ナトリウム-塩化物泉?
秋田県湯沢市秋ノ宮字湯ノ岱106
0183-56-2608
混浴内湯 (貸切で利用)
500円
9:00 – 17:00
前々から気にはなっていた物の、何故か今までずっとスルーし続けてきた、秋の宮博物館。
ついに立ち寄る事が出来ました。
場所は、秋の宮のお宿や民家がポツポツと並ぶ一角にあります。外観からして少し怪しい雰囲気を醸し出しており、一歩間違えると廃屋のような雑然とした佇まいです。
中に入ると、外観に増して、雑然と色んな物が並んでいます。
とりあえずお風呂をお願いすると、「今は誰も入っていないから、どうぞどうぞ。お風呂から上がったらゆっくり見ていってね」と言われ、アンティークな小物雑貨がところ狭しと並んでいる廊下を抜けて、浴室まで案内して貰いました。
何をどうゆっくり見れば良いのでしょう?少し疑問におもいつつ、いまは本来の目的である温泉に集中する事にしました。浴室は内湯のみで、本来は混浴のようですが、いまは貸切で使われているようです。
さて、その浴室。実に渋いです!長方形の湯船が、縦長に2つ並んでいます。
湯船はコンクリートと天然石を継ぎはぎしたような、とても渋いもの。雑然と並んでいた小物のせいで、やたらとカラフルでセピア色に感じた風景が、一瞬でモノトーンに変わりました。
窓から外を眺める事も出来、すぐそばを川が流れています。浴槽に張られているお湯の水位は表の川とほとんど同じくらいの高さしかありません。
こう言う造りの浴室に、悪いお湯が張られている試しは、殆どありません。
その期待のお湯はと言うと、無色透明。まずは奥の湯船から。温度は44度くらいで、少々熱いですが、しっかり温まる気持ちが良い物です。僅かに白い湯花が舞っているのが分かります。
お湯からは石膏臭と温泉臭。お湯の中に入っていると肌触りがツルツルしますが、お湯から上がると、シットリペタペタする感じが残ります。塩分も含まれているのかな?
温度が高いせいもあってか、しっかりと体が温まり、じっとりと汗をかきます。
長時間お湯に入り続ける事が出来ず、自然と湯船の脇に座っている時間が長くなるのですが、この風情の中、窓から入ってくる爽やかな風に当たっていると、なんとも幸せな気分になれます。
続いて手前側。こちらは熱くて、48度くらいはあるでしょうか。とりあえず体を沈めてみたものの、身動きが採れません。体中にビリビリと刺激を感じます。全身の皮膚が熱さで悲鳴を上げているのが分かります。
ココまで熱いと、お湯の感触も何もあったものではありませんが、白湯花は奥の湯船より多く、お湯自体の鮮度は、奥の方が良いような気がします。ただ、お湯事態の特徴はこちらの方が強く、温度が高いせいだと思いますが、お湯の香りは強く感じました。
ちなみに、この浴室の引湯方法が面白いです。手前側浴槽のすぐ傍にある小さな湯溜りに、素手では触れない熱湯が貯められていています。その一部が手前浴槽にチョロチョロと注がれていて、残ったお湯は、排水溝のような溝を伝って、奥の浴槽に到達します。
全量を注ぐと温度が高くなりすぎるので、実際に浴槽に注がれるのは一部で、あまったお湯は、そのままぐるりと浴室を周回して、排水される仕組みです。
高温の源泉をどうやって下げるための工夫なのかも知れませんね。
さてさて、浴後。何がどう博物館なのか、湯上りに涼むついでに、館内に置かれている展示物をじっくり眺めながら歩いてみました。
一言で言うと、昭和です。民家を改造した1階と2階部分に、昭和30年代~40年代の細々とした雑貨が、ジャンルごとに、所狭しと並べられています。
コーラの瓶やら、駄菓子、メンコ、食器、オモチャ、レコードなどなど。ハッキリ言って、ひとつひとつの価値はそれほど高くは無さそうですが、昔懐かしい物がこれだけ揃っているのは凄い事です。集めるのは相当大変だった事でしょう。
湯めぐりの途中だったので、流し見る程度であまり時間を費やせませんでしたが、じっくりと見入ると、平気で数時間の時間が潰れそうです。
「三丁目の夕日」をはじめ、昭和が密かなブームになりつつある昨今、ココはもっと、博物館としての価値をもっと見直されても良いような気がします。
特に、この時代を実際に生きてきた団塊世代には涙物では無いでしょうか?
温泉が目的で来たのですが、最後は何だか、別の感動を余韻として楽しみながら、その場を後にしました。
B級好きな方は勿論、青春時代を昭和に過ごした方々にもお勧めです。
館内の展示物をゆっくり見て回ると時間が掛かりますので、展示物に興味がある方は入浴含めて1時間以上を見込んでスケジュールされた方が良いと思います。
なんでココを後回しにしていたのだろうと、今までの湯めぐり優先順位を少し反省する結果になった一湯でした。
2008-5/3
コメント