東京都

稲荷湯 (大田区) ☆3.5

メタけい酸及び重炭酸そうだの項で温泉法の温泉に適合
(源泉名:稲荷湯)
19.6度 / pH8.1 / 毎分12.5L / 動力揚湯 / H27.7.15
Na+ = 204 / K+ = 10.6 / Ca+ = 6.0 / NH4+ = 2.6 / Mg+ = 1.4
F- = 0.5 / Cl- = 3.3 / HCO3- = 576.6 / HPO4- = 3.1
CO3- = 2.7 / NO3- = 11.2
H2SiO3 = 63.8 / HBO2 = 0.8 / 腐植質 = 14 / CO2 = 1.3
成分総計 = 902mg

東京都大田区東雪谷3丁目30−14
03-3729-4526
男女別内湯・サウナ・水風呂
2022年8月20日をもって閉業

東京でも城南地区、とりわけ大田区には温泉銭湯が沢山あります。
掘削すれば黒湯が沸くみたいですね。
ただ、東京都内に沢山あった銭湯は減少し続けており、大田区の温泉銭湯も例外ではありません。
ふとしたきっかけに、まだ未湯だった稲荷湯さんが2022年8月20日をもって閉業すると知り、入れるうちに入っておこうと思って行ってきました。

場所は東急池上線の石川台駅から続く、商店街の外れみたいな場所にあります。
この近くに住んでいるならいざ知らず、狙って探してこない限りは偶然発見する事の無いような場所です。

大田区に限らず、一昔前はどこの街にも銭湯ってあったんですよね。
私の家の近所にも昔は幾つも銭湯があり、子供の頃はよく父親に連れて行ってもらったものです。
気付いたら私が入った事のある銭湯は全部なくなっていました。

一言で言ってしまえば、時代の流れなんでしょうね。いまどき、どこの家庭にもお風呂ありますから。
手書きで書かれた閉店のご挨拶の脇に、営業日を告げるカレンダー。8月21日以降が全て潰されてしまっているのが悲しいです。

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さて、そんなわけで、廃業間近な稲荷湯さん。
もうすぐ店じまいだし、ボロボロなのかなぁと思いきや、すごくちゃんと手入れされているんですよね。

入口には金魚が泳ぐ水槽があるのですが、苔のひとつすら生えていません。
それどころか、水槽内には鬼滅キャラのフィギアがいて、流行にもしっかり乗っています。
ここ、本当に廃業しちゃうの? って感じすらします。

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脱衣所とお風呂もとても綺麗。
撮影禁止でしたので文章だけでの紹介になりますが、浴室入って左側面にサウナ室があり、続いて水風呂、一部がジェットバスとマッサージ湯になっている真湯の加温浴槽があり、一番奥に黒湯浴槽があります。
右側面は洗い場になっていました。

面白いのが浴室の中央です。ここも洗い場で、ひとりひとりがパーテーションで仕切られています。
まぁ、パーテーションで仕切られている洗い場なんて、ホテルやスーパー銭湯なんかでも普通にあるので、言葉で説明しただけだと「それのどこが珍しいの?」となってしまうのですが、ここのは後付け感満載で、ちょっと独特なんですよね。
写真で紹介出来ないのが残念・・・

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肝心の黒湯ですが、濃さはアメリカンコーヒーを少し薄くした位の濃度です。
城南地区の黒湯としては、至って普通。これよりも濃い黒湯を知っていますので、私は特別驚く事はありませんけど、東京の黒湯を知らない人が見たらビックリするでしょうね。

浴槽内はジャグジーになっていて、湯舟が妙に深いのが印象的。正直に書くと、深さが中途半端で少し落ち着かないです。湯底にお尻を付けて座る事は無理だし、かといって立ち湯出来るほどの深さはありません。
ジャグジーで絶えずお湯が揺れるので、中腰みたいな恰好でバランスを取り続ける必要があります。

お湯の印象としては、黒湯独特のモール臭が僅かにあり、肌触りもツルツルします。
強い塩素臭が浴室全体に充満しているけど、黒湯からはそれほど感じません。
蛇口捻ると黒湯源泉が出て来て、25度位でしょうか。こちらはフレッシュなモール臭がします。

最初で最後の稲荷湯さん、折角だからゆっくりしようと、黒湯浴槽と水風呂を行き来しましたけど、源泉の水風呂があれば最高でした。

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浴後、この近くにお住まいと思われる方と帰るタイミングが合いました。
番台に座る女将さんに「おやすみ~! また明日ね~!」なんて挨拶をして出て行ったのですが・・・

その方にとっては、毎日何気なく「また明日」と言っていた日常。
そんな当たり前が、間もなく終わりを迎えようとしています。
なんだかとても、寂しい気分になりました。


廃業を知って慌ててやってきた私が言う事ではありませんが、今までお疲れ様でした。
最後に思い出を頂きました、有難うございました!

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2022年 8月6日 - 初訪問・日帰り入浴

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