福島県

旅館大黒屋 (甲子温泉) ★4.0

カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉
(源泉名:有限会社元湯甲子温泉1号源泉)
45.1度 / pH7.8 / 動力揚湯 / 毎分413L / H26.3.13
Na+ = 76.2 / K+ = 3.3 / Ca+ = 201.6 / Mg+ = 0.9 / Sr+ = 0.6
F- = 2.8 / Cl- = 3.5 / SO4- = 595.3 / HCO3- = 58.3
H2SiO3 = 59.8 / HBO2 = 2.0
成分総計 = 1004mg

単純温泉
(源泉名:有限会社元湯甲子温泉2号源泉)
43.1度 / pH7.8 / 掘削自噴 / 毎分220L / H26.3.13
Na+ = 72.1 / K+ = 2.8 / Ca+ = 200.3 / Mg+ = 0.8 / Sr+ = 0.5
F- = 2.7 / Cl- = 3.7 / SO4- = 563.7 / HCO3- = 57.4
H2SiO3 = 56 / HBO2 = 1.8
成分総計 = 961.8mg

福島県西白河郡西郷村真船字寺平1
0248-36-2301
男女別内湯・露天風呂、混浴足元自噴
大人700円、小学生450円、幼児350円、0歳~2歳無料
10:00 ~ 15:00

以前から存在を知っており、いつかは行こうと思いながら、ずるずると行かないままにしている温泉が何箇所もあります。
その中のひとつがここ、福島県の甲子温泉。
山を挟んで栃木県側にある那須にはしょっちゅう来ているので、別に遠いって感覚は無いのですが、今まで来なかったのには理由があります。
それは、ここの名物である足元自噴の浴室が混浴だからなんですよね。
紅鮭も一緒だと日帰りでの混浴はハードルが高いので、いつか泊まりで行こうと思いつつ、行く機会を失い続けると言う、私にとってはよくあるパターンなんですよね。

今回は温泉仲間と一緒に湯めぐりをする事になり、ついて行ったらここに辿り着きました。
季節は既に11月も終わる頃、山の中なので気温も低く、数日前に降ったらしく路肩には雪が残っています。
宿の入り口は国道から外れて坂を下った先にあるのですが、一部アイスバーンになっていました。
私の車はノーマルタイヤだったので、数百メートル先の宿まで友人の車に乗せて貰い到着。

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さて、長年の課題だった甲子温泉の大黒屋。
日本秘湯を守る会の提灯がぶら下がっており、なかなか立派な建物です。
泊まると一泊15,000円からとなり、私にとっては気軽に泊まろうって気になれない金額。
そのせいもあって、今の今まで後回しにしていたんですけどね・・・
立ち寄りだと700円、東北の温泉として考えたら、それでも高い料金設定なのですが、宿泊代を考えたらリーズナブルに感じてしまうから不思議です。

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まずは、館内にある恵比寿の湯と言う、男女別のお風呂をお借りしました。
それぞれに内湯と露天があります。

内湯は洗い場数人分と湯舟がひとつ。
割と風情良くまとまっていますが、季節柄、浴室内が少し湯気蒸して息苦しく感じます。
こちらに使われている源泉は1号源泉で、 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉。

しっかりと掛け流しにされているお湯からは僅かに芒硝臭を感じる事が出来ます。
肌触りはサラリとしていて芒硝らしいサッパリとする気持ちが良いお湯です。

内湯からそのまま出る事が出来る露天にも同じ1号源泉が使われています。
こちらの方が湯気蒸すことなく少しだけ快適。

内湯も露天もお湯の鮮度はすこぶる良いです。

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お目当ての足元自噴のお湯は、母屋から橋を渡った先にあり、湯小屋になっていました。
大岩風呂は混浴ですが、すぐ隣に女性専用の櫻の湯があります。

雑誌などで見た事があるので、浴室の造りはおおよそ見当ついていましたが、写真で見るのと実物を見るのはまるで違いますよね。
中央には大きな湯舟が大部分を占める特徴的な造りで、洗い場になりそうなスペースはあるものの、カランなどはありません。

湯底は岩がそのままむき出しになっています。
この湯底からお湯が沁み出していて足元自噴になっているようです。
ただ、他の足元自噴にあるような、分かりやすく気泡がポロンポロンと上がっている箇所や、矢鱈と熱い箇所などは見当たらず、「どこから湧き出ているのかな?」と言う感じです。
それとは別に、浴室の一角には岩で組まれた湯口があり、そこからも新湯が注がれています。
一瞬、「岩から温泉が染み出しているって書いてあるけど、この岩の事!?」と思いもしましたが、お宿のHPにも「岩盤の足元から自噴する」と書かれているので、足元自噴である事には間違いが無いようで・・・

でもまぁ、お湯がどこから湧いているかは置いておいても、とても気持ちが良いお湯です。
湯底がとても深く、湯舟の縁に沿ってある段差を椅子のように腰かけて座るような体勢での入浴となります。体が安定しなくて少しだけ落ち着かないのはけど、それも含めての風情ですね。

ほんのりと芒硝臭が香るお湯にと浸かって、この見事な湯小屋を見渡していると、ずっとこのままゆっくりとしていたくなります。

大岩風呂の岩から染み出す源泉は2号源泉だそうです。
泉質は単純温泉ですが、お湯の印象は恵比寿の湯で入った1号源泉と全く同じです。
1号源泉は単純温泉ではなく「カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉」ですので、ずいぶんと違ったもののように聞こえます。
でも、ふたつの源泉の成分表をじっくり見比べると、温泉成分のバランスは全く同じで、数値もごく僅かにしか違っていない事に気が付きます。

これは余談ですが、同じようなお湯なのに泉質表記が全く異なっているのは、温泉法で成分総計1000mg未満だと単純温泉になってしまうからなんですよね。
1号源泉の成分総計は1004mgですので、ギリギリで1000mg以上に該当し、泉質名にカルシウムとナトリウムと硫酸塩と言う3つもの成分を記載する事が出来ます。一方の2号源泉の成分総計は僅かに及ばず961mgなので、単純温泉になってしまいます。

泉質名にカルシウム、ナトリウム、硫酸塩と書かれていると成分が濃いイメージが沸きますし、単純温泉って書かれているとただのお湯かよって気がしちゃいますよね。
どこかで線引きしなければならないので閾値があるのは仕方がないのですが、こんな僅かな差で決まってしまうのも、ちょっとどうなんだろうって思ってみたりします。

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何はともあれ、長年の課題だった甲子温泉に入る事が出来たのは素直に嬉しいです!
ただ、やっぱりと言うか、大岩風呂には先客がいましたので、紅鮭は入る事が出来ませんでした。
その代わりに櫻の湯に入れたので良しとしておきますが、いつかは宿泊しなくちゃなぁと言う課題だけは残ってしまいました。

次はいつ来れるかなぁ・・・
と言うか、予算的に、宿泊する事はあるのだろうか・・・?
そんな不安もよぎりますが、素敵な一湯でした。

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2016年 11月26日 ー 初訪問・日帰り入浴

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