長野県

煤香庵(白骨温泉) ★4.0

単純硫化水素泉

長野県南安曇郡安曇村白骨温泉
男女別・露天
0263-93-2917 
日帰り・700円

2004年9月20日、日帰り入浴。

長野県安曇村の温泉には、これ以前に3箇所入っている。
うち一箇所(唐松荘)はとても良いお湯で、是非とももう一度訪れたい宿の一つなのですが、残りの2箇所が、それぞれ、温泉ハップ入り露天風呂(長野県調査に未申告)と、蚊の死骸大量混入風呂!3戦2敗と、今のところ失敗の確率が高い。
ここ白骨温泉は、昨今の偽装温泉騒ぎの端を発する、温泉界の疑惑の総合商社。
果たしてどうなる事やらと心配でしたが、日帰り入浴の温泉パスポートがあったので、「外れても損無し!」と思い、銭湯に入りに行くような、気楽な感覚で行く事にしました。

実は白骨温泉ですが、これとは別に、今年だけで既に3度来ています。
最初来たのは4月17日で、到着が遅くなり、日帰り入浴出来ず泣く泣く引き返しました。
次に来たのは7月18日で、入浴剤発覚のすぐ直後です。白骨まで車で20~30分の所に宿泊した際、野次馬で来ました。
3度目に来たのは、2度目の次の週末で、岐阜平湯温泉の帰りに寄りました。母親と一緒で、入るかと誘ったのですが、疲れているとの事で、見物だけして帰っています。
今回は4度目にして初の入浴。これだけ騒がれる温泉がどれ程のモノかと、期待に胸が高まります。

今回利用させて頂いたのは、入浴剤問題の発端となった公共野天風呂の隣にある、「煤香庵」です。建物は歴史を感じる合掌造りで、白骨が持つ秘湯のイメージにとてもマッチしていて雰囲気が良い。
入浴の受け付けをすると、ロッカーの鍵を渡された。
ロッカーの鍵で入浴者数を制限しているらしい。一度に入る人数制限をしないと、混み過ぎてしまうからという、施設側の配慮だろう。

浴室は男女別に分かれていて、露天のみ。純粋にお湯に入り、出るだけという、至ってシンプルなつくりをしている。
崖の上にある露天で、目の前の視界が開けていて、向かい側の山がよく見える。あまり広い浴室ではないが、開放感があり、心地が良い。
最初誰もいなくて、随分と寂れてしまったと思ったが、次第に人が増え、最終的には入浴待ちが出来るほど後がつかえていたらしい。
最盛期の様子は分からないが、騒動後も人が多い事に驚く。ただ、これは純粋に白骨温泉の良さで来た人ばかりとも限らない様子で、「入浴剤じゃないだろうね?」「この白さは本当?」「これが話題の白骨かぁ~!?」などと、多少野次馬っぽい人も少なくなかった。

お湯は噂通りの白濁で、ほのかな硫黄臭がする。適温のお湯は、源泉掛け流しらしく、湯船からあふれ出たお湯はドバドバと捨てられている様子だった。
湯口には飲泉用のコップが置いてある。飲んでみると、僅かな酸味と硫黄の苦味があるが、飲みやすいお湯だった。
「入浴剤入りだったら怖いな・・・」などと思いつつ、結構沢山飲んでしまった。
浴槽の縁には、湯で出来た堆積物と思われる、キクラゲみたいな形状をしたものがへばりついている。見た目は気持ち悪いが、温泉成分が濃い事の表れだろう。
一連の騒動でかなり心配していたが、お湯はとても良く、ほっと胸を撫で下ろした。

白骨を発端に、その後、水道水を温泉と偽っていた所など、白骨より悪質な温泉施設も多々発覚した。当然どれも許されるような行為ではない。
ただ、白骨の場合、他と決定的に違う事がある。それは、白骨温泉が秘湯として人気と知名度があり、白骨ファンや白骨の湯に憧れていた人たちが多かった事である。
今回の不祥事で、そういう人たちが持つ、純粋な期待や夢、思い出は、もろくも打ち砕かれた。
今回の騒動を決して忘れることなく、語り継ぎ、誠実で信頼のおける温泉地として復活を遂げてくれる事を切に期待しています。

最後に、タダで入浴させて頂いたお礼として、せめて多少はお金を使って行こうと思い、温泉粥を頂いていった。素朴ながらとても美味しかったです。

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