含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
栃木県那須郡塩原町湯本塩原102
混浴内湯・露天風呂、女性専用内湯・露天風呂
0287-32-2438
入浴 : 600円
一般的に「塩原温泉郷」と言うと、国道400号線の箒川沿いにある、一時期関東地方のCMによく出てきた「ホテルニュー塩原」辺りを想像すると思います。
しかし、箒川沿いの温泉街は、比較的最近になってから開発が進んで栄えはじめた一帯で、塩原温泉発祥の地は、箒川からはるか離れた所、とんでもない山奥にあったりします。
塩原温泉(現在の元湯温泉)の開湯は平安時代と古く、お湯の良さで湯治客を中心に温泉街は栄えはじめ、江戸の初期には「湯本千軒」(実際には85軒)と称される程に賑わいました。
しかし、1659年の大地震による山津波で、多くの旅館は土砂に呑まれ、一帯は壊滅的な被害を受けました。
その後、塩原元湯は当時の活気を取りもす事も無く、多くの人が塩原新湯や現在の塩原温泉街がある箒川周辺に移り住み、今は僅か3軒の宿を残すのみとなりました。
現在の元湯は絵に書いたような秘湯です。昔の活気を想像すると、今ある静けさぶりはあまりにも寂しいような気もします。
しかし、静かな山間にこんこんと沸きつづける白濁の硫黄泉は、まさしく秘湯にこそ相応しい名湯そのもの。
お湯の良さを知る人だけが訪れるひっそりとした場所になった事は、結果的に考えれば良かったのかも知れないと、勝手に納得してしまう自分がいます。
さて、そんな歴史と風情溢れる塩原元湯温泉にある、一番高台にある旅館。大出館に日帰り入浴をして参りました。
「奥塩原新湯温泉」のホームページで手に入れる事が出来る入浴割引券を持って行く。
外観は至って普通の旅館です。切り立った崖の上にある3階建てで、フロントが3階にある為、表向きは随分と小さく感じます。
入り口には「日本秘湯を守る会」の提灯がぶら下がっています。
入り口に入ると、左手にフロントがあります。誰も居ないので、何度か声を掛けると、暫くしてから若旦那らしき人が中から出てきました。
手元の時計で、現在14時50分。割引券には、日帰り入浴は15時までとあります。
「時間ギリギリで恐縮ですが・・・」と言いながら割引券を提示すると、反応鈍く受け付けて呉れました。少し「愛想の無い人だなぁ・・・」と思う。
しかし、会計の途中で若旦那、割引券を見ながら、「あれ、これ時間間違っていますね。」「うちは本当は14時までなんですよ。」と、ボソリと一言。割引券に記載されていた15時までと言うのは、間違いだったみたいです。
もしかしたら、「時間外で来ている癖に、割引券まで使っていくつもりかよ!?」と、気分を害されていたのかも知れません。
誤解が解けて以降は、とても丁寧に対応をして頂けました。
さて、お風呂ですが、3階の受け付けからエレベータで1階に降りた所にあります。
左手前から順番に、家族風呂「藤の湯」、混浴風呂「御所の湯」があり、「五色の湯」と書かれた暖簾の先に、女性専用風呂「高尾の湯」と、混浴風呂「墨の湯」があります。
アレ?男湯は?と、しばし迷うが、どうやら男湯は無いらしいです。
日帰りで家族風呂を貸し切る事は出来ないので、まずは「御所の湯」に入る。
御所の湯には、男女共用の脱衣所と、内湯、露天があります。
脱衣所は至って普通の造りをしており、簡単な洗面台と、脱いだ服を入れる籠が棚に乗っているだけの、とてもシンプルな物です。
着替える為の目隠しも無く、女性にとっては使い辛いと思われます。
内湯には、カラン数人分と、湯船が大小2個あります。湯船には名前がついており、手前の小さな湯船が「平家かくれの湯」で、少しぬるめのお湯。奥の大きい湯船は若干熱めで、「御所の湯」です。
湯口は両方についていましたが、お湯の印象はどちらも同じです。
若干灰色に濁る白濁のお湯で、若干焦げたような、強烈な硫黄の臭いがします。
湯口に飲泉用のコップが置いてあったので、飲んでみると、鉄と硫黄と、炭酸が混ざったような苦さで、何とも言えないマズイ味がしました。
温めなせいか、手前の「平家かくれの湯」の方が若干白濁の度合いが強く感じました。
尤も、仮に別源泉だったとしても、オーバーフローがお互いの浴槽に流れ込んでおり、違いはあまり無くなってしまっているものと思われます。
内湯の先には、露天風呂があります。露天風呂の湯船は1個だけで、名前は「岩の湯」。
内湯とは若干色の違う、真っ白なお湯が張られています。
こちらの湯口にも飲泉用のカップが置かれていました。飲むと、味は内湯のものと同じ、とってもマズイお湯。
臭いは気持ちの良い硫黄臭ですが、やはり焦げたような、ただの硫黄のお湯とは異なる、癖のある臭いがしました。
開放感タップリとまではいきませんが、湯船を遮る壁越しに「元泉館」と「ゑびすや」を見下ろす事が出来ます。
お湯も温めで、いつまでも浸かっていられそうな、とても気持ちの良いお風呂でした。
最後に入ったのは、「御所の湯」を出て、暖簾をくぐった先にある、「墨の湯」です。
すぐ近くにあるのですが、廊下を歩かなければならない為、一度服を着なければなりません。
こちらも「御所の湯」と同じく、混浴です。大出館名物の「墨湯」はここでしか入れない為、とても混雑しておりました。
こちらも脱衣所は男女兼用で、目隠し等は一切無い、とても狭いものです。
女性には非常に使い辛いものですので、着替えは女湯でして、バスタオル巻きで廊下を移動した方が無難かも知れません。
浴室は、人気のお湯な割には非常にこじんまりとしています。カランが2人分と、湯船が2個。
入って左手が「鹿の湯」で、薄灰色に濁った白濁のお湯。右手にある少し大きめな湯船が、大出館名物の「墨の湯」で、噂通りの真っ黒なお湯が張られていました。
「鹿の湯」は、「御所の湯」にあった内湯と同じようなイメージです。若干灰色で、強烈な硫黄の臭いがします。
こちらの湯口にも飲泉カップがあり、飲んだ印象も「御所の湯」と同じです。若干熱めなお湯で、長湯には向かなそうです。
大出館名物「墨の湯」は、適温の40~41度程でしょうか。透明度10センチ程の、墨汁を薄めたような真っ黒なお湯です。
東京や千葉辺りにある、茶褐色に濁る黒湯と違い、本当に墨を溶かしたような真っ黒なお湯です。
入ると黒い湯花が体中にビッシリ付きます。
お湯自体はぬるいものの、かなり暖まるお湯で、10分も入っていたら、体中が熱くなり、汗だくになってしまいました。
こちらの湯口にも飲泉カップが置かれています。
見た目真っ黒なお湯だけに、飲む事を一瞬躊躇いましたが、折角なので口に含んでみる。
見た目の悪さから、酷い味を想像しましたが、以外と飲みやすい、甘味と苦味の混ざった硫黄味で、若干の鉄臭と炭酸味を感じるものでした。
とにかく、お湯のウリが一押しの大出館。
人気がある所だけに、私が訪れた日は平日の、しかも日帰り入浴時間外にも関わらず、結構混み合っていました。休日の日帰り入浴時間帯だと、果たしてどうなる事やら・・・
墨湯は混浴しか無く、女性にとっては非常に入りにくいお湯ですが、是非とも一度は入ってみて欲しい、とても印象的なお湯でした。
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2005年 3月31日 - 初訪問時のレポート
2006年12月24日 - 再訪
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再訪しました。
今回は五色の湯のみ入浴。
今回は調子が悪かったのでしょうか、とても個性的ですが、以前よりも黒くなく、灰色って感じです。
それに、前回よりも硫黄臭が薄く感じたのが気になります。
アレ?こんなもんだったっけなぁ~・・・?
それにしても、この混浴、女性にはハードルが高すぎますね。
宿泊すれば女性専用時間がありますので、紅鮭の為にも一度泊まりたいと思いました。
2007年2月10日 - 再々訪
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前回の訪湯からあまり間をおかずに再訪。
今回は墨湯だけでなく、前回入らなかった男湯(正確には混浴だけど・・・)にも入りました。
混浴の墨湯ですが、タイミング良く誰も利用していなかった為、紅鮭も入る事が出来た次第。
ヨカッタヨカッタ・・・
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