長野県

一陽館(加賀井温泉) ★4.5

ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
(源泉名:加賀井温泉一陽館三号泉) 41度 / ph6.7
Na+ = 2350 / K+ = 249 / Mg++ = 311 / Fe++ = 25.1
Ca++ = 1250 / Cl- = 5630 / Br – = 5.6 / I- = 3.9
So4– = 313 / HCO3– = 2050
H2SiO3 = 136.5 / HBO2 = 811 / CO2 = 836.5
成分総量 = 13980.6mg

長野県長野市松代町東条55
026-278-2016
男女別内湯 ・ 混浴露天
300円
8:00 – 20:00

郡司さんの著書、「一湯入魂温泉」でも紹介されている有名どころ、加賀井温泉です。
この加賀井温泉、松代温泉のすぐ隣にあり、何で独自の温泉名を名乗っているのかちょっと不明です。

泉質の良さなどから、色々なメディアに登場する施設だけあり、駐車場は結構埋まっています。
とりあえず空いている所を見つけて車を停め、入ろうと施設に向かう途中の事、道の脇を流れる用水路を見てビックリしました。
なんと、温泉の廃湯が垂れ流しで、成分が付着して茶褐色になっているのです。
風呂に入る前からお湯の良さをうかがい知る事が出来、何だかお得な気分。
思わず写真を沢山撮ってしまいました。

さて、いよいよ入浴と思い、受付に行くと、中から元気の良いオッチャンが出てきました。どうやらここのご主人らしいです。
開口一番、「何だ、写真ばっか撮ってるから風呂には入らねぇのかと思った」と仰る。
「アンタ、ここは初めてかい?」「だったらこっち付いてきな」と、案内されるままに付いていくと、浴場の裏手にある源泉を貯めた水槽に連れて行かれました。

水槽の蓋を開けると、中は物凄い勢いでお湯が噴出しており、炭酸成分でアワアワになっています。
「手ぇ入れてみな」と言われたので入れてみると、適温で、炭酸がシュワシュワしておりなかなか気持ち良いです。
「鼻先を湯に近付けてみろ」とも言われたので、臭いを嗅いでみたところ、炭酸成分で鼻先がツンと痛くなりました。
ビックリして仰け反った私を見て、オッチャン、「どうだい、良いお湯だろう?」と、とってもご満悦。
私が水槽の写真を撮ろうとした所、「写真は良いから、俺の話を聞きなさい!」と一喝され、蓋もピシャリと閉じられてしまいました。
「写真なんざ、インターネット探せば幾らでもあるから、撮らんでもえぇ!」だそうで。

まぁ、その後、温泉についての一通りを説明し終わったあと、オッチャン気が済んだらしく、もう一度水槽の蓋を開けて写真を撮らせてくれましたケドね。^^;
何だか江戸っ子みたいな威勢の良さがある方です。

肝心のお風呂ですが、男女別の内湯と混浴の露天風呂があります。
まずは内湯ですが、かなり鄙びた浴室でビックリです。脱衣所と浴室は一体になっており、脱衣スペースと縦長な湯船が並んだ形になっています。
お湯は緑色を帯びた土色で、透明度50cm程に濁っていました。
少し温めで、金気臭と土類臭、炭酸臭のするなかなか素晴らしいお湯です。
浴槽の縁は析出物が固まり、鍾乳洞のようになっていました。
入っているとしっかり温まるのですが、出るとサッと汗が引く心地よさがあります。
炭酸成分は揮発しており、泡付きが無いのが少し残念でしたが、かなり気に入りました。

次に混浴露天。こちらは内湯建物の脇にあるのですが、裸のまま内湯を出て、ほんのちょっと歩かなければなりません。女性にはかなりハードル高いです。
実際、露天を利用しているのは男性ばかりで、女性はタオル軍艦巻きのオバチャンが一人来ただけでした。

こちらのお湯は、内湯と同じものが使われており、同じく黄土色に濁ったものです。
ただ、内湯に比べて浴槽が狭く、掛け流し量も盛大な為、露天の方が鮮度良く感じました。
是非とも湯口から溢れ出るお湯の感触を確認してみたいと思ったのですが、常連方が独占してしまっており、近付く事もままなりません。
お湯は良かったものの、居心地はあまり良くありませんでしたので、すぐに内湯へ引き下がってしまいました。
うーん・・・

湯上り、ここの主人に挨拶して帰ろうとしたところ、再びつかまってしまう。
「アンタ、一日のうちに沢山温泉入っちゃ駄目だよ」「そんなのは温泉好きとは違う。スタンプラリーと一緒だ!」と、またもや説教食らってしまう。
まぁね~・・・私も出来ることなら一日一箇所とかゆったり入りたいサ。
でもね、毎日長野まで来れる訳じゃないし、貴重なお金と時間をかけているからには、アチコチ行ってみたくもなるさ。
駆け足で名所を周る観光客に「1週間滞在しないとこの土地の良さはワカラネぇ!」って言っているようなモンだよ
第一、アチコチ入るからこそ、この加賀井温泉にもめぐり合えた訳で・・・
とりあえず入ってみない事には、そのお湯が自分の好みかそうでないかも分からないぢゃん。
ま、オッチャンの考えも分かるけどさ・・・

ちょっと説教臭いのはどうかと思いましたが、お湯、雰囲気、オッチャンと、どれをとっても個性的な施設です。

帰り際、オッチャンに「今は杏が見頃だから、次の温泉行かずに見ておいで」と言われ、杏畑の場所を教えて貰いました。
言われるままに行って見ると、なかなか綺麗。昔、自宅の玄関先にあった、大きな杏の木を思い出しました。
そういえばウチの杏もこの時期になると綺麗に咲き誇っていたなぁ・・・と、思い出が少し蘇る。
温泉しか見えていなかった自分の中に、少しだけゆとりが生まれたような気がしました。

オッチャン、良い所教えてくれてサンクス!

杏を見終わった後、私は車に乗り込み、迷うことなく、次の温泉地に向かって車を走らせました。
やっぱ、花も良いけど、今の自分に必要なのは団子(温泉)だね。

2006-4/23

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