鳥取県

岩井屋 (岩井温泉) ★5.0

ナトリウム-硫酸塩泉
(岩井温泉 第一泉源) 47.6度 / ph7.3 / H13.11.8
Na+ = 257 / K+ = 7.1 / Ca++ = 253 / Mg++ = 5.1
Fe++ = 2.4 / Cl- = 157 / SO4– = 917 / HCO3- = 58.9
H2SiO3 = 60.3 / HBO2 = 10.5 / CO2 = 5.7
成分総計 = 1735mg

他、足元自噴独自源泉あり

鳥取県岩美郡岩美町大字岩井544
0857-72-1525
男女別内湯 ・ 露天 ・ 貸切風呂
750円
12:00 – 19:00

今回の山陰湯巡りで、気になっていた旅館がここ、岩井温泉の岩井屋です。
足元自噴だと聞いており、お湯の良さはそれだけで折り紙つきと言うもの。そのうえ、浴室の雰囲気も良くて、訪れた事のある友人の評価もとても高いです。
難点は、少し高いと言う事。この前日に三朝温泉の大橋に泊まると決めていた私にとっては、そのうえで岩井屋に泊まるとなると、痛い出費なのです・・・
しかし、そこは、滅多に来ることが出来ない山陰です。むしろ、子供が出来てしまったら、もう当分の間来ることも出来ないでしょう。ここは少し奮発してしまおうと、宿泊先として予約を入れてしまいました。
幸いにして、平日と言う事もあって、金額はそれほどでもありませんでしたが、山陰巡りの初日が大橋、二日目が岩井屋と言う、お大臣様のような行程になってしまいました。
普段から安いお宿に泊まり歩いている私からすると、ビックリするほどの大奮発です。

当日の私は、まるで貴族にでもなったような気分だったのは、言うまでもありません。なんと言ったって、大橋をチェックインした後に、岩井屋ですからね!
ちなみにですが、前日の大橋でサンダル履き&桶片手で失敗したので、しっかり靴下と靴を履いて行きました。ついでに車も洗車しちゃったりして。
だってホラ、ドロドロの車じゃ、カッコつかないでしょ。なんたって私は、大橋の翌日に岩井屋に泊まるような、高貴な身分なのですから、ピカピカな車が似合うのです。アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ!

さて、そんなこんなでたどり着いた岩井屋さん。歴史を感じる重厚な造りをしたお宿です。
ただ、前日の大橋は規模が大きくて「立派!」だったのに対し、こちらはこぢんまりとしている、家庭的な雰囲気が漂う印象のお宿です。
前日の大橋に圧倒されて、気構えていた私からすると、少し拍子抜けかな?でも、かえってこっちの方が、いつもと同じで、落ち着きます。
通されたお部屋は「なでしこの間」です。なんと、前日の大橋でも「なでしこの間」だったんですよね。だから何だと言われても困りますが・・・
お部屋の雰囲気はとても良い感じです。
お部屋だけでなく、館内はとてもお洒落。限りあるスペースを上手に使って、とても良い雰囲気の趣きが出来上がっています。

一息ついて、夕食まで少し時間があったので、早速お風呂へ行くことにしました。
でも行ったのは外湯。それも何故か、共同浴場へ行った筈が、その向かいの旅館の明石家に入っちゃったりしたのですが、その話は割愛。(笑)
明石家から戻り、そのまま部屋に戻らず岩井屋の内湯へと向かいました。

岩井屋さんには男女別の内湯がそれぞれと、貸切風呂があります。
内湯は時間帯によって男女を入れ替える仕組みで、まずは手前側の祝いの湯に入りました。

さてそのお風呂。入って息を呑んでしまいました。美しい造りです!
和と洋がバランスよく織り成す、不思議な風情。天井も高く、浴室内にいながら、まるで屋外にいるような気分です。よくハリボテのような作り物で雰囲気を出している所がありますが、ココはそう言うのとはまるで違います。

浴室の作りも良くて、手前側に洗い場があり、その奥に湯船がひとつ。それぞれ離れているので、泡やしぶきが飛ぶ事もありません。
さてそのお湯、長方形の湯船がひとつあります。竹筒の湯口からお湯がチョロチョロと注がれており、うっすら茶褐色に濁って見えます。
湯底は深く、1メートル近くあるのでは無いでしょうか。下がスノコになっており、なんと、足元からもお湯が湧出しているのが分かります。
少量ですが、時折泡のような小さな気泡が上がって来るのが分かります。
ちなみに掛け流しである事は言うまでもありません。

温度は43度ほどで、適温です。うっすら潮の臭いと、金気臭、それに芒硝臭と、複雑な臭いが混ざる、無色透明だらけだった鳥取においては、とても特徴を感じるお湯です。
とても柔らかく感じる物で、トロトロした肌触りが素晴らしいです。
お湯に浸かってボーっと室内を眺めていると、何とも心が癒されます。しかも足元自噴!
ずっと浸かりっぱなしだと疲れるので、湯船からたまに出るのですが、不思議と部屋に帰ろうと言う気が起こりません。
掛け湯をしながら、湯船の縁でダラダラと時間を過ごしてしまいます。
で、体の火照りが少し落ち着いたら、もう一度お湯に浸かる。ずっとその繰り返しになってしまっていました。

お風呂に上がった後は、食事です。お部屋で頂きます。一品一品がとても美味しい!
仲居さんがテキパキと配膳して下さって、応対もつかず離れずと言う感じで、実に居心地が良いです。
普段泊まり歩いている宿は、それはそれで良いのですが、所謂「上げ膳据え膳」って言う対応も良い物だなぁと、感心してしまいました。
ただ、唯一残念だったのは・・・あまりに気分良くて、食後、布団を敷いてもらい、すぐに寝てしまい、気付いたら朝になっていました。勿論、お宿では無くて私自身の問題ですけどね。(笑)
強行軍の湯巡りで少し疲れていたのかも知れません・・・

翌朝、もう片方の内湯に入りました。昨晩9時に男女が入れ替わっていたのです。
こちらは源泉長寿の湯と言うそうです。昨日の祝いの湯は内湯だけでしたが、こちらには露天もついています。
浴室の造りは違いますが、雰囲気は同じ、和と洋がレトロに織り交ぜになって、アンティークのような重厚感がある風情に仕上がっています。

お湯も同じく、少し黄土色に濁って足先が霞んで見えるものです。昨日の夜に入った時より、芒硝っぽさが少し強い感じがします。トロトロする中に、サラサラした肌触りを感じる、気持ちが良いお湯です。
湯底は深く、スノコ状になっています。湯口も別途ありますが、どうやらココも足元自噴だそうです。ただ、気泡は殆ど上がって来ず、ホントかなと言う感じがしないでもありません。
気持ちが良いお湯である事実は変わりませんし、この風情ある浴室の中にいるとそれほど重要な事とも思えて来なくなってしまうので、
少し不思議です。

続いて露天。日本秘湯を守る会の提灯がデカデカと掲げられています。
ここのお湯は湯口から供給されており、ちゃんと掛け流しにはなっておりますが、少し物足りなさを感じてしまいます。
露天とはいえ、屋根と目隠しに覆われており、開放感はありません。まぁ、悪い造りでは無いのですが、個人的には、内湯が気に入ってしまいましたので、この露天はオマケかな?
少しの時間お湯を楽しんだ後、内湯に戻ってしまいました。

その後、朝食を取り、もう一度軽くお風呂に入ってから、チェックアウト。
いやぁ、たったの1泊と、短い滞在時間でしたが、何だかとても癒されました。
お湯の良さは勿論で、それが第一の目的に訪れた岩井屋ですが、浴室の素晴らしい風情と、仲居さんの素敵な応対、お宿全体のオシャレな雰囲気など、どれをとっても満足がいく、とても素晴らしい所でした。

唯一の難点は、私にとっては、やっぱり少し予算オーバーだった事かな?(笑)

ちなみにココ、秘湯会のお宿なので、ちゃっかりスタンプを貰ってしまいました。これで4個目です。
当初は、大分県の壁湯温泉に再訪したくて始めたスタンプ帳ですが、ココに戻ってくるのも良いかなぁと思ってしまいました。ただ、金額以上に難点なのは、距離な訳で・・・
いつの日か再訪出来る事を楽しみにしたい、素晴らしい一湯でした。

2008-10/10

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