塩化物温泉?
静岡県熱海市銀座町14-34
男女別内湯
0557-81-2105
300円
10:00 – 19:00
言わずと知れた、熱海温泉です。
今まであまり興味が無く、近くに来ても素通りばかりしていたのですが、この日は何となく立ち寄ってみました。
福島屋旅館は熱海の繁華街から少しだけ外れた所にある、昔ながらな感じの鄙びた温泉旅館です。旅館ではありますが、地元民を中心に、多くの人が銭湯代わりに利用していました。
この福島屋旅館ですが、外観からもただならぬ雰囲気を感じる事が出来ますが、中に入るともっとビックリします。
何だか、昭和30年代にタイムスリップしたかのような、ノスタルジックで薄暗い雰囲気の、趣がある造りをしています。
浴室は床がギシギシ音を立てる細い廊下を抜けた先にありました。
結構広々とした浴室には、湯船が2つあります。
しかし、お湯が張られているのは、手前の大き目な湯船だけで、奥の湯船は埃をかぶっていました。
もう随分と長い間使われていないような印象です。
昔は、湯船が2つあって、大勢の人が利用する自慢の大浴場だったのかも知れません。
今ではただ古臭く、時間が止まってしまったような浴室ですが、華やいでいたであろう一昔前の姿を想像すると、何だか感慨深い佇まいです。
さて、肝心のお湯ですが、かなり塩っぱい透明のものです。見た限りでは循環さえている様子もなく、気持ちよく掛け流されています。
少し甘い磯の香りに似た臭いがするお湯で、とてもリラックス出来ます。
42度前後と思われる、そんなに熱いお湯ではありませんでしたが、濃い塩分のせいか、暫く入っていると体の芯から暖まります。
浴室内の風情を楽しみながらゆっくり浸かっていたら、体が温まりすぎてしまい、湯上り暫くの間は汗が引かなくなってしまいました。
ダイエットには良さそうですが・・・^^;冬場に利用すると良さそうな泉質ですね。
「熱海なんて、一昔前の歓楽温泉街で、お湯そのものはたいしたことない・・・」
そんな偏見を持っていたのですが、こうしてみると、なかなか良いじゃあないですか。
草津のように、熱狂的に度々通いたいと思う所ではありませんでしたが、静岡方面に行く際など、ちょくちょく寄ってみようかと思うようになりました。
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2005年 9月10日 ー 初訪問時のレポート
2020年 10月24日 ー 再訪・日帰り入浴
15年ぶりに再訪しました。
ちなみにこの福島屋さん、かなり久しぶりなのですが、ずっと気になっていたんですよね。
と言うのは、私の母が独身時代に都内で美容師をしていたのですが、この福島屋さんのすぐ隣にあった支店の店長を1年程任されていた事があるのです。
母にとっては思い出の地なんですよね。それを聞いて、一度連れて来たいと思っていました。
ちなみに母は福島屋さんでお風呂を借りた事は無いそうです。
と言うのも、その美容院にも温泉が引かれていて、毎日そのお湯に浸かっていたのだそうです。何とも羨ましい話ですね。
さらに母が言うには、美容院に引かれていた温泉は硫黄の臭いがして白濁だったと言うではありませんか! え?熱海で白濁硫黄泉???
記憶違いじゃない?って言いたくなりますが、1年も住んで日々入っていたお湯の話なのです。
熱海は大規模開発で温泉掘削が進み泉質が変化したとも聞きますし、50年以上も昔の話ですので、今とは異なる泉質だったのかも知れませんね。
那須湯本や万座みたしな白濁硫黄泉ではなく、微濁+微硫黄臭くらいのお湯だったんじゃないかな?
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この日入ったお湯は私が15年前に入った時と印象は変わらずです。
微潮臭、塩味、しっとりペタペタ、浴後はガッツリ温まり汗がなかなか引かない塩化物泉でした。
福島屋さんは私が訪れた15年前と全く同じ風情のままでした。
ここだけが時間が止まっているのかと錯覚を覚えます。
「昔と変わらないなぁ」なんて感慨にふけっている私の隣で、母は街並みがすっかり変わってしまっていて、もうどこがどこだか分からないなんて言っていました。
福島屋さんに隣接していた美容院の建物も建て替わって新しく・・・? あ、いや、建て替わった事は建て替わっていますが、その建て替わった建物もすでに年季を帯びてきています。
熱海に限らず、街並みはどんどん変わりますからね。
そんな中でも、福島屋さんは母から見ても「あぁ、外から見た感じは昔とあまり変わっていないよ!」なんて言わせる程に、母が過ごした独身時代の頃の面影を今に残す貴重な温泉です。
こんな事を願うのは勝手な言い分かも知れませんが、綺麗で立派なお宿に建て替わる事無く、いつまでもこのままの風情を残していて欲しいと切に願う一湯です。
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