愛知県

みそぎの湯 (永和温泉) ★4.5

ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
(源泉名:永和温泉)
46.1度 / ph7.1 / 動力揚湯 / 毎分1300L / H18.7.3
Na+ = 376 / K+ = 6.0 / NH4+ = 1.9 / Mg+ = 3.3
Ca+ = 36.5 / Sr+ = 0.6 / Ba+ = 0.5 / Mn+ = 0.3 / Fe+ = 0.2
F- = 0.2 / Cl- = 490 / Br- = 1.6 / HPO- = 0.1
HCO3- = 319 / CO3- = 1.2
H2SiO3 = 41.7 / HBO2 = 1.2 / CO2 = 10
成分総計 = 1291mg

愛知県愛西市大井町浦田面686
男女別内湯
一般の方 300円、初めての方 300円、たまに来る方 300円
毎日来る方 220円、信者の方 220円、子供の方 110円
7:00 ~ 21:30
(一般の入浴は朝8時からと言う張り紙もありました。
私は8時前でも入れて頂けましたけど、要確認???)

2023年ゴールデンウィーク、京都へ行く途中に海津温泉で前泊しました。
で、一晩明けて翌早朝、早速京都へ出発、、、せずに、立ち寄ったのがここ、県を跨いで愛知県にある永和温泉みそぎの湯です。
「岐阜から愛知って、戻っちゃっているじゃん! 京都へ行くんじゃなかったの!?」
なんて声が聞こえて来そうですね。
はい、実際の所、少しだけ戻っています。でも、距離にすると僅か12km、車で20分ほどの場所ですので、ちょっとした寄り道程度です。
海津温泉で前泊すると決めてから、周辺にどんな温泉があるのだろうと調べていて見つけたのがここ、永和温泉。どうしても入りたかったんですよね!

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どうしても入りたかったのには理由があります。
温泉そのものが良さそうだからと言うのは勿論ですが、なんとここ、宗教団体がやっている信者専用温泉なのです。でも、信者専用だけど、一般入浴も出来ると言う、専用なんだか専用じゃないんだか良く分からない温泉。ちょっと興味湧きませんか!?

と言う訳で、行ってまいりました。
事前に調べておいた住所をナビに入力して走っていたら、割とアッサリと到着。
駐車場は少し離れた所にあるとも聞いていましたが、奥様が出て来られて、ここで良いよと、温泉と言うか祭壇の目の前に駐車させて貰いました。
案内書きには「信者専用の温泉です」と明記されていますが、信者以外の一般用の入浴料金も書かれており、問題無く利用する事が出来ます。
信者だと220円、一般だと大人300円、子供110円。その他に、毎日来る方は220円、たまに来る方は300円、はじめて来る方は300円と、細かく料金設定されていますけど、要は信者と毎日来る人以外は300円って事ですね。
私は初めて来ましたので、料金は一般と同じ300円。

祭壇の中には、恵比寿様だったり掛け軸だったり人形だったり、様々な物が祀られています。
ひときわ目を引くのは、白衣を着たマネキン。
物凄く興味をそそられますけど、このマネキン様もご神体かもしれないと思い、間近で写真を撮る事は控えました。
なんと言うか、こんな事を書くのは不敬だとは知りつつ敢えて表現するならば、マネキン様のインパクトが強くて、かなりB級な雰囲気が漂っています。

入浴代は、そんな一風変わった祭壇前にある、箱の上に置きます。
更に特徴的なのは、お金を支払えば終わりではなく、祭壇に向かって二礼二拍手一礼をしなければならない事ですね。
これから温泉に浸からせて頂く為のご挨拶と、この先の旅の無事を祈って、しっかりとお参りさせて頂きました。

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お参りが済んだら、奥様が温泉まで案内してくれました。
祭壇がある建物の脇を通ると、裏手に湯小屋があります。
何とも、凄まじく手作り感あふれる、素朴な造りで、脱衣所とかも必要最小限。今時、鄙びた温泉地にある共同浴場でもお目に掛かれないような、プリミティブなものです。


扉とか棚とか、ところどころ建付けが悪い所もあって、無理に力を入れると建物自体が崩れ落ちてしまいそうな不安すらあります。
でも、あくまでもここは「信者専用」の温泉ですからね。造りが簡素だったり今にも倒壊しそうだからって、なんだと言うのでしょう?
利用させて頂ける事だけでも大感謝です。

この風情、ハッキリ言って、私は大好きです!

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さて、念願の温泉。
来る前から予めどんな所か分かっていましたけどね。

まずは、これを見て下さい!

どうですか!?
素晴らしいでしょう!?
背筋がゾクゾクする程に良い造りをしていると思いませんか!?

こういう造りの温泉だって分かっていてもなお、実際に来て自分の目でこの浴室を見ると、口元がにやけてしまいます。

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先客でおじさんがひとり、気持ちよさそうに入浴していました。
こういう所ですからね、後から来て無言なんて言うのはもってのほかです。
私の方から挨拶をしたら、とても感じ良く「おはよう!」と返してくれて、「どこから来たの?」と、自然と会話が始まりました。
聞けばこのおじさん、この近所にお住まいだそうです。このお湯が好きで毎日来られていると仰っていました。
毎日通えるような近くに、こんな良い温泉があるなんて、羨ましい限りです。
ローカル温泉って、こういう地元の方との交流があるから面白いですよね。誰ともコミュニケーションを取らず静かに入りたい人には向かない温泉とも言えますね。

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さて、肝心のお湯。
視覚的な特徴としては、薄いウーロン茶色をしています。濁りなどは無く、湯色もかなり薄いので、湯底はハッキリと見える透明感。
臭いは僅かなモール臭と、金気臭もあります。僅かだけどモール系のアブラ臭もありました。
ツルツルと滑る肌触りが強く、とても気持ちが良いお湯です。


湯舟は3槽に分かれていて、奥の湯舟2箇所にはそれぞれに湯口があり、新湯が注がれています。手前に張り出している湯舟は、奥の湯舟からの溢れ湯が注がれる仕組み。
奥の2箇所の湯舟の温度は、どちらもほぼ同じで、40度あるか無いかです。結構温め。
溢れ湯が注がれる一番手前は更に温くて、40度は確実に下回っていると思われます。
私は一番広く入れる奥左側の湯舟で過ごしましたが、ずっと入っていても湯疲れしない温度ですね。

見た目からも想像できる通り、循環などは一切されていません。疑う余地すら無い、素晴らしい掛け流しです。
湯使いの良さもありますが、朝早くの入浴で、そもそも利用者が少ないだろう事もあって、お湯の鮮度は抜群に良いです。

しばらくすると、先客のオジサンが出て行かれて、独泉状態になりました。
うーん、この幸せな時間、ずっと続けば良いなぁ~
でも、この後はこの旅のメインでもある京都観光が待っています。それはそれで楽しみだし、あまり長湯してしまうと予定が狂ってしまいます。
出たくないけど出なければならない、そんなジレンマに苦しみながら、素晴らしいお湯を堪能させて頂きました。

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浴後、服を着て祭壇の前に戻ると、恐らく教祖様だと思います。ご主人が熱心にお経を唱えていて、私達が出たのを見て話しかけて来て下さいました。
一言で言うならば、とてもお話し好きな方です。
色々と説明して下さり、温泉については勿論ですが、「この大黒様はね・・・」などと、お祀りされている物についても聞かせて頂きました。
正直、あまり信心深くない私は、聞いても良く分からないのですが、良く分からないながらも何となく分かった事は、宗教と言っても決して怪しいオカルトではなさそうです。
良い物、有難いものを大切にして、敬い感謝しながら日々を穏やかに過ごしているだけ。柔和な微笑みを見せながら語るご主人を見ながら、そんな感じの印象を受けました。

先ほど、どれがご神体なのか分からない程にゴチャゴチャしていてB級だななんて、失礼な事を書いてしまった祭壇ですけど、そんな有難い物を分け隔てる事なく祀っていたから出来上がったのでしょうね。

最後にご主人様と一緒にもう一度、二礼二拍手一礼をしてから帰りました。
泉質と湯使いは最高、手作り感溢れる風情も素晴らしく、ご主人のお話で心の中まで洗われる、とても清々し気持ちになれた温泉でした。

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最後に余談ですが、永和温泉の周辺には麦畑が点在しています。
麦畑って、普段の生活であまり見かける事無いんですよね。
思わず車を停めて写真を撮ってしまいました。

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2023年 5月2日 - 初訪問・日帰り入浴

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