単純硫黄泉
熊本県阿蘇郡小国町北里1435-1
内湯・露天など10箇所(自家源泉7本)
0967-46-4439
日帰り料金 : 500円
宿泊料金(1泊2食) : 15000円~
10月12日、日帰り入浴。一泊した地獄温泉「清風荘」から、車でおよそ1時間半の場所にある。
山奥とまではいかないが、あまり人が住んでいない地域らしく、ナビに電話番号を入れて走ったのだが、目的地から5キロ近くも離れた場所に案内されてしまった。
仕方が無いので、途中で見つけた旅館の看板を頼りに進むのだが、その看板、「北海道の活きカニ会席料理」と盛んに宣伝している。
温泉という文字もあるが、矢鱈とカニの宣伝ばかりで少し不安になる。「東京からはるばる熊本に来たのに、北海道のカニねぇ・・・」と、少し心配になりながら、とりあえず到着。
アレ?本当にココで良いの?という感じの、目立たない所にある旅館でした。
まず、玄関に入ると、やっぱりカニが置いてある。天井やら壁に、色褪せたカニの甲羅が飾ってある。
一応、受け付けの上には湯の花やら温泉を濃くした原液みたいな物も置いてあるので、場所を間違えたなんて事は無さそうだ。
受け付けではオバチャンが電話をしているのだが、どうもカニの仕入れっぽい話をしているらしく、不安は一気に募る。
待つこと3分。電話が終わったオバチャンに、「日帰り入浴やっていますか?」と聞くと、元気良く「やっていますよ!」「お二人様1050円です!」との事。
恐る恐る自遊人のパスポートを見せると、「あ、持っているなら最初に言わなきゃ!」と言われましたが、気を悪くしている感じではなく、あくまで自然体。
関東の温泉に判子が押してあるパスポートを見て、「色々と周ってるね~!」と、誉められました。
オバチャン、判子を押してくれたのは良いけど、日付が10.21になってる。「1」と「2」がアベコベですよ!すぐ気が付いて、二冊目は10.12で押してくれたけど、一冊目は10.21のまま。
何とも大雑把というか、楽しいオバチャンです。全然嫌味がありません。
さて、オバチャンに途中まで案内され、早速温泉へ!
露天は「滝の湯」と「巨岩の湯」があり、それぞれ2時間ごとに男女交代制です。
私が入った時は、「滝の湯」が女性で、「巨岩の湯」が男性でした。
男性の私は、当然巨岩の湯に入る。文字通りの巨岩が湯船の脇にあり、金字で「山林閣」と彫ってあります。確かに巨岩で、有り難そうな岩なのですが、これを見てもたいして感動はしません。
しかし、お湯には感動しました。ほんのり白濁したお湯は硫黄泉。臭いはそれほど強烈ではなく、上品な感じです。
そして、何より気に入ったのが、その巨岩の湯の隣にある、枡酒の枡を巨大にして、そこに屋根をつけたような形をしたお風呂。
「丸太風呂」と言うらしいです。ここのお湯は、白い糸状の湯花がたっぷりの硫黄泉。
丸太風呂からは、すぐ隣に流れる川を眺める事が出来ます。また、湯船の川側には、手すりの付いていない物干台みたいなスペースがあり、そこで川を間近に見ながら涼む事が出来ます。
目の前の川と、覆い被さるような緑、そして良いお湯。丸太風呂と物干台を何度もいったり来たりしながら、優雅な時間を過ごす事が出来ました。
さて、お風呂からあがると、ちょうどツレが露天入り口の所で待っていた。たったさっき上がったばかりとの事。
「滝の湯、凄く良かった!」「こっちに入れなくて残念だったね~!」との事。丸太風呂と物干台で既に十分感動していた私だが、ここまで言われると、滝の湯がどんなモンだかとても気になる。
そんな話をしていると、たまたま上がったばかりのオバチャン(旅館の人ではない)が、「今なら誰も入っていないから覗いてらっしゃい」との事。
折角の機会なので、ちょっくら中を拝見・・・
入ってビックリ。これまたスゲー良いお風呂です!目の前に2段の滝があり、湯船はその滝から流れた川のすぐ脇にあります。強烈なマイナスイオンを感じます。
お湯はここも硫黄泉ですが、入っていないので細かい事までは分かりません。
丸太風呂と物干台の組み合わせも良いけど、この迫力満点な滝も捨てがたい。
ただ見てきたダケなのに、何故か幸せな気分になってしまいました。
行きの車の中では、半分道に迷いつつ、「北海道のカニ」で妙に不安だらけだった今回の山林閣。帰り道の車では、お互いに感動覚めやらぬまま、「次は泊まろう!」と、興奮気味に帰途につきました。
前日に訪れた「ラムネ温泉」に「清風荘」、そして「山林閣」。どれも個性的で素晴らしく、是非とも関東に持って帰りたい温泉ばかりでした。九州パワー恐るべし!
2004-10/12
湯めぐりを初めて間もない頃にお邪魔した山林閣に再訪してきました。
今年は2024年で、前回訪問が2004年の10月です。
もう20年近く前になるんですね。
月日が流れるのは早いなぁと感じると共に、もう20年も温泉めぐりをしているのだなぁと、しみじみ実感します。
私はきっとこの先20年も温泉めぐりしているのでしょうね。
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山林閣と言えば、途中にあるカニ料理をアピールする看板の数々です。
20年前に来た際も気になりましたが、今でもしっかり健在でした。
看板とナビを頼りに走ると、程なくして山林閣に到着です。
以前来た時の記憶は薄っすらと残っている程度ですので、お宿へのアプローチや外観に関しては「こんな所だったかなぁ?」と、あまり思い出せません。
でも、玄関に入って当時の記憶が鮮明に戻ってきました。
そうです、これこれ! 長押の所に大量のカニ(正確にはカニの甲羅)がいるんですよね。
当時も不思議でしたが、そのままの光景で残っていました。
ただ当時と違うのは、受付に誰もいなくて妙に薄暗いです。
私の自遊人のパスポートに間違った日付を押してケタケタ笑っていたオバチャンの姿はありませんでした。
入浴料は料金箱に入れるようにとの事で、500円だった入浴料金は300円と安くなっています。
安いのは有難いですけど、ちょっと寂しいですね。
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廊下にも大量のカニが飾られていて、これは当時のままですね。
往年はカニ料理に舌鼓を打つ宿泊客で賑わっていた事でしょうけど、今では随分と静かなお宿になってしまいました。
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さて、待望のお風呂です。
男女別に滝の湯と、男女別に内湯。私が以前入った巨岩の湯は混浴だそうです。
それ以外にも貸切風呂がありました。
以前訪れた際は巨岩の湯が男湯で、滝乃湯は女湯だった記憶があります。
内湯って前からあったのかな・・・?
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まずは滝の湯に入ってみました。
上段と下段があり、上段は43度、下段は42度位です。
薄っすらと青みを帯びた美しいお湯で、湯底には湯花が沈殿しており、混ぜると粉雪のようにパッと舞い上がります。
お湯からはうっすらと焦げ硫黄臭。
シットリと肌に纏わりつくような感触があり、一言で言うと濃厚で良いお湯です。
目の前に滝があるロケーションで絶景ですね。
この時は私以外誰もいませんでしたので、この素晴らしい光景を独り占めです。
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続いて内湯。
前回は入っていませんので、今回は初めてお邪魔します。
湯舟は岩風呂ですが、建屋は木がふんだんに使われており、素晴らしい風情を醸し出しています。
露天と違い眺望はありませんけど、これはこれでかなり好きです。
お湯はかなり熱めでした。体感温度で47度位かな?
とりあえず肩まで浸かってみましたが、この後に入る温泉の為にも体力は残しておきたく、早々に退散。
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最後に巨岩風呂。こちらは今は混浴のようですね。
で、入ろうと思って中を覗いてみたら・・・
あら? あらららら?
お湯が張っていませんでした。
私が前回訪れた際に入ったお風呂、ちょっと楽しみにしていたんですけどね~
岩に金彩で掘られていた「山林閣」の文字もかすれてしまっていました。
こことは別に、貸切風呂も今は利用出来ないみたいです。
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あまりにも寂れてしまった山林閣。
詳しい温泉仲間に話を聞いたところ、経営者ご夫婦が高齢で、維持するのが大変だったそうです。
後を継ぐ人もいなかったそうで、今では買い手を探されているのだとか・・・
いずれ誰かに買い取られ、この素晴らしいお湯が廃れる事無く残る事を期待しますが、その時はきっとこのカニ達とはお別れになるのでしょうね。
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2024年1月にテレビ東京系列で放送された「ガイアの夜明け」で、ここ山林閣が売却を決断するまでの話が取り上げられていましたので、もしご興味ある方がいればネットの有料放送などでご覧ください。
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2024年 5月15日 - 再訪・日帰り入浴
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