福島県

瀧川屋旅館 (横向温泉) ★5.0

単純温泉

福島県耶麻郡猪苗代町大字若宮字下ノ湯甲2970
0242-64-3211
混浴内湯 ・ 女湯
日帰り入浴不可

以前友人が宿泊しており、その際のレポートを読んで強く煽られた瀧川屋さん。
行きたい行きたいと願っておりましたが、なかなかその機会は訪れず・・・
何故かと言うと、日帰り入浴を受け付けていないお宿なのです。じゃあ泊まるしか無いのですが、宿泊だと1日2組限定で、そのうえお値段が高いっ!
庶民な私には到底縁の無い、高嶺の花だった訳です。

そんな折、私の友人の伝で、瀧川屋さんと懇意にしているG氏と知り合いました。
そのG氏からお話を聞くところによると、なんとこの瀧川屋さん、素泊まりでも宿泊を受け付けてくれる(場合がある)と言うではありませんか!
素泊まり価格ならば、私にも手が届きます。これはなんと嬉しい事でしょう!
G氏に手配をして貰って、念願叶って宿泊する事が出来ました。
この場をお借りして、お誘い下さった友人と、瀧川屋さんを紹介し、宿泊の手配をして下さったG氏、お二方には心の底から感謝いたします。

さて、その瀧川屋さん。横向温泉にある「マウント磐梯」から、道路を下り、砂利道のわき道入った先にあります。
行きやすいアプローチですが、秘湯のムードがたっぷりの素晴らしいロケーションです。

用意して下さっていたお部屋は、5人連れの私たちには広すぎるくらいの、立派なお部屋でした。
訪れた時間が遅くなってしまいましたが、お婆ちゃん(女将さん)は部屋を暖めて待っていてくれたようです。お婆ちゃんの優しさを感じます。
この日の宿泊は、私たちの一行だけです。瀧川屋さんは、一昔前は日本秘湯を守る会にも所属していたそうです。
その頃はさぞ賑やかだった事だろうと思いますが、今ではお婆ちゃんがお一人で、細々と切り盛りされています。
宿泊客の人数を制限しているのは、きっとお婆ちゃんの手におえる範囲で、精一杯のおもてなしをする為なのでしょうね。
隅々まで手入れがされた館内は、往年の賑わいを想像するに十分な、風情と気品を今に残しておりました。

さてさて、期待のお風呂。風情ある廊下を抜けた先にあります。
内湯のみで、浴室は2箇所。一応混浴と女湯に分かれていますが、この日はお宿自体を貸切で利用する形になりますので、好きな時に好きな方に入る事が出来ました。
良い温泉の多くが階段を降りた先にあるのですが、ここのお風呂もその例に漏れず、客間から下っていった先にありました。

最初に入ったのは、廊下から歩いて行くと右側にある、広いほうの混浴浴室です。
全体的に瀟洒で寛げる館内ですが、脱衣所に入った途端に、良い雰囲気と言う言葉だけでは表す事が出来ない、一種異様なオーラを感じました。
私も、人並みに色々な温泉に入るようになり、最近やっと分かってきたのですが、その先に良いお湯がある脱衣所って、独特な雰囲気を兼ね備えている気がします。
ここの脱衣所からは、お風呂に入る前から、「これは名湯だ!」と確信出来るような、そんな神々しさを感じるのです。

その浴室。私の確信が間違いでなかった事は、脱衣所の扉を開けた瞬間に分かりました。
今でこそ、お婆ちゃんが一人で切り盛りをする素朴なお宿ですが、凛とした気品は、今でもそのまま失われてはいませんでした。素晴らしい造りをした湯屋です。
木材をふんだんに使った和風の浴室は、なんと、浴室内に屋根がかかっております。
聞くところによると、宮大工によって釘を一本も使わずに建てられたのだそうです。

お湯も浴室の風情に負けぬ程の、素晴らしいものです。少し温めで笹濁りしたお湯からは、ほんのりと金気臭と土類臭、僅かなアブラ臭も漂います。
肌触りは少しペタペタする感触ですが、非常に柔らかくて、入り心地がとても良いです。
湯船は手前と奥の2槽に分かれており、奥に湯口があります。2つは浴槽内で繋がっており、どちらも温めですが、奥のほうが少し温度が高いです。

特筆すべきは、湯口から注がれるものだけでなく、足元からも自噴しているのです。
浴槽の至る所から、ぷくぷくと気泡が沸いて出ています。
気泡の量は、湯川内温泉のかじか荘とまでは行かず、時折あるだけで多くはありません。ただ、その分、運よく背中を気泡が走ったりすると、無上の幸せを感じる事が出来ます。
そのうえ、じっとしていると、肌に気泡まで付着するんですね。お湯が新鮮である事の証明です。
手前側の温い湯船は、40度を僅かに下回る程度のぬる湯で、ずっと入っていても殆ど疲れを感じません。
長時間お湯に浸かりながら、全身で源泉の素晴らしさを実感することが出来ました。

さて、もう一箇所あるのが、廊下から入って左側にある、女湯です。
2つの浴室は隣り合っているものの、廊下を隔てて少し歩かなければいけません。
しかし、この日は宿ごと貸切状態で、私たち以外は、おばあちゃんがいるだけです。
体を拭いて半裸のまま行き来してしまいました。
こちらも風情がある浴室ですが、混浴と比べると小ぢんまりとしており、至って質素な造りをしています。
お婆ちゃんは、こっちは温いので入らん方が良いと仰っていましたが、ちゃんと利用させて頂きました。

温度はおよそ38度。確かに温いですが、全然冷たくはありません。
茶色い湯花がモウモウと舞っており、お湯が動く度に肌をくすぐります。
お湯の印象は、基本的に右側と同系統ですが、僅かに金気臭が強く、アブラ臭が控えめな印象です。
こちらにも湯口がありますが、それと同時に足元からも沸いているようです。
温いお湯なので、いつまでも入っていられます。人肌より僅かに暖かいお湯で、布団を被っているような心地良い湯加減に、思わず眠くなってしまい、寝入ってしまいました。

暫くしてからハッと目が覚めて、急いで元いた混浴浴室に戻ると、友人が怪訝そうな顔をして「もう戻ってきたの?」と一言。
てっきり私は、長時間寝入ってしまったつもりでいましたが、どうやら僅か5分の間の出来事だったようです。
ありゃま、もう少しゆっくりしていれば良かったかな。
でも、今更また戻る気にならず、友人と一緒に、暖かいお湯でゆっくりと過ごしました。

念願が叶って入る事が出来た瀧川屋さん、私の大きすぎる程の期待を、一切裏切らない、素晴らしいお宿でした。
今回は、紅鮭は鹿児島に帰省する予定があったので、宿泊する事が出来ませんでした。
うぅむ、残念。これはぜひとももう一度行って紅鮭も入れてあげたいと思いました。
再訪必至となった、至極の名湯です。

2009-10/30

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