含二酸化炭素-ナトリウム・マグネシウム・カルシウム ・塩化物・炭酸水素塩泉
(小屋原温泉) 37.6度 / S55.2.4
Na+ = 1500 / K+ = 130 / Ca++ = 260 / Mg++ = 64
Fe++ = 2.3 / Mn++ = 0.8 / Cl- = 2500 / F- = 0.4
HCO3- = 1300 / SO4– = 232 / H2SiO3 = 14
HBO2 = 53 / CO2 = 3100 / 成分総計 = 9300mg
島根県大田市三瓶町小屋原1014
0854-83-2101
内湯 × 4か所
500円?
要相談(不定休・宿泊者がいるときは不可)
今回の山陰旅行で、どうしても宿泊をしたいと思っていたお宿です。
良いお湯を思う存分に堪能したかったですし、なんでも、宿泊者がチェックインした後だと、立ち寄り入浴を断る事があるのだそうです。折角行って入浴出来なかったら悲しすぎます。
しかし、1ヶ月前に予約の電話を入れてみたところ、どの日も満室。辛うじて空室があったのが、この日、13日だった訳です。
うーん、困った。当初考えていた湯めぐりの行程が大幅に変更されてしまいそうです。
しかし、この日しか泊まれないと言うのであれば、それに合わせて日程を調整するしかありません。とりあえず予約を入れて、行程を必死に練り直しました。
さて、そんなこんなで、念願の宿泊が実現した熊谷旅館。ナビの指示に従って車を走らせると、随分と辺鄙な所にたどり着きました。
温泉なんかありそうにない一角にポツンとある、一軒宿です。前々から来たいと思っていた所でしたので、感無量です!
到着したのは、私にしては随分と早い、午後3時半過ぎです。良いお湯だと言う事は友人達のお墨付きでしたので、じっくりとお湯を堪能したくて、早い時間にチェックインする事にしました。
とりあえず駐車場に車を停めて、ゆっくり荷物の整理をしていたところ、車が2台やってきました。どうやら2台はお仲間のようです。うち1台が玄関に横付けし、車の中から人が出てきて、お宿の中へ。
暫くすると、その人が出てきて、手でバッテンを作ってもう1台に何か伝えています。どうやら立ち寄り入浴を断られてしまった様子。
残念そうな表情で去る一団に、こっちをジロジロと見られてしまいました。
とっても気の毒に思う反面、少し優越感も感じてしまいます。宿泊者の私が入浴を断られる筈はありませんからね。
で、荷物の整理も終わり、お宿の中へ。なかなか予約が取れなかった所なので、さぞ賑わっているのかと思いきや、玄関先は静まり返っています。
受付で女将さんにこの日宿泊の予約をしている者だと伝えると、どうぞと中へ通されました。
お部屋についてお茶を頂く際に、「先ほど日帰り入浴を断られていたようですが・・・」と振ってみた所、「はい、宿泊の方がいる時はそうなんです」とのお返事。
その時は聞き流してしまったのですが、どうやら、この日の泊り客は、私たちだけです。つまり、あの一団は、私さえ泊まっていなければ、立ち寄り入浴出来た訳ですね。
ますます申し訳ないような、優越感を感じるような、複雑な心境です。
前よりも立ち寄り入浴のハードルが高くなっているのかな?
さて、チェックイン後、早速お風呂へ。浴室は4つあり、全て貸切で利用する仕組みです。
宿泊客は私たち夫婦だけですので、いつ行っても好きな浴室使い放題です。
手前から1番2番と数えるそうで、一番奥が4番の浴室。当然宿泊中に全部の浴室に入りました。各浴室のインプレッションは以下の通りです。
4番 – 一番奥にある浴室です。チェックイン後一番最初に入ったのがここです。
ちなみに、4番、3番、2番、1番と言う順番に入りました。
入って右手側に湯船があり、左手が洗い場です。湯船は2~3人サイズの、まるで共同浴場のような造りをした物です。
お湯は貝のすまし汁のような、僅かな濁り家を帯びた、透明な物です。湯口からは良い勢いでお湯が注がれており、当然、源泉掛け流しです。溢れたお湯が湯船からオーバーフローしています。
温度は温めで、37~38度しかありません。肌触りはサラサラペタペタする物で、お湯からは金気臭と炭酸臭がします。湯口のお湯を口に含むとはっきり分かる炭酸味。じっとしていると体毛に炭酸の泡が付着します。
なんだか七里田の共同浴場を彷彿とさせられますが、泡つきは圧倒的に七里田に軍配。
源泉はとても良さそうですが、湯量と、水面上から注ぐ給湯方式で、炭酸が抜けちゃっているような気がするのが、少し残念。
しかし、良いお湯である事に間違いは無く、温くていつまでも入っていられるため、ついウトウトと寝てしまい、気づいたら1時間ほど経過していました。
3番 – 4番の手前、奥から2番目にあります。
入って左手側に湯船があり、湯口は4番と同じところからお湯を引いています。3番と4番でお互いに湯口を覗き込むと、目と目が合います。
湯船の大きさは、4番に比べると少しだけ小さめ。雰囲気は似ていますが、細部が少し違います。
洗い場の析出が結構出ており、浴室全体の雰囲気に良いアクセントが加わっています。
お湯の印象はこちらも同じ。ただ、ごく僅かながら、4番より湯量が少ない気がします。お湯の温度は更に温め。
こっちも気持ちが良く、体にびっしりと泡が付着します。ここでも思わず1時間寝てしまいました。
2番 – 手前から2番目にあります。
私の友人の中では、この2番が一番評判が良くて、楽しみにしていました。
この日は宿ごと私達の貸切みたいな状態ですので、この浴室にも、好きな時に自由に入る事が出来ます。
さて、その内部。全体的な雰囲気は他と変わりませんが、ここだけ、明らかに湯船の大きさが小さいです。小湯船マニアな私には溜まりません!
お湯は同じ源泉ですので、印象は大きく変わりません。湯船が小さい分、湯口から注がれるお湯の量は、他と比べると少し少ない気がします。
泡付きなどで、他の浴室と比べて、顕著な違いはありません。
ただ、浴室の雰囲気は素晴らしいです。小さな湯船だけでなく、湯船と洗い場にこびりついた析出物が良い感じなのです。
前評判通り、ここは気に入りました!滞在中何度か入り、2時間以上の時間をこの浴室で過ごしてしまいました。
1番 – 一番手前にある浴室です。
4番に比べると小さな湯船ですが、2番よりも広いです。家族湯にはピッタリのサイズかも知れません。ここの雰囲気も他所と変わりませんが、やっぱり細部が少しだけ異なっています。
湯船の大きさ、湯量的に、バランスが良い印象。床が平らで綺麗です。
湯船に使ってお湯を溢れさせた所、カラカラに乾いていた洗い場の床にお湯が流れ、さっと色が変わりました。うーん、美しい。床の変色は一度だけしか楽しめないのが残念。
ココには夕食後に入浴しました。適度にお酒も回っていたので、湯船の中でぐっすり寝れました。
ココでの睡眠時間は、1時間ちょっとかな・・・?
4箇所の中で、一番滞在時間が長かったのは、2番でした。あと、意外と気に入ったのが、4番です。
ココにも何度か入って長時間過ごしました。
なんと、この日の宿泊で、4箇所の浴室全てで、1時間以上寝ると言う、偉業(?)を達成してしまいました!山陰巡りは幾分強行軍だったせいか、疲れも溜まっていたみたいです。
トータルでは、チェックアウトしてから夕食までの間2時間、夕食後3時間、朝2時間で、合計7時間ほどお湯に浸かっていました。我ながらふやけてしまいそうです。
チェックアウトした時は、もう当分の間、温い炭酸泉に入る必要無いやって思ってしまいました。
(と言いつつ、その後千原温泉で1時間過ごしてしまったわけですが・・・)
ちなみに、ココの源泉ですが、遊離二酸化炭素成分(CO2)が3000mgもあります!凄まじい含有量です。
お湯を口に含むと、口の中で炭酸がシュワシュワします。浴室の風情も素晴らしいですが、実際、お湯の素晴らしさだって、数値になって現れています!
ただ、前述の通り、泡付きの速度は七里田に遠く及びません。
その理由は、浴槽に注がれる新湯の絶対量が違うのも挙げられますが、七里田は湯口が浴槽内にあって炭酸を逃がさない造りであるのに対し、この熊谷旅館は、湯口が湯面より高い為、注ぐ過程で二酸化炭素が気化してしまっている事も原因と思われます。
すっごく細かい難点ですけどね、このお湯の注ぎ方さえ見直せば、もっと強い泡付きを楽しめるような気がするのですけどね・・・
まぁ、七里田を持ち出して比較するのも、どうかと思いますけどね。
ついでに、お湯以外のレポートもせっかくだからしてみます。
まず、宿泊代ですが、とってもリーズナブルです。山陰地方って少し高いイメージでしたが、東北の湯治場と同じような金額設定です。
正確には・・・忘れた。(笑)確か2食付きで8000円だった気がします。
夕食時にビール4本か5本くらい頂きましたが、2人で20000円でお釣り来ました。
お部屋も、豪華さはありませんが、しっかり使い勝手が良いです。
そして特筆すべきは、お食事。湯治宿並みだと思いきや、しっかり美味しいのです。天麩羅など、旬の地の物を、ちゃんと揚げ立てで持ってきてくれます。
一品一品に、真心が籠っています。
何より感動したのが、お蕎麦。なんと、お宿で女将さんが手打ちされているそうですが、蕎麦屋の開業をお勧めしたくなるほどに美味しい!
太めの、所謂田舎蕎麦って感じです。ゴワゴワな固めで、野性的なまでの蕎麦の香りが、これでもかと主張しています。
ひとくちひとくち、噛み締める度に、蕎麦を食べていると言う喜びで身が震えるような、素晴らしい風味があります。
あんまりにも美味しいので、他に出ている料理に手が付かず、思わず、「全部要らないから蕎麦だけ頂戴!」って言いたくなってしまいました。
もう、お湯も、お蕎麦も、コストパフォーマンスも、素晴らしいの一言に尽きるお宿です!
これで近ければ、毎年泊まりに行くんですけどね。遠いと言うのが、私にとっては、痛恨の欠点です。。。
ともあれ、行く事が出来て本当に良かった一湯です。
もし山陰に再訪する機会があったら、何が何でも、もう一度泊まりたいと思いました。
2008-10/13
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