泉質不明 - 沸かし鉱泉
鳥取県倉吉市新町3-2292
男女別内湯
500円
9:00 – 17:00
鳥取県倉吉市の市街地外れにある、とても年季の入った温泉銭湯です。この日宿泊をする三朝温泉から車で15分も離れていない所にあったので、立ち寄って見ることにしました。
住所をナビに入れて少し探すと、あったあった。事前情報通りに、かなり鄙びています。少し離れた所に専用駐車場があったので、そこに車を停めて、中へ。
内部も実に痺れる造りをしています。建物は木造、内部も50年くらい前から時間が止まっているのではないかと思う程に、レトロです。
脱衣所のロッカーが、木製で、これまた渋いです。
こう言うロッカーって、古民具とかを扱うお店や博物館なんかで見かけますが、実際に現役で使われているのって凄いです。でも、しっかりと手入れがされているのが分かり、ボロボロと言う感じは一切しません。
ちなみに、番台は昔ながらの男女脱衣所の仕切る場所にあります。そう、男の子だったら一度は夢見るあの特等席!
でも、ココのご主人、紅鮭が着替えている間は、ずっと男性用脱衣場をウロウロしてて、見ないように気を配っておられます。なんか実に感じが良いです。
さて、脱衣所の次は待望の浴室。中に入ってビックリ。事前にネットなどで写真を見ていたのですが、改めてそれが現実の物になると、ため息が出てきます。
実にレトロです。こんな風情良いお風呂が、そのまま残っている事に感動です。
床はタイル張り、使い込まれていてセピア色に変色していますが、これもレトロな雰囲気を盛り立てるひとつのアクセントになっています。
目を引くのが舞台湯になっている湯船。途中に段差もあり、腰掛けるには丁度良い高さです。手前には掛け湯でしょうか、水が張られた水槽もあります。
熱いお湯に浸かった後、ザバザバやる為の物かな?脱衣所と同じく、50年間時間が止まっているような光景が目の前に広がっています。
湯船に張られたお湯は、うっすら緑がかって見える、僅かに濁るものです。
鉱泉のようで、加温されており、湯面が湯船より低い所にあるためオーバーフローはありません。
少しトロみを感じるお湯で、僅かながら金気臭を感じます。覚悟していた塩素臭はしませんでしたが、ボイラーによるものと思われる、ペンキ臭のようなアブラ臭のような物が微妙に混ざっているような気がします。
余程意識しない限り、無臭と言われてしまうようなお湯です。
湯口は浴槽内に刺さったパイプで、ココから時折熱いお湯が注がれています。
温度は43度くらいで適温。もっと熱いのを想像していただけに、ちょっと意外。
お湯だけで見ると、正直、たいしたことはありません。ただ、この湯船に浸かって、レトロな雰囲気の風情に呑み込まれている自分を想像すると、至福の気分を味わう事が出来ます。
多分、この浴室は、戦後の歴史を目の当たりにしてきたのでしょうね。
今でこそ寂れてしまい、地元のお年寄り専門みたくなってしまっていますが、30年も前は、いがぐり頭の洟垂れ小僧や、仕事でくたびれたお父さんなんかで、賑わっていたのでしょうね。
この建物だけが覚えている、そんな昔の記憶が、お湯と全体の空気から伝わってくるような気がしました。
いつまでもこのままの姿で頑張って欲しいです。でも、正直、次回鳥取に来た時、まだココが残っているかな?廃業する銭湯のニュースには事欠かない昨今、少し心配です。
立ち寄る事が出来て、本当に良かった一湯です。
2008-10/9
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