酸性含硫黄-ナトリウム・硫酸塩・塩化物泉
群馬県吾妻郡嬬恋村大字干俣万座温泉2401
0279-97-3131
男女別内湯 ・ 露天風呂
1000円
10:00~17:00 (入浴受付 16:00迄)
ずいぶんと久しぶりの再訪です。
キッカケは、インターネットで宿を予約出来る「トクー」を眺めていたところ、なんと2食付きで3960円とありえない宿泊料金で出ていたからです。
別にリクエスト予約と言う訳でも無さそうで、本当にこの金額で泊まれるみたいだから驚きです。
衝動買い的に「トクー」のプレミアム会員に申し込み、予約をしました。
トクーは安いと聞いていましたが、こんなに安いとは・・・と言うか、これで旅館の元は取れるのでしょうか?
金銭感覚が麻痺しそうな安値です。1泊2食で8000円の宿が、えらい高級旅館に思えてきてしまいます。
それ以前に、どんな食事内容なのかが心配・・・
さて、当日。4月12日は、まだ渋峠(志賀草津道路)が冬季閉鎖で開通していないので、有料の万座ハイウェイを利用する事になります。
このハイウェイ、1020円も取ります。
暴利です。度々万座を訪れている私ですが、コクドにお金払うのも馬鹿らしいので、今まで一度しか利用した事がありませんでした。
今回は3960円の魅力に負けて使う事になった訳ですが、やっぱり悔しい。
さて、到着した万座温泉ホテル。初めて行くところではないので、懐かしいです。
フロントでチェックインすると、従業員の方が丁寧にお部屋まで案内して下さいました。
従業員の方々は廊下ですれ違うと必ず挨拶されます。非常に感じが良いです。
3960円の客なので、どんなぞんざいな対応をされるかと恐れていましたが、何だかVIPになったような気分です。
お部屋は「ゆけむり荘」と言う、本館の受付からはかなり歩く場所です。ここから本館に戻るには階段とエレベータでかなり登る必要があり、結構苦労します。まぁ、3960円です
ので、屋根がある部屋に通されるだけでも感謝しなければなりません。3960円と言う金額の前で、文句など言っては、天罰が当たりますね。
部屋に通された後、食事をしました。お風呂のレポートは後回しで、まずは食事から。
1泊2食で3960円。一体どんな物が出てくるのだろうかと、恐る恐る食堂へ行ってみると、従業員のお兄さんが笑顔でお出迎え。
名前を告げると、席に案内されました。一通りの物が既に用意されていたのですが、意外と良い。と言うか、学校の給食みたいなのを想像していましたが、小鉢が沢山つく所謂普通の旅館食です。
地の物が中心で、好感持てます。
暫くすると、従業員のお兄さんが暖かい天麩羅のつゆと、味噌汁を持ってきました。ちなみみにご飯はセルフサービス。
電気釜が置かれている所には、ゴマ、みつば、鮭フレーク、海苔、ワカメ、梅干、だしつゆなど、色々とトッピングがあり、好みでお茶漬けを作れるようになっています。
お兄さんの働きっぷりも非常に素晴らしい。常に笑顔、ハキハキしていて、ビールをお願いすると元気良く持ってきてくれます。
しっかりお腹が満たされて満腹になってしまいました。
朝食はセルフサービスです。大食堂で、空いている席を自分で見つけて、後はお好きにどうぞと言うパターン。
3960円組みも、もっと沢山払っているであろう人たちも、どうやら一緒のようです。(特別室の人とかは違うのかな?)
和、洋と、色々揃っていて、要はビジネスホテルの朝食をちょっと良くした感じの物です。
好きな物を自分に合った分だけ食べる事が出来るのは良いですね。
トクーの口コミ等を見ると、肉が少ないと文句を言う人もいるようですが、そんな人にちょっとマテ!と言いたい。3960円で一体どんだけ期待してるのだ!?
そんなに肉を食いたいなら、他所の旅館で、吉野家の豚丼持参で素泊まりしたら良いのです!それでも3960円の予算で収まるかどうか・・・
まぁ、いつでもこの金額と言う訳では無さそうですけれども、私はこの驚異的なコストパフォーマンスは特筆に価すると思いました。
さて、飯の話はこれくらいにして、お風呂。
お風呂は「大浴場」と、「露天風呂」、あとつい最近出来たと言う「万天の湯」があります。
日進館にあった鉄湯とラジウム湯は万天の湯のオープンに伴い、使用出来なくなっていました。
まずは大浴場。内湯には姥湯、苦湯、滝湯、真湯と、湯船が4箇所あります。
湯船の数が多いので、それぞれの感想を箇条書きに列記。
姥湯:脱衣所から入って目の前にある、3~4人程度入れる小さめの湯船です。
湯船の前には「源泉100%」と書かれていました。
お湯はうっすら青みを帯びて見える、透明の物。わずかに白い湯花が浮遊しています。温度は42度程度の適温。
湯口からはお湯がざばざばと注がれており、鮮度は良い感じです。
元々源泉温度が高い万座で、この湯量を源泉100%掛け流すとは、どう言う仕組みによる物だか不明です。そもそも温泉成分表等が脱衣所などに見当たらない
ので、源泉温度すら分かりません。ただ、ここのお湯が内湯の中では一番濃く感じました。
強硫黄臭で、酸味あり。肌触りはぬめり感のある物で、お湯から上がるとキシキシ感ありでした。
苦湯:姥湯の隣にあり、10人以上でもゆったりと入れる、大浴場内で一番大きな湯船です。
白濁のお湯が張られており、43度程度の適温です。
どの源泉が使用されているかは不明ですが、こちらのお湯は、姥湯に比べると硫黄臭が控えめで、鮮度もまずまずです。加水で温度調整がされているようです。
滝湯:舞台湯で、真湯と並んでいます。こちらのお湯はぬるめで40度程度でしょうか。
湯口が高い所にあり、ドボドボと注がれています。恐らく打たせ湯なのだと思いますが、私が見ている限りでは、打たせ湯として使っている人はいませんでした。
硫黄臭があり、透明。白湯花が舞っています。姥湯に比べると鮮度・硫黄臭共に落ちる印象ですが、苦湯よりも良い感じです。
真湯:無色透明、無味無臭。名前のとおり、お湯を沸かしている物と思いますが、成分表などが無いため、利用状況は不明です。熱くて46~47度程度ありました。
温泉かどうかの真偽はともあれ、強烈な硫黄泉が並ぶ浴室内に、熱くて特徴の乏しい真湯があっても誰も見向きしません。
私は一応入りましたが、見ていた限りでは、手を入れて熱さに驚いている人は多々いましたが、実際に入っている人は皆無でした。
内湯の印象は、とにかく立派な物を作ったなぁと言う印象。これだけ湯船があると、ちょっと楽しいです。難点は、滑り止めだと思いますが、床が板でゴツゴツしていて歩きにくい事です。
続いて露天。内湯にくっついたベランダのような造りで、しっかり屋根がついています。
男湯側は通りから丸見え。一応衝立で下半身は見られませんが、知らずに露天に出て、通行人と出くわすと、ビックリしてしまう事でしょう。
露天には湯船が2つ並んでいます。「姥苦湯」と「さゝ湯」と言う名前が付けられていますが、お湯はどちらも同じで、湯口からの新湯投入量を調整し、姥苦湯の方が41度程度、さゝ湯は43度くらいに調整されています。
うっすら青みを帯びた透明なお湯で、僅かに白湯花が舞っています。口に含むと酸味と硫黄味を感じますが、加水されているせいか、矢張り薄いです。
悪くは無いんですけどね・・・
露天・極楽湯
大浴場のベランダチックな露天風呂とは別に、フロントから100m程歩いた場所にも露天風呂があります。
こちらは男女別で、湯船が1箇所あるだけです。洗い場等は無く、ただお湯に浸かるだけの物。屋根も無く、遠くにスキーゲレンデが見える、とても開放的な物です。
お湯は白濁。私は朝入ったのですが、雪とお湯が眩しくて、目を開けて入っているのが少々辛いです。サングラスが欲しい・・・
お湯はしっかりと硫黄臭。湯口からは55度程度のお湯がドボドボと注がれていました。
全部投入すると熱すぎるのか、一部は湯船に注がれる事無く、洗い場に捨てられています。浴感はすこぶる良く、私が感じた限りでは、万座温泉ホテルではここのお湯が一番良く感じました。
例によって成分表など無いため、源泉名、源泉温度、加水の有無など、一切不明です。温泉である事は疑いようの無い事なのですが、ちゃんと掲示して欲しいです。
最後に、新規オープンした、万天の湯。本館からエレベータを使い、廊下を長々と歩いた所にあります。
こちらは内湯のみ。ただ、ガラス張りで採光が良く、開放感はあります。
湯船がひとつと、洗い場がある、シンプルな物です。張られているお湯は白濁。光の加減で少し灰色がかって見えます。
こちらのお湯は、以前まで日進館で使われていた鉄湯とラジウム湯を混合しているそうですが、例によって、成分表などの掲示が一切ありません。
温度は42~43度の適温。硫黄臭は結構強く、悪くありません。
ただ、別々の源泉を楽しむことが出来た以前の方が断然に良いです。
何で混ぜてしまったかなぁ。以前は日替わりで鉄湯とラジウム湯を男女で入れ替えていましたが、そのままのスタイルを貫いて欲しかったです。
単体で考えれば悪いお湯ではありませんでしたが、ちょっと悔しい気分になりました。
お湯の印象についてまとめると、「素晴らしい硫黄泉」です。普通の人が入る分には、文句は一言も出てこないのでは無いでしょうか。
ただ、温泉が好きな人にとっての万座温泉と言えば、ただのどこにでもある素晴らしいだけの硫黄泉では無く、他所へ行っても絶対に代わりは見つからない「究極の硫黄泉」だった筈です。
なんか、この程度に「良い」お湯だったら、他でもあるような気がして、ちょっと残念な気がします。少なくとも、万座でのベストチョイスはココでは無さそうです。
最高の源泉なのだから、最高の使い方をして欲しかった・・・
ともあれ、この破格な金額には、頭が下がります。
また、オーナーが夜な夜なやっている歌謡ショーも、多少説教じみた所がありますが、良いお話を聞けるので、ちょっと面白いですしね。
何だかんだで、また利用させて頂く事になると思います。
これ以上は変わって欲しくない一湯です。
2008-4/12
2020年6月 - 追記
その後何度も利用した万座温泉ホテル。
たぶん5回は泊ったと思いますが、いつも安いプランばかりで、一番高くても1泊2食で5980円くらいしか払っていないような気がします。
お湯が良いのは勿論の事、ご飯も美味しいんですよね。そして何より、信じられないくらいに安い!(← かなり重要)
あと、オーナーの泉堅さんが毎晩ロビーで歌謡ショーをやるんですよね。
上のレポートで「説教じみた」なんて書いてますが、ほんと、説教臭かったです。何度か泊まっていると、「また同じ歌うたって同じ話をしているや」って思っていました。
でも何だかんだで好きで、毎回欠かさず、楽しく見させていただきました。いつも良いお話をされるので前向きな気持ちになれました。
何より、これだけの規模のホテルのオーナーが、ホテルのロビーで浴衣を着た宿泊客相手に毎晩同じ歌を熱唱する。いつ行っても歌っている。普通出来る事ではありません。
最後に宿泊券なんかが当たるクジをやるのですが、一度も当たった事ありません。やっぱり安い金額で泊っておきながら宿泊券まで期待するのは間違っているのでしょうか?
そんな泉オーナーですが、2018年7月に天国へ召されたとの事。まだまだお若い方でしたので、行けば必ずお会い出来ると思っていました。
直接お話をした事無いですし、勝手に宿のレポートなんかする迷惑な客ですが、この場をお借りし天に召されたオーナー様の平安をお祈りいたします。素敵な時間をありがとうございました。
万座のお湯は大好きです。
正直な話、お湯はここより良い所あります。
でも、万座でどこが一番思い出深く、好きな宿かと言われたら、ここって答えるでしょうね、たぶん。
コメント