単純温泉
熊本県人吉市紺屋町80
0966-22-2020
男女別内湯
300円
8:00 – 9:00 / 13:00 – 20:00
人吉市街地にある温泉銭湯です。
商店街から少し奥に入った所にあるのですが、非常に分かり辛く、一度来た事がある友人の道案内があったにも関わらず少し迷ってしまいました。
道さえ迷わなければ、ちゃんと駐車場もあって使い勝手が良いお風呂です。
「新温泉」と言う名前ですが、とても「新」と言う感じはしない、とても歴史を感じる事が出来る外観をした湯小屋です。
内部も相当に鄙びており、まるで映画のロケセットのような、とても風情がある造りをしています。
まず、入ってすぐの所が番台になっています。昔ながらの物で、男湯と女湯の境目にデーンと構えています。そこで料金を払い、靴を脱ぐと、すぐに脱衣所。
天井も高く広々としています。
ぐるりと周囲を見渡してみて、その造りの良さにため息が出てきます。ちゃんと手入れされていて、不潔感は一切無いのですが、とにかく古いです。
使われている木材も年季が入っており、黒ずんでいて、それが一層歴史の重みを感じさせるものになっています。
よく見ると、ポスターも古い。「一体何年前の車だ!?」と言うような、古い看板がそのままに残っていました。まるで歴史資料館のようです。
維持している方のセンスの良さには脱帽です。
さて、浴室。脱衣所から数段降りたところにあります。建物は脱衣所と同じ木造ですが、床と湯船はコンクリート製です。左右に正方形の湯船が並んでいました。
右側は寝湯でしょうか。かなり浅い湯船で、ぬるめのお湯が張られています。
左側が普段使いする為の湯船で、こちらは一般的な深さをしており、40度ちょっとでしょうか。すこし温めの温度設定です。
うっすら褐色を帯びて見えますが、もしかしたら薄暗い浴室のせいだったかも知れません。
透明で、所々に白い湯花が舞っているのが分かります。
お湯はツルツルする肌触りが気持ちの良いもので、湯口で嗅ぐと、ほのかな硫黄臭がします。
印象としては、帯広のモール硫黄泉に近い感じの物で、「ロマーノ福の湯」のお湯をちょっと薄くしたような感じでしょうか。
毎日入っても飽きが来ないような、とても素敵な物です。
ぬるいのでゆっくり長時間浸かっている事が出来ます。
ふと、お湯に浸かった状態で、脱衣所側を見上げてみたところ、なんとも素晴らしい浴室の風情に気がつきました。
これには思わず、背筋がジーンと来る様な感動を覚えました。
素晴らしいのです!作り物では決して真似することが出来ない、素晴らしい浴室の風情!
おそらく、30年前に入った人も、これと同じような光景を見上げながらお湯に浸かっていたのでしょう。
そしていま、私自身も、このレトロな光景の一部になっているのです。
いやぁ・・・ココは本当に素晴らしい!ココに来れた事を素直に喜びたいです!
出来る事であれば、ココで1時間でも2時間でも、もっとゆっくりしていたかったです。
帰り際、強烈に後ろ髪を引かれてしまいました。
こう言う発見があるから湯巡りをやめられないんですよね。
再び人吉を訪れる機会があれば、是が非でも再訪したい、本当に素晴らしい一湯でした。
2007-10/6
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