佐賀県

ヌルヌル有田温泉 (有田温泉) ★4.0

ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉
(源泉名:有田温泉 スイミングスクール源泉)
17.7度 / pH9.43 / 動力揚湯 / 毎分130L / H19.1.30
Na+ = 404.8 / K+ = 1.8 / Ca+ = 0.8 / Mg+ = 0.3 / Li+ = 0.1
Cl- = 8.9 / F- = 5.2 / SO4- = 5.2 / Br- = 0.2 / HCO3- = 670.3
CO3- = 139 / BO2- = 8.3
H2SiO3 = 14.9 / CO2 = 2.8
成分総計 = 1262mg

佐賀県西松浦郡有田町南原甲902
0955-42-6988
男女別内湯・露天風呂(水風呂) / 貸切風呂
大人680円、小中学生450円、小学生未満無料 / 貸切個室利用料 2300円(90分)
10:30 ~ 22:30

鹿児島 → 東京に帰る途上、ハウステンボスで遊んで一泊。その翌日は九十九島で水族館や遊覧船を楽しみ、後は東京に向かって高速を走るだけ。
折角だから最後に一箇所だけ温泉に入って行こうと思い立ち寄ったのがここ、ヌルヌル有田温泉です。

実は、私にとって佐賀県の温泉ってここが初めてなのです。
佐賀には嬉野とか武雄など、有名な温泉地があるので、いつかはと思いつつ、どうしても熊本や大分なんかに足が向かってしまうんですよね。

そんなわけで、記念すべき、佐賀県の第一湯。
その名も・・・

ヌルヌル有田温泉!

なんか、もう、名前のインパクトが凄まじいです。

調べてみたら、要は、肌触りがヌルヌルするからだそうです。
「有田って誰だよ! ヌルヌルだったら秋山にしておけよ!」って言いたくなりますけど、「有田焼の有田だよ」って言えば、あぁナルホドってなる人も多いのではないでしょうか?

余談ですが、骨董品で「古伊万里」ってのをよく聞くと思いますが、有田で焼いた陶磁器を伊万里港で船に積んで日本のみならず海外まで運んでいた事に由来します。
ザックリ言うと、伊万里焼 ≒ 有田焼で、古伊万里 ≒ 古い有田焼って事ですね。

そんな訳で、ヌルヌル有田温泉に向かう途中、歴史ありそうな窯元を何軒か見ました。
時間が無いのでそのまま通過しましたけど、いつかゆっくり立ち寄ってみたいものです。

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で、ヌルヌル有田温泉に到着。
最初に目に飛び込んできたのは、「有田スイミングスクール 温泉プール」と書かれた建物。
なんか、プールサイドとかヌルヌル滑って、転んでけがする人が続出しそう・・・

温泉はプールの裏、ちょっと分かり辛い場所にありました。
個室風呂や食事処、キャンピングカーで車中泊出来るRVパークなんかもあります。
結構色々とやっているみたいです。

敷地は広いけど、中は割と小ぢんまりとしています。
脱衣所はちょっと狭め。
まぁ、不自由に感じる程ではありませんけどね。

お風呂は内湯と露天があります。
まず内湯。洗い場と浴槽がしっかり離された所にあり、まぁ、よくある温泉銭湯な造りです。
入った瞬間に感じたのは、かなり強めの塩素臭。

まぁ、沸かしの冷鉱泉ですので、これはこれで仕方がないです。
浴槽内のお湯は当然のように循環されています。

浴槽内は強めにジャグジーされていて、どこに陣取ってもボコボコとお湯が揺れて落ち着かないです。気泡が弾けて顔面に塩素臭が襲ってきます、かなり強烈!
鼻が曲がりそうなので、臭いだけで評価をしたら、最悪と言っても良い位です。

ただ、屋号にヌルヌルと冠するだけあって、肌触りの良さは本物です。
正直、「ヌルヌルと言っても、どうせ宣伝文句でたいした事ないでしょ?」と想像していましたので、かなり驚きました。思わず無意味に肌をさすってしまう程です。
ヌルヌル度合いで言ったら、中山平温泉の丸進別館レストハウス星沼(残念ながらどちらも廃業)には遠く及ばないものの、それを髣髴とさせるものがあります。

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これだけ良いお湯なんだから、源泉浴槽でもあれば良いのに・・・

なんて事を思いながら、露天風呂に出ると、大きな湯舟がひとつ。
足を入れて見たら、冷たっ!!! なんと、非加熱の源泉浴槽でした。
水風呂でこんなに大きいってのも、ちょっと珍しいです。完全に意表を突かれました。

こちらも一部ジャグジーされており、僅かながら塩素臭がしますが、湯温が低い事と換気が良い事もあってか、内湯と比べて塩素臭は弱めです。

特筆すべきはネットに包まれた湯口のお湯。
ここから新湯が投入されているのですが、桶に湯口のお湯を貯めて観察してみたところ、はっきり分かる硫黄臭がして、かなりヌルヌルします。
鮮度の良し悪しでお湯の印象は変わりますが、冷鉱泉の場合はそれが顕著ですね。

ヌルヌル度合いは加温されている内湯よりも強く、かなり気持ち良いです。

ただ、季節は1月、寒すぎて長時間は浸かっていられません。
内湯で体を暖めてから露天に入る事を繰り返していたら、施設の人が黄色い液体を持ってやってきました。
浴槽内のお湯の濃度計測をして、内湯と露天両方の湯舟に黄色い液体を投入。
どうやら塩素のようです。

塩素追加後の内湯の塩素臭は、それはもう凄まじいです。体を暖めるだけだとしても、あまり浸かりたくない程の強烈さ。
少し名残惜しさも感じましたが、そろそろ女湯も上がる頃だろうと思って、露天湯口の源泉を桶一杯、頭からかぶって出てきました。

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浴後、待合スペースで張り紙発見。
「レジオネラ菌を死滅させるために、塩素濃度を0.5以上(塩素測定)保っております。」と書かれています。
まぁ、レジオネラ菌もですけど、コロナも怖いですからね~
利用者の数も多かったし、仕方が無いのかな・・・

それよりも興味深かったのは、「アルカリ水素イオン9.0以上の温泉 上位23か所」とある一覧です。
「あれ?pH11を超えてる都幾川温泉や白馬八方温泉は?」「pH9以上の温泉だったらもっと沢山あるんじゃない?」なんてツッコミ所もありますが、pH値が高い順からランキング形式で並んでいるようです。
そんな中、ヌルヌル有田温泉は堂々の9位だそうですが・・・

どんな意図で張られた表かは置いておいて、化学的な知識が皆無な私が言っても説得力ありませんが、pH値ってヌルヌルと関係無いと思うんですよね。
私は、炭酸イオン(CO3–)の値が大きい温泉ほどヌルヌルすると信じています。

一例ですけど、この表の中で1位になっている山梨県の湯沢温泉、恐らく不二ホテルの事だと思われます。私が訪問した際の成分表によるとpHは9.6のアルカリ性ですが、ヌルヌルどころか、肌にまとわりつくシットリ系と言う印象。炭酸イオンは未検出で、0mgだそうです。
3位とされている山梨県のはやぶさ温泉、こちらは私が入浴して成分表を確認した際はpH9.8で、炭酸イオンは13.2mgでした。強アルカリ性ですが、少しツルツルする程度で、ヌルヌルだったと特筆する程ではありません。

一方で、内湯を紹介する際でも触れた宮城県中山平温泉の丸進別館はpH9.6で炭酸イオンは脅威の166mg、こちらは物凄いヌルヌルのお湯で、私はこれを超えるヌルヌル湯を知りません。
和歌山にある奥熊野温泉女神の湯、私が訪問した際は成分表確認できませんでしたが、かなりヌルヌルのお湯でした。後日調べたらpH8.6でpHだけで言うと弱アルカリ程度ですが、炭酸イオンが豊富なんですよね。

で、こちら、ヌルヌル有田温泉ですが、炭酸イオンが139mgもあり、かなり高濃度。
このランキング表がどんな意味なのかは知りませんが、ヌルヌルなんて言う変な名前を冠しても恥じる事の無い、全国レベルで素晴らしいお湯でした!
(それだけに塩素臭が悔やまれる)

ついでに気になるのは、2箇所ほどある単純硫黄 鉱泉。
一体どんな泉質なんでしょう、かなり怖いのですが・・・

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最後にひとつ。

浴後、待合スペースにいたら、黒猫がウロウロしてました。
ウチの娘が触ろうとしたら、黒猫ちゃんはどこかへ逃げてしまい・・・
それを見ていた、常連と思われるお婆ちゃんが、ソファの上に置かれているタオルの山を指さし、「そこにも一匹いるよ」と教えてくれました。
タオルをめくると、本当にいました、もう一匹。

看板猫だそうで、モモちゃんというそうです。
気持ちよさそうに寝ていたのを、起こしちゃってゴメンナサイ。
でも、娘が頭を撫でても嫌な顔せず、看板猫に相応しい接客をしてくれました。

なんでも、ここの社長さんが猫好きだそうで、他にも色んな猫に会えるみたいですね。

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私にとっては、記念すべき佐賀県の第一湯目。
変な名前の施設でしたが、とても個性的なお湯に加えて、猫に癒されると言うオマケつきで、とても印象に残る一湯となりました。

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2022年 1月8日 ー 初訪問・日帰り入浴

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