでお尻しか入れませんが、桶で掬って掛け湯して暖を取る事が出来たのは有難かったです。
口に含んでみたところ、かなり酸っぱいレモン味と硫黄味、複雑怪奇な苦みとエグ味があり、東温泉に似ています。ただ、しっかり海水が混じっていて、かなりの塩分を感じました。
↓ 源泉湧出箇所
ここは時折気泡がポロポロとあがる程度ですが、こんな感じの湧出箇所がこの海岸一帯あちこちにあるのでしょうね。
干潮を狙ってきましたが、この日はタイミング悪く、干潮でも潮位が120cm程ありました。(もっと潮が引くタイミングは深夜だったので、その時間を狙ってくるのは流石に無理)
もしタイミング良く更に潮位が低ければ、もう少し湧出箇所を確認出来たかもしれません。
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何はともあれ、入れるとは思っていなかったウタン浜温泉に入る事が出来て、感無量です!
次回来る際は、もう少し季節が暖かくて、潮位がもっと低いタイミングで再訪してみたいです。
自然と一体になる事が出来た素晴らしい一湯でした。
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2023年 1月5日 - 初訪問・日帰り入浴
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