単純温泉
(源泉名:1号源泉)
51.6度 / pH6.8 / 自然湧出 / 毎分17.2L / 2019.7.22
Na+ = 41.9 / K+ = 7.6 / Ca+ = 61.4 / Mg+ = 17
Cl- = 0.9 / SO4- = 249.4 / HCO3- = 90 / NO3- = 0.2
H2SiO3 = 172.6 / HBO2 = 0.1 / CO2 = 23.9
成分総計 = 666mg
単純温泉
(源泉名:3号源泉)
41.8度 / pH6.5 / 自然湧出 / 毎分35.9L / 2019.7.22
Na+ = 28.9 / K+ = 5.0 / Ca+ = 39 / Mg+ = 11.2
Cl- = 0.7 / SO4- = 177 / HCO3- = 35.7 / NO3- = 0.3
H2SiO3 = 145.5 / HBO2 = 0.2 / CO2 = 18.9
成分総計 = 462mg
栃木県那須郡奥那須三斗小屋温泉
090-1045-4933(衛星電話)
0287-74-2309(麓の案内所)
大浴場・岩風呂(男女別入れ替え)
日帰り入浴のみ不可
1泊2食付き 10,000円(税込み) + 入湯税200円
三斗小屋温泉は、那須の山中にある歩いてしか行けない秘湯です。
はるか昔には5軒の宿があったそうですが、現在は煙草屋旅館と大黒屋の2軒だけが残っており、普段はどちらの宿も日帰り入浴の受け入れを断っています。
なかなか行く機会が無いまま、その存在をほぼ忘れかけていたある日。
コロナ禍で客足が減ってしまったからなのか、詳しい理由までは分かりませんが、煙草屋旅館がコロナの期間限定で日帰り入浴をやっていると言う情報を入手しました。
これはチャンス! 煙草屋旅館には立ち寄り入浴して、三斗小屋温泉にもうひとつある大黒屋に泊まれば一石二鳥!
山歩きが嫌いな紅鮭(嫁)に一応声を掛けて見るも、子供と一緒に留守番しているから一人で行っておいでと無碍も無く断られてしまいました。
代わりに、仲良くしている職場の同僚に声を掛けたら、2人ほど一緒に来てくれる人が見つかりましたので、3人で行く事に。
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三斗小屋温泉までのルートは、峠の茶屋に車を置いて、峠の茶屋→峰の茶屋避難所→沼原Jct.→三斗小屋温泉と言う、約3.8kmの最短コースで来ました。
掛かった時間は2時間35分。途中で何度も休憩を取りながらなので、かなりゆっくりなペースです。(往路の詳細は煙草屋旅館のレポ参照)
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予定通り、先に煙草屋旅館で日帰り入浴を済ませ、本日の投宿先の大黒屋さんへ。
煙草屋旅館とはすぐ目と鼻の先にあります。
想像はしていましたけど、実に山小屋です!
水道なんてものは無いらしく、玄関先に湧き水が掛け流し?になっていました。
これが冷たくてとても美味しい!
予約しているものだと告げると、体温チェックしますとの事。
まぁ、こんな時期だから仕方がないけど、もしこれで熱があったらどうするんだろう・・・?
お泊め出来ませんから帰ってくれと言われて、いま来た山道を戻らなければならないのかな・・・!? もしくは、別室で隔離とかされちゃうのでしょうか?
少し不安を感じつつ検温を受けましたが、私含めて3人とも無事に平熱で一安心、無事チェックイン出来ました。
頭気を付けて下さいと言われたその天井高は、梁が出ていて低い所で170cmくらいでしょうか。
180cmある私は少し屈みながらで無いと頭を打ってしまう高さです。
なんと、この建物は築150年なのだそうで!
山小屋なので造りは質素ですけど、清掃などしっかり行き届いていて小奇麗です。
ただ、階段の傾斜などを見ると、かなり古い造りの建物だなぁと言うのが良く分かります。
この日の宿泊客は私達だけで、他にはお客さんがいませんでした。
と言う訳で、本来であれば2箇所ある浴室は1時間交代で男女入れ替え制なのですが、好きな時に好きな方に入って良いよとの事です。
ラッキー!?
でも、コロナが無ければ他にもお客さんがいたであろうことを考えると、手放しでは喜べないんですよねぇ~・・・
そんな話をしながら通されたお部屋。
語彙力が無いのでこんな表現しか出来ないのですが、とってもレトロです!
他にお客さんがいないからと言う事で、贅沢にも2間続きで使わせて貰いました。
廊下との仕切りは鍵が掛からない障子一枚。
混雑時は別グループの部屋として使われるであろう、続き部屋を仕切るのは、襖一枚だけ。
窓には障子と雨戸があるだけで、ガラス戸はおろか網戸すらありません。
今時の旅館では考えられない、150年前の造りそのまんまって感じです。
当然ですが、障子に鍵なんかついてません。ひそひそ話でも廊下に筒抜け。
テレビもない! 冷蔵庫もない! エアコンもない! Wi-Fiもない! そもそもこんな山の中だから携帯の電波すら届かない!
きっと、シティホテルなんかに泊まり慣れているような人で、この造りが駄目な人は駄目なんでしょうね。
でも、私からしたらこんな非日常、ご褒美以外の何物でもありません!
他にお客さんがいないのを良い事に、滞在中に部屋と廊下を遮る障子を閉める事は一度もありませんでした。
窓も廊下も全部開放していると、部屋の中にいても良い風が入って来てとても気持ちが良いです。
お宿には電気が通っていますが、どうやら自家発電のようです。
一部に電球もありましたが、オイルランタンが廊下にぶら下がっていたりして、これはこれで最高な風情を醸し出していました。
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さて、期待のお風呂。
大浴場と岩風呂があり、前述した通り、普段は1時間交代で男女を入れ替えています。
ただこの日は私達だけの貸し切り! と言う事で、いま何時かなんて気にすることなく、まずは大浴場へ。
・・・
素晴らしすぎて数秒間立ち尽くしてしまいました!
こんな山の中に、こんな素晴らしい浴室、事前知識はありましたが、実際に目の当たりにしてみると予想以上でした!
総ヒノキ造りで、ヒノキの香りが心地良い浴舎。
2面採光なのですが、最低限の強度を持たせる程度の柱があるだけで、ほぼ全面が窓です!
その窓も無造作に空いていて、浴室内にいる筈なのに、緑に包まれた気持ちの良い風が通り抜けます。
ちなみにこれは客室に入った時にも感じたのですが、これだけ窓を全開にしていても不思議と虫があまり入ってこないのです。
お宿の方は「虫入ってきますよ」と言っていましたが、ゼロでは無いものの、ほとんど気にならない程度なんですよね。
これは私が訪れた季節がたまたま良かっただけなのかな・・・?
湯舟は前後の2槽に分かれており、仕切りの一部に穴が開いていているスタイルです。
湯口のある奥が熱めで45度、手前が42度に調整されていました。
お湯は無色透明、無味無臭。
事前に入った煙草屋旅館の露天風呂は僅かに濁り、微量ながらも硫黄臭を感じましたが、このお湯は全く癖が無いシンプルな単純温泉って感じです。
硫酸イオンが多めに含まれているせいか、少しだけ肌触りがビリっとくる感触があり、お湯からあがると肌がサラリと乾いて気持ちが良いです。
この日の宿泊者は私達だけで貸切状態! となれば、もちろんですけど、鮮度も抜群です!
あまりの気持ち良さに出るに出れなくなってしまい、洗い場で横になって2時間くらいゆっくりと過ごしてしまいました。
あまりにゆっくりとし過ぎていたせいで、お宿のオジサンに「ごはんの用意できてますよ~」と呼ばれてしまいました。
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山小屋の晩御飯は早く、時計の針はまだ5時半です。
折角だからビールを1本注文。エビスビールの500mlが700円。
そりゃまあ、コンビニで買えば半額以下なんですけど、徒歩2時間の山小屋である事を考えたら700円はとても良心的な金額です。
他にも、キリンビール350mlが500円、日本酒・榮川の180mlが500円、氷結350mlが400円、赤白ワインの250mlが800円だそうです。
最寄りのコンビニまで徒歩&車で3時間くらい掛かる山の中、もっとボッタクリ価格でも良さそうなものですが、平地の宿でも同じような金額だったりする事を考えたら、安すぎるくらいだと思いました。
旅館とは言え、山小屋ですので、食事は質素です。
晩御飯のメインディッシュは唐揚げ・・・
まぁ、これが平地の宿でしたら、文句のひとつも言いたくなる内容ですけど、場所を考えたらちゃんと食事が出て来るだけでも有難いです!
と言うか、めちゃくちゃ素朴な晩御飯なんですけど、普通に美味しいんですよね。
唐揚げもなんですけど、なんと言うか、お米が美味いんです!
実際に美味しいのか、長い距離を歩いたせいで実際以上に美味しく感じるのか、私にはその判断がつかないのですが、同行した2人も美味しい美味しいと言いながら、御櫃に入っていたご飯が空っぽになるまでペロリと平らげてしまいました。
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さて食後。
テレビも無いし、携帯の電波だって届かない山の中です。
温泉に入る以外する事が無い訳で・・・
大浴場とは別にもうひとつある岩風呂に入りました。
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入った瞬間に息を飲むような風情があった大浴場に比べ、岩風呂は少し地味な造りです。
ちょっと手狭で、見ず知らずの人と一緒に入るには少し気まずいくらいの大きさ。
こちらに張られたお湯も無色透明・無味無臭で、お湯の温度は40度あるかないかの、ちょっと温め設定です。
成分表を見ると、大浴場とは別の3号源泉と言うのが引かれています。
源泉温度が低いので、結果的に温いのですが、小さな湯舟に新湯が惜しげも無く注がれていて、鮮度だけの話をしたら大浴場よりも良いです。
何よりも、温いのでずっとお湯に浸かっていても疲れ知らずなんですよね!
風情の良さと温度の高さで、私個人としては大浴場の方に軍配を上げますが、この岩風呂も素晴らしく気持ちが良かったです!
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日没後の大浴場も気持ちが良い!
細かい説明不要?
写真で楽しんで頂ければ幸いです・・・
ちなみに、お宿の人は明かりにつられて虫が入ってくると言ってましたけど、蛾が数匹いた程度で、ほとんど気になりませんでした。
窓全開なんですけどねぇ~・・・?
夜の岩風呂も素敵でした!
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山小屋の消灯時間は早く、9時になると自家発電を落として就寝です。
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翌朝、5時に起床し、大浴場と岩風呂を行ったり来たりして朝風呂を楽しんでいたら、気付いたら朝食の時間になっていました。
朝からとっても質素です!
でもまぁ、晩御飯の時にも書きましたが、これだけの山の中でちゃんと朝食が出てくるだけでも御の字です。
少し柔らかめに炊かれたお米が絶品に美味しかったです!
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山小屋だからか、チェックアウトは8時ととても早い。
最後に岩風呂と大浴場を軽くハシゴして、少し心残りでしたがお宿を後にしました。
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今までなかなか縁が無くて訪れる機会が無かった三斗小屋温泉。
ここ大黒屋さんは、お湯良し、風情良し、そして滞在中に何度もお話をさせていただいたお宿の人良しで、三拍子揃って素晴らしいお宿でした。
ハッキリ言って、とんでもない山の中ですし、温泉に入る以外には何一つ娯楽の無い、実に退屈なところです。
でも、この退屈さこそが、最大の贅沢だと感じました。
仕事に疲れたら・・・ いや、別に疲れていなくても、ここで1週間くらい滞在してみたいですね。
早くも「次いつ来ようかな?」「今度は一人で来て、何も考えずに3泊くらいしたいな・・・」などと、次の計画を考えてしまうほとに気に入ってしまった一湯でした。
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さて、ここから先は帰路の話。
私自身のための備忘録的な意味合いと、もしも私のHPを見て三斗小屋へ行く人がいたらと思い、記録として残しておきます。
お宿の人から色々と情報収集しつつ、同行した同僚とも相談して、帰路は来た時とは別ルートで帰る事になりました。
三斗小屋温泉 → 沼原Jct. → 姥ヶ平 → 牛ヶ首 → 山頂駅(那須ロープウェイ)と言うルートです。
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8時00分 – 三斗小屋温泉出発
最初はなだらかな登り坂、夜の寝ている間に少し降ったのか、前日来た時よりも少しだけ足元がぬかるんでいる感じです。
20分後の8時20分、沼原Jct.に到着。
ここから先は前日来たルートとは異なる、新しいルートです。
8時20分 – 沼原Jct. 出発
しばらくの間、ずっと下り坂が続きます。
途中で橋が見えて来て、沢を渡ったら、その先はずっと登り坂。
足場はそれほど危険ではないものの、下りも登りも割と傾斜がきつくて、地味に体力が奪われる道です。
途中で休憩なども挟みつつ、三斗小屋・牛ヶ首・沼原の分岐に到着。(那須観光協会のガイドでは77番の箇所です)
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9時20分 – 三斗小屋・牛ヶ首・沼原の分岐を出発
20分程歩くと、姥ヶ平と言う開けた箇所に到着。
ここでたっぷりと休憩を取って、牛ヶ首を目指す。
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10時15分 – 姥ヶ平出発
ここから先、牛ヶ首まではずっと登り坂です。
足場はそんなに悪くはありませんが、勾配が結構急で、運動不足な体にはかなりこたえます。
途中で休憩をしながら、ゆっくりゆっくりと前に進む。
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10時50分 – 牛ヶ首到着
登り坂がずっと続いていたので、かなり疲れました!
幸いにして雨こそ降りませんでしたが、天気はあまり優れず、絶景とまではいかなかったのが少し残念。
左写真、左下に小さく緑地で無いところが姥ヶ平です。
写真だと伝わりにくいですが、見下ろすと結構低い所にあり、ずいぶんと登ってきたなぁってのが分かります。
右写真、尖った山が茶臼岳。
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11時00分 – 牛ヶ首出発
牛ヶ首 → 山頂駅までのルートは、多少のアップダウンはありますが、とても歩きやすいです。
生憎の天気でしたが、天気が良ければ絶景なのでしょうね!
ガイドの通り、30分で山頂駅まで到着しました。
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山頂駅から山麓駅まで、1200円払ってロープウェイで降ります。
もしも歩いたならばかなりキツそうな急勾配ですが、ロープウェイだとあっという間です。
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山麓駅についた後、重たい荷物と同僚2人を山麓駅に残して、私の車を停めている峠の茶屋までおよそ15分ほど歩きました。
歩きやすい舗装路なのですが、これまでの道のりで体力を消耗していたこともあり、この登り坂はけっこうしんどかったです・・・
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最後に、もし次回三斗小屋温泉に行く機会があったら、山麓駅に車を停めて、
山頂駅 → 牛ヶ首 → 峰の茶屋避難所 → 沼原Jct. → 三斗小屋温泉
のルートで歩いてみようと思います。
ロープウェイのお金が掛かりますが、恐らくこのルートが一番平坦で歩きやすく、景観も楽しめて、体力的にも楽なコースだと思われます。
もしまた三斗小屋温泉に行く機会があったら改めてレポートします。
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2021年 7月7日 ー 初訪問・宿泊
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