和歌山県湯の峰温泉

つぼ湯 (湯の峰温泉) ★5.0

含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉

成分表の掲示なし

和歌山県田辺市本宮町湯峯
0735-42-0074
貸切内湯
750円 (くすり湯 or 一般湯に一回無料で入れます)
6:00 – 21:30

先日世界遺産登録された紀伊半島一帯の熊野古道。湯の峰温泉はその世界遺産登録された地域の中にあり、この「つぼ湯」は浴場として世界で唯一世界遺産の登録を受けているとても貴重な一湯です。
そんな話を聞き、これは是非ともと思っていましたが、なんせ和歌山。東京からだと物凄く遠いわけで、なかなか行く事が出来ません。
そんななか、たまたま紅鮭が会社の伊勢保養所をゲットして来たので、和歌山は伊勢がある三重県の隣だし、伊勢に行く途中和歌山に立ち寄らせて貰うことにしました。

・・・ハイ。紀伊半島の土地勘がある方であれば、ココで「ん?」となっていると思います。
私が目指した湯の峰温泉は伊勢から200km近くあります。しかも、高速を利用出来る区間がほとんど無く、延々と一般道を走る必要があります。
東京から行く場合、一旦伊勢を通過し、和歌山で湯巡りをした後、もう一度伊勢まで戻る必要があり、効率的ではありません。
しかし、一度「行く!」と決めてしまった以上、今更諦める事は出来ず、多少(かなり?)強行軍ではありましたが、行って参りました。
ちなみに、この日の行程ですが、金曜日は18時まで仕事。帰宅後準備をして20時頃出発。
湯の峰目指して650kmほど走破し、翌朝4時に到着。朝一番でつぼ湯に入り、周辺湯巡りを14時頃まで行う。その後伊勢に向かい、18時頃伊勢に到着と言うものでした。
いつ寝てるんでしょうね、このヒトは・・・(笑)(注-実際は途中で仮眠取ったり紅鮭に運転代わって貰ったりしています)

さて、そんなこんなで辿り着いた、念願の湯の峰温泉つぼ湯。開湯は6時からなのですが、かなり早い早朝の4時に到着してしまいました。
なんでこんなに早い時間に来たかと言うと、このつぼ湯、とても小さなお風呂ですので、先着順で貸切なのです。
先日訪れた友人の話だと、5時半に行っても3番目だったそうで、是非1番に入りたいと気合を入れて来たのです。

ただ、いかんせん早すぎたようで・・・4時の段階では周囲は真っ暗で、先客どころか、人の気配すらありません。
3月の下旬とはいえ、まだまだ寒く、受付けに並んでいると風邪を引いてしまいそう。

周辺を散策してみたところ、玉子や野菜を煮るための湯筒と言う、湯畑のようなものがあり、その一帯の地面がとても暖かいのです。
また、周囲は湯筒から立ち込める硫黄臭プンプンな温かい湯気がモウモウで、天然の暖房みたいな感じになっています。
しかたがないので、受付けに置手紙をして、地面が暖かい所に寝転び、岩盤浴状態で時間が過ぎるのを待ちました。なんだか猫になったような気分です・・・

で、5時半頃、やっと管理人さんが到着。この日はまだ他のお客さんはおらず、無事に1番乗りで受付けをしてもらうことが出来ました。
しかも、本来であれば時間外なのですが、有難い事にすぐに入れていただく事ができ、大感激です。
なお、受付けで750円を支払うと、番号札を貰う事が出来ます。私の場合は一番乗りでしたので、番号札も1番。この札をつぼ湯の入り口に引っ掛けてから入浴をすると言う仕組みです。
750円と言うととても高い金額のようですが、この金額で共同浴場の「くすり湯」か「一般湯」のどちらかにも入る事が出来るので、2箇所分と考えればそれほど高いと言う感じはしません。
ただ、世界遺産登録前まではつぼ湯だけで260円だったそうで、その頃の事を知っている人にとっては割高に感じてしまうかも知れませんね。

つぼ湯は、受付けから50メートル程歩いた、小さな小川に架かる橋の下にあります。
道路上からは屋根しか見えず、小さい事もあって、気付かずに見過ごしてしまいそうなものですが、とても風情がある素晴らしいものです。
1番札を浴室入り口に引っ掛け、中に入ると、それはもうとても小ぢんまりとしたものです。
天然の岩で出来た岩風呂になっており、貸切利用となってしまうのも納得な小さな湯壷がひとつ。脱衣所は浴室と一体型で、上手に掛け湯をしないと脱衣スペースのスノコにお湯が掛かってしまいそうな狭さです。
湯壷には灰白濁のお湯が張られていました。

さて、お湯の印象ですが、サラサラする肌触りの硫黄泉です。ほんのり甘く優しい玉子臭に、明礬臭のようなものも混じり、とても心地が良いものです。
事前情報ではとても熱いと聞いていましたが、少し温く感じてしまう程度の40度しかありません。
浴槽の底には石ころが敷き詰められており、奥の方から熱いお湯が自噴している事が分かります。
湯量はあまり豊富ではありませんが、結構熱めのお湯が沸いていますので、恐らく管理人さんが気を利かせて加水し温度調整をしてくれた模様。
加水のせいでどれだけ薄くなっているかは不明で、濃度に対する不満はありませんでしたが、温いのだけはかなり残念な気分。
うーん、管理人さん、良かれと思っての事だとは思いますが、正直な感想、加水は必要に応じてこっちで勝手にさせて貰うから、手をつけずに激熱のままにしておいて欲しかった・・・

ただ、そのお陰と言うべきか、与えられた30分の間、ほとんどずっとお湯の中に浸かっている事が出来たので、悪い事ばかりとは言えないのですが・・・
お湯から上がる頃には1~2度温度が上がり、だいぶ良い具合になってきたのですが、与えられている30分を超えて入浴する事は出来ませんので、後ろ髪を強烈に引かれながらもその場を後にしました。

湯上り、気が付けば街並みがぼんやりと明るくなっていました。
なんだか夢から覚めたような気分。先ほどまで真っ暗な中湯筒の脇でずっと待っていた事や、念願叶って入浴できたことが、夜明けと共に少しづつ幻となって消えていき、振り返ってみると全て夢の中での出来事だったような気がしてきます。
橋の上からつぼ湯を見下ろす。見れば見るほど素敵な湯屋で、つい数分前まで自分がそこで入浴していたと思うと、喜びや達成感がふつふつと胸の内から沸きあがって来るのが分かります。
ただ、それと同時に、ひとつの大きな目標を失ってしまったような気分で、寂しさと虚脱感も残りました。

細かい事を言えば、お湯が温かったので、最高評価を与えるのもどうか迷いましたが、ここに入るまでのひとつひとつを思い返すと、どれもが忘れがたいとても良い思い出になった訳で、私の中での評価は★5つとしました。

余談ですが、その後共同浴場に入り、7時頃に管理人さんに聞いたところ、6組待ちだそうです。土日では当然のように数時間待ちが予想されますので、行く際は是非早朝1番風呂を狙う事をオススメします。
ただ・・・幾らなんでも4時は早すぎですけどね。^^;

2007-3/24

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