単純硫黄冷鉱泉?
神奈川県三浦郡葉山町下山口230
貸切内湯 × 1
500円
葉山と聞いて、皆さんならば真っ先に何を思い浮かべますか?
皇室の御用邸? ビーチ、海岸、マリンスポーツなど、海を連想するものでしょうか? それとも、高級住宅街とかかな?
ちなみに私は別荘地と言うイメージです。私が生まれる遥か昔の戦前ですが、我が家の別荘が葉山にあったそうです。祖父が幼少の頃は毎年葉山に行っていたみたいで、その時の話を色々と聞かされました。
いずれにしても、葉山と聞いて割と良いイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
そんな葉山にも温泉があるのです。どんな温泉だと思いますか?
白いワンピースと麦わら帽子の少女が、入浴後にソフトクリームを舐めている様が絵になるような、ちょっとお洒落で意識高い系の、お高めな温泉がイメージしやすいのではないでしょうか。
生憎ながら申し上げておきますが、当ホームページはB級人生を一直線に突き進むJakeが運営しております、温泉備忘録でございます。
これから紹介する温泉は、小汚いオッサンが汗だくになりながら入浴後に瓶牛乳を一気飲みしているのが似合うような、そんな感じの、まぁ、なんと言うか、とても残念な、、、 とても素晴らしい温泉です。
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葉山に温泉マニアが好みそうな超B級温泉がある事は以前から知っていました。
温泉めぐりを始めた頃、色んな人のホームページを読み漁っていたのですが、その時に入浴レポートを読んだのです。
でもその後色んな温泉を巡るうちに、いつのまにか記憶の片隅に追いやられていたんですよね。
そんな折、湯めぐり仲間のN氏から「葉山の温泉がもうすぐ廃業するみたいだけど、一緒に行きませんか?」とお誘いを受けました。
一瞬どこの事だか分かりませんでしたが、少しして「あそこかな?」と思い出したわけで。
廃業と聞いたらいてもたってもいられません!
勿論との事で、二つ返事で行く事にしました!
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さて、N氏と合流し、N氏の車の後をついて葉山温泉へ。
N氏の車が「本当にここで合ってるの?」と不安になるような、道路わきの砂利駐車場に停まりました。
なんでも、ここからは徒歩で少し歩くとの事です。
星山温泉は別名「稲龍神山スポーツランド」とも呼ばれており、元々は子供が遊ぶアスレチックがあったみたいです。
その後、温泉を掘り当てたのだそうで、今はスポーツランドは閉園状態で、温泉のみを営業しているとの事。
往年の姿は分かりませんが、今の状態だけ切り取って見てしまうと、子供を連れて遊びに来るような雰囲気ではない山道を歩きます。
暫くすると、樹々に囲まれた静かな山の中に、なにやら色んなものが散らかった一帯に辿り着きました。
なんと言うか、想像していたよりも凄いです。
最初に目に飛び込んでくるのは、廃材の山。よくみるとその奥に手作り感あふれる小屋が数棟あります。
しかもなんか煙があがっているし・・・
とても葉山のイメージはありません、まるで日本最後の秘境と言われているグンマーみたいな光景です。
私達が到着するや否や、ご主人が出てこられました。
星山温泉は冷鉱泉なので、ご主人が毎日薪をくべてお風呂を沸かしてくれています。
山のように積まれた廃材はお風呂を沸かすための薪代わりだったようです。
この時は開店直後だったので、まだお湯はぬるいとの事でしたが、それでも構わないと伝えたら、快く入浴を受け入れて下さいました。
とりあえず、友人N氏と私が入り、そのあと入れ違いで紅鮭&2歳半の長女が入浴。
湯小屋の外観を見た時から想像が出来ていましたが、中も手作り感あふれる、実に渋い造りです。
冷鉱泉なので蓋がされており、それをめくると無色透明のお湯が張られていました。
光の加減だとは思いますが、ほんの少し青みを帯びているようにも見えます。
沸かしている最中だからと言われてましたので、その通り少し温めで35度あるか無いかと言う温度です。
まだまだ寒さが厳しい2月ですので、ちょっと風邪を引きそうな温度。
ただ、外でご主人が薪をくべて沸かしてくれていますので、入っているうちに温度が少しずつ上昇していくのがわかります。
お湯からはハッキリと分かる甘い硫黄臭が香っています。
この日の一番風呂ですので、お湯の鮮度は抜群に良い!!!
肌触りはトロンと柔らかく、かなりツルツル+にゅるにゅる感のある素晴らしいお湯です。
この肌触りはかなり凄いです、今はなき中山平の丸進別館・・・とまではいきませんが、かなりにゅるにゅるします。
なんだこのお湯、名湯じゃないか!!!
てっきり私は、施設の怪しさだけで「温泉マニアがが好きそうだ」なんて言われているものだと、すっかり勘違いしていました。
まぁ、怪しいのは間違いないです。そしてそういう怪しい施設、私も大好きです。
でも、そんな怪しさはひとまず忘れて、お湯だけで評価しても素晴らしいです!
浴槽の端には蛇口があり、これを捻ると冷たい源泉が出てきました。
源泉で嗅ぐ硫黄の臭いは更に強く、肌触りのにゅるにゅる感もUPします。
ご主人が一生懸命にお湯を沸かしている最中でしたので、あまり源泉を足す事が出来なかったのが悔やまれますが、温度が安定したら源泉を常時注ぎ足しながらの入浴が出来るのかもしれませんね。
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浴後、お風呂を沸かしているご主人から色々なお話を伺う事が出来ました。
廃業の話はどうやら本当で、2016年の3月末をもっておしまいだそうです。
と言う事で、かなり遅くなりましたが、私がこのレポートを書いている時点で、星山温泉は廃業してしまっております。
ここで書くことは出来ませんが、廃業の理由も伺いました。
このような名湯が廃れてしまうのは、実に惜しいです。
でも、ご主人が愛した温泉、きっと今でもお湯を沸かして個人的に楽しまれているんじゃないかなぁと、勝手に想像していたりします。
最後に入る事が出来てとても良かったです。
誘ってくれたN氏と、このお湯を大切に守り続けてくれたご主人に改めて感謝です。
もし何かのきっかけでこのお湯が再興する事があれば、真っ先に駆け付けたいですね!
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2016年 2月11日 ー 初訪問・日帰り入浴
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