弱食塩泉
100度 / ph8.6 / S32.8.7
Na+ = 629.97 / K+ = 8.89 / Ca++ = 141 / Mg++ = 9.09
Cl- = 1104 / SO4– = 159.8 / HCO3- = 50.89 / CO3– = 6.34
H2SiO3 = 176.1 / 成分総量 = 2288mg
静岡県賀茂郡河津町峰487-2
0558-32-0261
内湯 ・ 貸切可能内湯+露天風呂
1000円
15:00 – 18:00
河津桜と言えば、日本で一番早咲きの桜として知られています。その河津桜が綺麗に咲く事で有名な河津川沿いに、ぽつんとあるのがここ、峰温泉です。
ちなみに私、お恥ずかしながら、河津桜と峰温泉、そのどちらも今まで知らず、今回の湯めぐりをきっかけに知った訳ですが・・・^^;
そんな峰温泉に、今回一緒に湯めぐりをしてくれた友人のG氏が、案内したいお風呂があるとの事。はてさてどんな所かと思いきや、ナント、風呂が壊れたとかで、入れない!
う~ん、残念。落胆する私もですが、張り切って案内してくれていたG氏も少し沈んでいる様子。
仕方が無いねぇ、じゃあどこへ行こうかとなり、折角だから同じ峰温泉で、通り沿いに見かけたお宿、竹の庄さんに立ち寄ってみる事にしました。
G氏曰く、ここは日帰りは受け付けているけど、1000円との事です。その上、温泉ファンのレポートも上がっていないような所なのだとか。
つまり、高いと言う以外の事前情報はゼロ、当たるか外れるかも分からないと言う事ですな。正直、あまり気乗りがしません。不安を抱きつつ車から降りました。
さて、その竹の庄さん。外観だけ見ると、実に立派な高級宿です。立ち寄りなんか受けつけないようなオーラを感じます。
内部もとてもお洒落で、昭和初期の風情をそのまま残す、実に瀟洒な造りです。
着物姿の女将さんが色々と説明をしながら、お風呂まで案内して下さいました。
お風呂は2箇所、1階と2階にあります。今は他にお客さんが誰もいないそうで、両方とも使って良いですよと女将さん。
とりあえず一同、まずは2階の浴室を使う事にしました。トイレに行きたかった私は、友人から少し遅れて階段を上がると・・・脱衣所の方から歓声が聞こえてきました。
盛り上っているなぁと思ったら、中から今回の湯めぐりの主役、TODI-K氏が興奮気味に出てきて、「ジャケジャケ!ここ最高!」と、大喜びしています。
どれどれ、私も中を覗いてみると・・・あぁ、何という事でしょう!
うん、確かに最高!
見た目からしてスバラシイです!
良い具合に時代から取り残された、レトロな浴室。ここだけ時間がすっかり止まっているような風情です。純和風とも西洋風とも取れない、曖昧な建築様式をしています。
今から同じ物は造れないでしょうし、手入れが悪ければこれだけの物は残っていない事でしょう。愛情を注いで維持された事が分かる浴室は、その全体が素晴らしいアンティークと化していました。
これを見て何も感じない温泉ファンが、果たしてどれだけいるでしょうか?
思わずカメラを抱えて、色んなアングルから撮影してしまいました。
写真撮影を終えた私は、服を脱いで、いざ入浴する事に。掛け湯をしてみると、ふんわりと芒硝臭が香る、とても良いお湯です。体が冷えていたせいもあってビリビリと熱いです。
体を馴染ませてから入ろうと、何度も掛け湯をしていたら、既に湯船に浸かっている友人達から、「入っちゃえば熱く無いよ!」「気持ちいいよ!」と声を掛けられました。
掛け湯でお湯を楽しんでいた私は、内心、「うっさいなぁ~!」「入っちゃえば熱く無いって、オイラは初めて温泉に浸かる素人さんじゃあるまいし・・・」と思いつつ、静かに体を沈めて見ると・・・
あぁ、気持ち良い!掛け湯でも良さは十分に伝わりますが、入ってみると、更に良いお湯なのです!早く入れと促す友人の気持ちが凄く良く分かりました。
湯面からは、私が大好きな芒硝臭が香ります。それと同時に、肌を刺すようなビリビリ来る刺激。温度は多分45度くらいと思いますが、鮮度の良さも手伝って、かなり熱く感じます。
芒硝泉かくあるべしと言う感じです。
お湯から上がると、一瞬で体が冷えるのも、芒硝泉ならではの特徴です。冷えた体に掛け湯をしたり、湯船に浸かったり・・・あぁ、これ以上幸せな瞬間があるでしょうか。
ちなみにこの日は、青森から来てくれたTODI-Kさんを連れまわして、伊豆の色んな温泉に入る予定だったのです。その為、ここはさっさと切り上げて次へ行くつもりだったのですが・・・
TODI-Kさんから衝撃の一言。「もうココで湯めぐり終了して良いよ」
えええぇぇ・・・!?いつでも伊豆に来れる私ならばともかく、次にいつ来れるか分からないTODI-Kさんの為に、この後も立ち寄る所を沢山リストアップしていたのに~!
でも、正直その気持ち分からないでもありません。それくらいにこのお湯は素晴らしいです。
私も内心、このままここで一日ゆっくりしていても良いような気がしています。
でも、ココは心を鬼にして・・・やっぱり次には行きましょうと提案。ただ、ゆっくりとお湯に浸かる事には賛成。
ところで、何か忘れている。あ、そうだ。1階にもお風呂があったんだっけ?
でも、この2階のお風呂最高に気持ちが良いしなぁ。動きたく無いなぁ。
そんな気分を察知してか、N氏が、「じゃあ僕、下の様子を見てきますよ」と、1階へ移動しました。
そして待つこと10分。おかしい、N氏が戻って来ない。気になって私達も移動してみると・・・
1階のお風呂には、興奮しながら写真を撮っているN氏の姿がありました。そしてそのN氏の口から一言。「僕が戻って来ない理由は察して欲しかったなぁ~」
1階のお風呂の入り口前には、「家族入浴中」「女子入浴中」「男子入浴中」と書かれた札がありました。
スイッチを入れるとランプがつき、貸切状態で入る事が出来るようです。
仕組みは至ってシンプル。なんなら全部のランプにスイッチを入れる事が出来るわけで・・・
試しにパチパチと電気をつけたり消したりして遊んでみた。
でも、貸切出来るお風呂であれば手狭かと言うと、内湯と露天のあるとても広々とした大浴場になっており、少し驚きました。
内湯には湯船が2つあり、入って左手側が水風呂、右側が温泉です。
露天風呂は岩風呂がひとつ。源泉は2階の物と同じです。
風情は2階の方が勝ると思いましたが、1階もなかなかの造りです。
早速お湯に浸かってみました。
まず入ったのは、内湯の方です。ビリビリと刺激的に熱かった2階と違い、こちらは適温で、43度くらいでしょうか。
ほんのり芒硝系の温泉臭が香る良いお湯です。
これはこれで、鮮度が良くて気持ちが良いのですが・・・ココでふと、異変に気付き気づきました。
あれ?こっちのお湯は、あまり芒硝泉って感じがしないなぁ。
これはこれで、とても気持ちが良いお湯なのですが・・・
続いて露天風呂。こちらのお湯は、更に温くて、40度くらいです。じっくり長湯に向く温度なのですが・・・
こちらのお湯からも芒硝臭はしますが、それ以上に塩化物泉にある潮臭が強いです。
2階の湯船で嗅いだお湯からは、潮の匂いなんて一切しなかったのですが・・・
ふと気になって、湯口の匂いを嗅いで見ると、はっきりと分かる潮の匂い。
あれ・・・?これって同じ源泉!?
答えを先に言うと、実際に同じ源泉なのです。
全く異なる、2つのお湯の印象。これは恐らく温度や注がれている湯量と、鮮度が大きく影響を与えているのでしょう。
ほんの微妙なバランスで、お湯の性格がまったく変わってしまうのです。
どちらも素晴らしく、とても気持ちが良いのですが、実に不思議な体験をする事が出来ました。
帰り際に、お宿の女将さんとご主人にお話を伺うことが出来ました。
こちらのお宿、意外な事に、今は素泊まりでの宿泊しか受け付けていないとの事です。
食事つきで宿泊客を取っていた時は、ひとり一泊3万円とかしていたそうです。
その後、宿泊客の減少などで、経営が難しくなった際、この建物を存続させなければならないとの思いから、人手が少なくても切り盛り出来るようにと、素泊まりのみに切り替えられたそうです。
私が浴室で、愛情を注がれて維持されているなぁと感じたのも、あながち間違いではなかったようです。
気になるお値段は、素泊まりで7000円弱との事です。金額だけ見ると多少高めに感じますが、この気品と風情、そして最高のお湯が揃った宿です。
慢性的な金欠病の私ですら、安いと感じてしまいます。
今回は残念ながら紅鮭は参加する事が出来なかった訳ですが、次回はふたりで泊まりに来たいと思いました。
私のHPをご覧になり、多少なりとも内容に共感を抱いて下さる方にであれば、自信を持ってお勧め出来る、素晴らしい一湯です。
2010-2/6
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