富山県

湯谷温泉 (湯谷温泉) ★5.0

ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
(湯谷温泉) 39.5度 / H15.7.31
Na+ = 344.9 / K+ = 1.89 / Ca++ = 210.5
Cl- = 774.4 / Br- = 2.26 / SO4– = 159.7
HCO3- = 11.96 / H2SiO3 = 28.6
成分総計 = 1551mg

富山県砺波市庄川町湯谷235
0763-82-0646
男女別内湯 ・ 露天風呂
500円
営業時間 要確認

富山県の庄川にある湯谷温泉です。富山には湯谷温泉がもう一箇所あるので注意が必要です。
市街地からおよそ10km程走った静かな山間にあり、すぐ近くに小牧ダムがあります。
てっきり一軒宿だと思っていましたが、すぐ隣に湯谷亭と言う旅館がありました。

さて、この湯谷温泉。実に素晴らしい場所にあります。
宿へのアプローチがいい!
細い田舎道に「湯谷温泉」と書かれた私設のバス停があり、その脇にある急坂を降りていきます。坂道は車で降りる事が出来ないので、駐車場はそのバス停付近にあります。
降りていく途中に湯谷亭がありますが、それをわき目に更に降りると、50mほどで目的の湯谷温泉が見えてきます。
私が到着したのは、日が沈んだ後の少し薄暗い夕刻。高い位置から見下ろす風情あるお宿で、灯りがとても優しく感じました。

お宿の中に入ると、とても感じの良い女将さんがお出迎えしてくださいました。
素泊まり専門のお宿と聞いており、サービスとか接客は一切期待していませんでしたが、とにかく親身で丁寧な案内をして下さり、非常に感じが良いです。
むしろ、「素泊まりなのに・・・」って、何だか申し訳無い気分。
ちなみに、食事アリで泊まることは出来ませんが、バス停近くにある小料理屋から出前を取る事が出来るみたいです。
ラーメンやうどん、定食など様々なメニューがあり、部屋にメニューが置かれていました。
予約を入れておけば、朝食も仕出しをしてくれるみたいですね。

お風呂は内湯のみです。私の部屋は旅館入り口からすぐの所で、そこから歩くと結構あります。
途中、湯治客を泊めていたと思われる小さな部屋が並ぶ廊下を通り、暫くすると屋根つきの階段があるので、そこを降りていきます。
階段のアプローチは、まるで二岐温泉の「湯小屋旅館」のような感じで、一部ブルーシートに覆われているとても鄙びたものです。
辿り着いた先にある内湯は、殆ど川原の高さと言って良いほどのもの。
男女別に分かれており、脱衣所は蛇腹のカーテンで目隠しをするとてもシンプルなものです。
浴室はその脱衣所から更に降りた所にありました。

浴室は・・・まず、入った瞬間頭の中に「???」が一杯浮かびました。
暫くして、笑いがこみ上げてきて、声を出して笑ってしまいました。
何故か・・・?

なんと、大量に掛け流しで、オーバーフローが湯船から15cmの高さまで達し、洗い場が完全にお湯の底に沈んでしまっているのです!
しかも、そのせいで洗い場スペースが一切無く、脱衣所から階段降りてすぐの所までお湯が溢れ出していました!

いやぁ、こんな浴室、見たことありません!

正確に言うと、15cmものオーバーフローは、女湯側にある排水口の高さによるもので、排水口が湯船よりも高い位置に設定されている為このようになってしまっているみたいです。
排水口の高さを下げれば、洗い場がちゃんと出現します。
逆に、排水口をもっと高くする事も可能で、一番高くすると、脱衣所から降りる階段部分も全てお湯に沈み、既に浴室と言う言葉すら当てはまらない、湯底からの水深が3m以上の素潜り練習場の出来上がりです。
3mともなれば、日本一深いと言われる藤三旅館の白猿の湯が浅瀬に感じてしまう驚異的な深さです!是非やってみたかったのですが自粛。
後で女将さんになんであんな造りをしているか聞いてみたところ、ダムの放流時、浴室が水に沈む事があるのだそうですが、その時川の水が室内に逆流する事を防ぐためだとか。
なるほど・・・是非そのタイミングに来ればとも思いましたが、その時は旅館も休業しています。なんと残念!!!
しかし、とにかく規格外の凄い浴室で、笑いが止まりません。

湯口はお湯に沈んでいます。女湯との壁の間にあり、砲台のような造りをしています。
女湯側と一体型で、反対側からも同様にお湯が出ていました。
最初に圧巻されるのがその湯量。物凄い勢いでお湯が噴出しており、泡も混じるのでお湯の中でゴボゴボ、水面ではシュワシュワ、ちょっと騒がしい音を立てています。
面白い事に、この砲台湯口、角度を変える事が出来ます。女湯と繋がっているので、男湯側を持ち上げると女湯側が沈み、逆に女湯側を持ち上げると、男湯側の湯口が下を向く仕組みです。
試しに上を向けてみたところ、まるで噴水のように高く噴出し、ダバダバと実にけたたましい音を立てて湯面を打ちました。
ハッキリ言って、実にうるさい!
見た目には楽しいですが、この状態では落ち着いて入る事が出来ません。
それにしても物凄い湯量です。湯口を持ち上げた状態で暫く放置していたところ、お湯が細かい泡で白く濁ってしまいました。

肝心のお湯そのものはどうかと言うと、浴室や湯口のインパクトが強すぎて陰を潜めてしまっていますが、これ単体でも実に素晴らしいものです。
まずは臭い。少し潮臭と石膏臭のような泥臭さ?が混じり、僅かな硫黄臭もあります。
肌触りはとてもツルツルして、物凄い勢いで泡が付着しました。
鮮度はこの上なく抜群。元々泡がつく泉質だと思われますが、湯口からお湯が噴出す際に泡も出ていますので、そのせいもあってとても盛大な泡の付き方です。
お湯を口に含むとほんのり硫黄味。僅かな塩分も感じます。
湯口・浴槽ともに温度はほぼ40度で、ちょっと温めと言う印象。ただ、泡つきを楽しみながらじっくり入っていると、体が芯からポカポカと暖まり、グッタリと疲れます。
大量に掛け流されている事により、お湯は常時流れています。そのせいもあって、結構疲労度が高いお湯と言う印象を受けました。

良いロケーション、良いお湯、面白い湯口、洗い場の無い不思議な浴室。
女将さんもとても良い方ですし、素泊まり4200円と言う破格の金額。
東京から遠いと言う、個人的で見当違いな不満を覗けば、非の打ち所が無い素晴らしいお宿です!
お風呂に入った瞬間に「次いつ来ようかな」と思ってしまいました。
来たばかりでいつ再訪出来るか悩んでしまう所なんて、今まで湯巡りした中でも数軒しかありません。

なんの文句も無く★5つ、気持ち的には★5.5くらいの価値がある一湯でした!!!

2007-6/16

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