ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
(源泉名:神の湯) 54度 / ph7.6 / R1.12.23
Li+ = 0.2 / Na+ = 191.3 / K+ = 5.0 / Ca+ = 123.6
Mg+ = 1.1 / Sr+ = 0.6
F- ~ 1.0 / Cl- = 128.1 / HCO3- = 38.8 / Br- = 0.2
I- = 0.3 / SO4- = 450.3
H2SiO3 = 58.4 / HBO2 = 11.4 / HAsO3 = 0.2 / CO2 = 4.4
溶存物質総量 = 1010.5mg
宮城県仙台市青葉区作並長原3−2
022-395-2341
男性用は内湯のみ、女性用は内湯と露天
大人700円、子供500円
11:00 ~ 17:00 (17時までには退館)
東京の奥座敷と言えば箱根です。
箱根以外の候補として、熱海や伊香保、塩原なんかも候補に挙がるそうですが、私は断固として箱根を推します。箱根以外は比較検討の土俵にもあがらないと思っています。
別に、箱根の温泉が飛びぬけて優れていると言う意味ではなく、東京から行く観光地として群を抜いているんですよね。
新宿駅からロマンスカーに乗った瞬間から箱根なんです。旅情を感じながら箱根湯本駅についたら、登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、遊覧船、バスと乗り継いで、再びロマンスカーで新宿に戻れます。もちろん途中で観光や宿泊を挟む訳ですが、仮にどこにも寄らずに移動しているだけだとしても丸一日楽しめる。
こんな温泉地、日本全国どこを探しても箱根の他にはありません。
東京の奥座敷として、ここよりも優れている所なんて、私には想像がつきません。
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で、箱根について熱く語ったところでなんですが、今から紹介するのは箱根には縁もゆかりも(たぶん)無い、作並温泉。奥座敷は奥座敷でも、仙台の奥座敷でございます。
正直に白状します。
宮城県には何度となく訪れている私ですけど、作並温泉の存在をすっかり忘れていました。
大規模旅館に、無色透明であまり特徴の無いお湯が、塩素まみれで循環されている、わざわざ行く必要の無い温泉地。
申し訳ないですが、そんなイメージしか無かったのです。
そのため、宮城県まで足を伸ばしても立ち寄る選択肢にあがらず、全く興味が無いまま、いつのまにか「存在そのものが記憶から消去」されていました。
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そんなわけで、すっかり忘れ去られていた作並温泉。
久しぶりに温泉仲間と会った時に、その中の一人が宴席の際に、作並温泉に立ち寄ってから来たと言うのです。
「え? 作並温泉? 作並温泉って、えっ? あの作並温泉? 何だってそんな所に・・・?」
私のその時のリアクションは、多分こんな感じでした。
作並温泉の皆様方、ほんとうに申し訳御座いません。
その友人曰く、作並温泉も悪くは無いらしくて、特にこの作並ホテルは結構良いのだとか。
えぇ~? 作並なのにぃ? ほんとうにぃ~???
正直、半信半疑。
でも、その友人は仙台にお住まいの温泉マニアで、東北の温泉に関しては私よりもよっぽど詳しい方です。
きっと間違い無いだろうと言う事で、行ってきました。
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で、辿り着いた作並ホテルです。
随分と以前に訪れた事のある 一の坊 のすぐ隣、と言うか、奥? 裏? にありました。
(ちなみに、冒頭でケチョンケチョンに貶している作並温泉ですが、この一の坊の印象は結構良かったです)
事前に電話で確認していましたが、外見だけ見るとちょっと廃墟感があって、本当に営業しているのか不安になる建物です。
到着したのはピッタリ16時。ちょうど女将さんが本日営業終了の看板を表に出しているタイミングでした。
慌てて駆け付けましたが、17時までに退館してくれれば大丈夫との事でした。
入浴代はその場で手渡しです。
浴室はホテルの規模に見合ったフロントロビーを抜け、階段を降りた先にありますが、館内がちょっと薄暗くて、宿泊者の気配がありません。
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お風呂はもちろん男女別。
地味に下がる暖簾をくぐった先の脱衣所は明るくて綺麗でした。ほっと一安心。
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で、肝心のお風呂。
仙台の友人が作並温泉に入ってきたと聞いた時、何でそんな所にと思ってしまっていた自分が恥ずかしくなるような、実に渋くて私好みの浴室でした。
説明するよりも写真を見て貰った方が早いです。
見事としか言いようの無い、ため息が出る程美しい岩風呂です!
お湯の方も素晴らしいのひとこと。
無色透明で湯花はなく、とてもクリアに澄んだお湯。ごく僅かに芒硝臭が香ります。
芒硝臭特有のビリっとくる感じがあり、お湯に浸かった瞬間は妙に熱く感じるのですが、入ってしまえば茹るような事も無く、ゆっくりと浸かれる適温である事に気が付きます。
肌触りはサラサラ。お湯から上がると体全体の脂分が抜けて、カラッと乾くような感覚があります。
芒硝泉の特徴をよく感じる事の出来るお湯です。
出たり入ったりしていると気持ちが良いんですよね!
湯口は少しだけ変わっていて、直接湯舟には注がずに浴槽内から投入する仕組みです。
新湯が注がれている箇所には成分が真っ白に固まっていました。
芒硝泉によく見られるこの白い結晶、私は大好きです。
先客は1人、途中から3人入ってきたので、私を含めて5人。
みんなお湯の出入りも静かに波立てず、マナー良く入浴しています。
誰一人言葉を交わすことなく、でもお互いを気遣っているようで、とても居心地が良いんですよね。
ここのお湯が好きでよく来る常連さんなのかな?
この日はもう1か所くらいは立ち寄りたいと思っていましたので、あまり長居するつもりも無かったのですが、お湯も風情も素晴らしく、気が付いたら随分とゆっくりしてしまいました。
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ちなみに帰り際、女湯も少しだけ見学させて貰いました。
女湯側の内湯は、男湯側に比べると、まぁ、普通かな。
勿論悪くはありませんけどね、個人的には男湯の風情に軍配。
でも、女湯側には露天風呂があるんですよね!
これは正直ウラヤマシイ!
以前は日替わりとか時間で男女を入れ替えていたのかもですね。
他にも、今は使われていないけど貸切風呂もありました。
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相変わらず薄暗いフロントに戻ると、女将さんと大女将さんかな? お二人がいらして、また来てくださいねとお見送りをして下さいました。
後になって調べてみたところ、ずいぶんと前から宿泊は受け入れておらず、一時期は完全に閉鎖されていたみたいです。
日帰り温泉の営業を再開したのはつい最近、2020年2月からのようですね。
更に調べてみたら、もともとは安政2年(1855年)まで遡る事が出来る歴史あるホテルだそうで、作並温泉の歴史を語るうえで欠かせない存在のようです。
仙台の奥座敷、作並温泉。歴史あるホテルがこうして営業再開してくれたのは嬉しい限りです。
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冒頭で作並温泉についてかなりひどい事を書き殴ってしまいましたが・・・
作並ホテルに入った事で、私の中の認識が180度変わりました!
作並温泉、最高です!!!
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2022年 12月4日 - 初訪問・日帰り入浴
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