静岡県

白樺荘 (赤石温泉) ★4.5

単純硫黄泉
(井川赤石1号温泉)
38.2度 / ph9.3 / 329L / 掘削自噴 / H11.7.26
Na+ = 201.2 / K+ = 5.2 / Ca++ = 1 / Fe++ = 0.6
Cl- = 62 / F- = 4.7 / HS- = 12.7 / SO4– = 17.6
HCO3- = 275.1 / CO3– = 54.7 / H2SiO3 = 58
成分総計 = 702mg

静岡県静岡市葵区田代1105
054-260-2021
男女別内湯
料金 無料
10:00 – 16:00

静岡県の山の中にある温泉です。
無料で入れて、しかも、泉質がとても良いと聞き、かなり以前からその存在を知っていましたが、静岡自体になかなか行く機会が無く、今までずっと後回しにしてきました。
今回、温泉マニアでない友人と一緒にどこかへ行こうと言う話になり、そうなると当然数泉などできず、じゃあ一箇所だけどこかいい所と思って、行き先として思いついた所がここ、赤石温泉の白樺荘です。
地図で見ると、静岡の市街から車で60kmほどの場所です。山の中ですし、信号も少ないだろうから、きっと平均時速40キロくらいで走れて、1時間30分もあれば十分着くかな?
・・・と、そんなくらいの軽い気持ちでいました。

しかし、いざ静岡からナビの指示に従って走り出すと、ものの10キロも走ったあたりから、道幅が細く、カーブのきつい山道になってきました。
ナビには目的地が50km先だと表示されています。暫く走ると、2車線あった道は、1.5車線くらいの、対向車とすれ違う時に気を使う程の狭さになっていました。
それでもナビはあと40kmと表示。
うーん、道を間違ったかな?ナビが意地悪して辺鄙な道を案内しているのだろうか・・・?
しかし、迂回路を探しても、他にあるのは林道だけで、今走っている道が唯一まともな道のようです。
仕方が無いのでずっとウネウネの峠道を走る。私は峠道とか悪路が大好きなので、運転は苦になりませんが、友人を後ろに乗せているので、普段よりもとても気を使わなければならないのです。
当然そんなに速度は出せず、自分の中で想定していた到着時刻になっても、ナビにはあと20kmとか出ていました。それにしても凄い山の中です。静岡にもこんな場所ってあるんですねぇ・・・

そうこうしているうちに、なんと、土砂崩れによりこの先通行止めの看板がありました。
えぇえええ!?ここまで来て!?しかし、引き返そうにも、30kmの山道な訳で、流石に困りました。とりあえず通行止めの箇所まで行ってみようと、そのまま車を進める事に。
しかし、どうやら通行止めは舗装路だけの話のようで、迂回路はあるみたいです。ほっと胸を撫で下ろし、迂回路へ進んでみたものの、なんとそこは砂利とダートの林道です。
道幅は車1台分で、対向車とすれ違う時はギリギリに寄せたり、どちらかがバックして譲ったりで、初心者ドライバーが迷い込んだら悲鳴を上げること間違いないような所です。

そんなところを、10km程走ったところ、最後になんと、つり橋が出てきました。
なんとこのつり橋、車で走る事が出来るのです。
ギリギリ1台分の幅があるつり橋で、足元は木の板。車用に轍が敷かれており、その上を走らなければなりません。とても長い端で、300m位はあるのではないでしょうか。
当然すれ違いなど出来る筈もなく、対向車が来ている時は、対岸で待っていなければなりません。
日本にこんな道がまだ残っていたと言う事に驚きです。
同じものがこれから新しく出来る事は恐らく無いでしょうね。

さて、そんなこんなで、凄い道程を経てたどり着いた、赤石温泉。今まで色んな秘湯に行ってきましたが、こんなに遠く感じた場所はありませんでした。
まさしく、他には何も無いと言う感じの所にあります。
どうやら公共施設と言う扱いで、見た目は鄙びた旅館なのですが、日帰り入浴しか受け付けていないようです。
料金は事前に知っていた通り、無料。入り口で代表者の名前と住所を書くだけです。
食堂が併設されているので、無料で入る代わりにみなさん何か食べて行かれるそうですが、この日は閉館まであと1時間を切っていましたので、入浴のみになってしまいました。

お風呂は男女別で、内湯のみです。
まるで学校の廊下のような、鄙びた廊下の先にお風呂があります。
結構年季を感じるもので、使い込まれたような印象は否めませんが、不潔な感じは無く、山奥の秘湯と考えればこんな物かも知れません。
浴室は結構広くて、10人以上同時に利用しても狭さは感じない物です。
訪れた時間のせいか、普段からそうなのかは知りませんが、私以外の利用者は数人いる程度で、あまり混雑していませんでした。幾ら無料でも、この場所まで来るのは大変と言う事なのでしょうね。

さて、お湯。湯船は中で繋がっていますが、手前と奥で仕切られており、湯口は奥側にあります。手前は38度くらい。奥でも41度くらいと、とても温い温度設定。
湯口のお湯は43度くらいで、ドバドバと注がれていますが、浴槽の広さに供給量が追いつかず、温めになってしまっていると言う感じでした。

さて、お湯に浸かった印象ですが・・・
最初に驚いたのが、その強烈なヌルヌル感です。とにかく柔らかくて、お湯がツルツルします。肌にしっとりと膜が張ったような感じで、思わず腕とか足をさすってしまいます。
お湯からはほんのり甘い硫黄臭が香っています。
お湯の色は、湯船のせいかも知れませんが、わずかに緑色で、透明。微量に白い湯花が舞い、泡つきはありません。
印象的には、戸倉上山田のお湯が濃縮されたような感じです。
決して珍しいお湯では無いものの、これほど感触の良いアルカリ性単純硫黄泉もなかなか無いような気がします。実に素晴らしいです!

お湯が温めなので、ずっと入り続けていられるのも良いですね。
私は少しでも鮮度が良い奥の方に陣取りましたが、それでも40度ちょっとの温度。
一度入ったら、出ることなく、お湯に浸かったままボーっとしている事が出来ます。
そのため、気がついたら体の芯から温まり、汗だくでヘロヘロになってしまいました。
しかし、この温めのお湯はじっくりと時間をかけてゆっくり入ることが出来るので良いですねぇ!
一発で気に入ってしまいました!

途方も無い山奥にある、秘湯の名に相応しい一湯です。
帰りは峠を越えて静岡へ行くのは避け、大井川沿いに島田の方に出たのですが、それでも高速のICまで2時間以上のドライブです。
もう一度行こうと思っても、なかなか行くことが出来ない僻地ですが、それでも行くだけの価値はある一湯です。
諸般の事情から、いつまでもある所とは思えませんので、気になる方は早めに行かれる事をお勧めします!

2008-5/31

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