群馬県

共同浴場笹湯 (川原湯温泉) ★4.0

廃業、ダムに沈んでしまいました

含硫黄-カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉
(新湯) 78.9度 / ph7.3 / H13.8.3
Na+ = 297 / K+ = 6.17 / Mg++ = 0.46 / Ca++ = 314
Mn++ = 0.04 / Fe++ = 0.22 / Cl- = 522 / F- = 0.8
SO4– = 577 / HCO3- = 50 / HS- = 2.6 / H2SiO3 = 89.1
HBO2 = 31.9 / H2S = 1.5 / 成分総計 = 1890mg

群馬県吾妻郡長野原町川原湯
男女別内湯
300円
10:00 – 18:00

川原湯温泉で一般開放している共同浴場2箇所のうちのひとつです。
細い路地を入ったところにあり、普通に歩いていたのでは見つけることが出来ません。
川原湯温泉にはしょっちゅう来ており、ずっと気にはなる存在ではあったのですが、2年近くもの間、ずっと素通りしていました。

いかにも共同浴場という雰囲気で、外観も内部もとても鄙びた雰囲気です。
入浴料は300円。
管理人不在のため、脱衣所にある料金箱にお金を入れます。
脱衣所と浴室が一体になっている造りで、タイル張りの湯船がポツンとありました。
お湯は無色透明で、僅かに白い湯花が舞っています。
湯口からは素手では触れない程の熱湯が注がれており、そのままだと熱すぎる為、常時加水されていました。
ほんのり硫黄臭とコールタール系のアブラ臭がするとても気持ちが良いお湯で、とても柔らかいお湯です。
加水されているとは言え、結構熱めのお湯で、入り応えは十分。
冷え切っていた体はすぐに温まり、汗がどっと噴出しました。
うーん。実に気持ちが良い!
加水無しだともっと気持ち良いんだろうなぁと思いますが、そこまで望んでしまっては贅沢かな。
時間帯にもよるのでしょうが、訪れる人の数もまばらで、ゆっくりと入浴する事ができました。

このような素晴らしい共同浴場を一般開放してくださっている事に大感謝!
この川原湯、将来はダムの底に沈んでしまうのですが、それが残念で堪りません。
是非ともこの素敵な湯小屋を将来まで残して欲しいものです。
今からでもダムの建設が中止にならないかと、切に願うばかりです。
何故もっと早く来なかったのかと後悔しました。
入れるうちに是非とも入って頂きたい一湯、激しくオススメです!

2006年 1月22日 - 初訪問時のレポート

2009年12月31日 - 再訪

八ッ場ダムの報道で、すっかり有名になってしまった、川原湯温泉。
観光客でも入浴出来る共同浴場は、王湯と笹湯、それに聖天様露天風呂の3箇所あります。
3箇所どれも風情がありますが、その中でも特に鄙びていて、昔ながらの共同浴場が、ここ、笹湯です。
一時期閉鎖したと言う噂も聞きましたが、しっかりと健在でした。
今回は随分と久しぶりの再訪です。

ひっそりと佇む姿は、私が以前訪れた時と何も変わっていません。
世間が川原湯で大騒ぎしていても、ここだけは時間が止まったままです。まるで運命に全てを委ねているように、世間の喧騒から遠く離れています。
浴室の雰囲気も、30年前から姿を変えていないのではないでしょうか。
ダム推進、反対に関わらず、故郷がダムに沈む事を悲しまない人はいないはずです。
時の流れが止まった共同浴場は、故郷を失う住人達の悲しみを受け止め、無言の抵抗をしているようにも見えます。
それもひとつの風情。でも、私には、余りにも痛々しく見えます。

久しぶりの笹湯のお湯は、紛れも無く絶品です。ほんのりと漂うコールタール系の硫黄臭。間違いなく名湯。
これが最後になるとは思っていませんが、いつの日か入れなくなる日が来るかも知れないと思うと、名残惜しく、出るに出れなくなってしまいました。
じっくりとお湯を堪能していたら、気づいたら1時間以上。共同浴場でこれだけの時間を過ごしたのは、随分と久しぶりでした。

コメント