
2008年 6月に発生した「岩手・宮城内陸地震」によって土石流が下流を堰き止め、水没。廃業してしまいました。
まさしく秘湯と呼ぶに相応しい素晴らしい温泉でした。
いつの日か復活してくれる事を願ってやみません。
ナトリウム-塩化物泉
(滝の湯) 63.4度 / ph7.8 / H4.12.9
Na+ = 279.8 / K+ = 11.7 / Mg++ = 0.7 / Ca++ = 48.8
Cl- = 414.6 / F- = 1.4 / HCO3- = 153.4 / SO4– = 21.4
H2SiO3 = 117.7 / HBO2 = 33.5 / 溶存物質総量 = 1090.4mg
宮城県栗原市花山字本沢岳山1-8
0228-56-2878
男女別内湯 ・ 混浴露天風呂
500円
10:00 – 15:00
秘湯を守る会で有名な佐藤旅館の更に奥、砂利道を5分ほど走った先にある駐車場に車を停めてから、徒歩で山道を20分程度歩いた先にある秘湯の一軒宿です。
行き辛い場所にあり、時間もかかるので、数泉している時ならば真っ先にパスするであろう所ですが、この時は温泉仲間達と一緒にマッタリ湯巡り中だったので、はるばる立ち寄る事が出来ました。
お付き合いしてくれた友人達に多謝です!
ロケーションは、前述の通り、山の中にあります。
駐車場から山道を登ることおよそ15分、暫くすると平坦になり、そこから更に5分ちょっと進むと、ようやくお宿が見えてきました。
文字通り、周囲に何も無い、山の中の一軒宿です。
秘湯と言う言葉がまさしくピッタリな雰囲気のお宿で、建物も場所相応な山小屋です。
電気は自家発電に頼っており、夜はランプの明かりで過ごすのだそうです。
すぐ傍に川が流れており、とても風情がいいです。川沿いには混浴の露天風呂があり、旅館手前の山道から、遠目ではありますが丸見えでした。
さて、お風呂。男女別の内湯と、外から丸見えな混浴の露天風呂があります。
まずは内湯。露天風呂へ向かう途中にあり、まるで共同浴場のような造りの、シンプルなものでした。
コンクリートの浴室に、コンクリートの湯船。まるで出途の湯のような、とても鄙びていて落ち着ける造りをしています。
お湯は無色透明で、ほんのり温泉臭。深い浴槽に張られたお湯は少し熱めで、キリっと入り応えがあるものです。
湯口からは熱い源泉が注がれており、同時に温度を調整するための冷水も注がれていました。
あまり特徴がある印象はありませんが、鮮度が非常によく、気持ちが良いです。
硬い印象で、ビリビリとくる肌触りがあり、お湯からあがるとサラリと肌が乾きます。
これこそ芒硝泉の特徴だ!なんて感激し、芒硝泉だと思い込んで臭いを嗅ぐと、芒硝臭がするような気がします。
しかし、後になってから成分表を確認してみたところ、食塩泉との事。
アレ?芒硝成分なんて殆ど含まれていないぢゃん・・・?
うーん、外れたなぁ。でも、食塩泉っぽい浴後のベタつきが無く、サラサラとしてとても気持ちが良いのです。
本当は芒硝泉なんじゃないの~?とか言いたくなりますが、結論は成分表が示している通りで、覆る筈もありません。
まぁ、ともあれ、良いお湯です。私は結構気に入りました。
続いて露天風呂。野趣溢れる造りをしており、とても開放的です。
20人以上ゆったり入れる広さで、岩風呂になっていました。
浅い所や深い所があり、自分の好みの居場所を見つけて入ると良さそうです。
お湯は内湯に引かれているものと同じで、無色透明。源泉は露天風呂のすぐ近く、川の上流側にあり、そこからホースで引かれています。
加水済みと思われる、温めのお湯が打たせ湯状になっている湯口と、熱い源泉がそのままに注がれている湯口があります。
熱い方のお湯を桶に汲んで臭いをかいでみた所、ごく微量ながら金気臭がし、口に含むと金気味がしました。
自然の一体感を楽しめる露天風呂と、素朴な共同浴場を思わせる内湯。
宿へのロケーションも最高で、とても素晴らしい一湯でした。
お湯だけだとアピールに欠けます(良いお湯ですが)けど、全体を評価すると行って見る価値があります。
なかなか足が向かない山の中にありますが、機会があれば是非とも行ってみてください!
2007-5/12
コメント
湯栄館、20年前に行きました。舗装路から折れて砂利道を走ること30分、行き止まりでクルマを置いて橋を渡って最初は10分登り坂、しかしあとは15分をホイホイ歩けば到着、4匹飼われてたワンちゃんが歓迎してくれました。
河原に張り出した露天風呂は泉質はたいしたことは無いものの湯量豊富で広く、贅沢をさせていただきました。
しかし到着時に旦那さんに言われたのは「河原の露天は暗くなると入れないよ」。なんのことかわからず、夕食後に手拭いを持って行ってみたら、昼間の雪解けで増水した一迫川が湯舟を覆って流れてました。
電気は洗濯機と冷蔵庫の分だけ自家発、部屋はランプで、日が落ちて暗くなればなるほどランプが明るく思えたのは意外でした。
食事は夕朝食とも地産品を活かした質素だけど贅沢なもの、全て美味しく完食。
朝飯食えば次はトイレ。個室に入ると、注意書きには処理の都合上で「使ったカミは落とさずこのバケツに入れてください」。
視線を外らし、おそるおそるバケツの蓋を持ち上げると、そこには使用後の落とし紙が山盛りに・・」。
惜しむらくは、この宿は2008年の岩手宮城内陸大震災で、川の下流にできた土砂ダムにより水没して廃業。
温泉は自然の恵みで我々に恩恵を施してくれていますが、自然の変化でまたそれが無くなってしまうのもコレもときの流れ。
>>温泉おじやさん
ここは立ち寄り入浴をしただけですが、とても印象に残っている温泉です。
私が入って程なくして地震があり、廃業しちゃったんですよね。
秘湯とは名ばかりの秘湯が多い昨今、ここは誰もが異論を挟む事の無い、本物の秘湯でした。
自然の変化の影響については、本当にその通りだと思います。
いま湧いているお湯で、1000年後も残っている所なんて、たぶん数えるくらいしか無いんじゃないかな?
人間の一生で見たら長い年月ですが、地球の歴史で見たら瞬きにも満たない一瞬の奇跡、有難く堪能させて頂きましょうね!