群馬県草津温泉

つつじ亭(草津温泉) ★4.0

酸性-塩化物・硝酸塩温泉 (万代鉱源泉)
宿泊者用の貸切風呂は湯畑源泉を使用

群馬県吾妻郡草津町639-1
男女別内湯 ・ 露天 ・ サウナ、他
0279-88-9321
日帰り : 700円 (要 和風村湯巡り手形)
宿泊 : 30000円 ~ 60000円 前後

5000坪の敷地に、本館6部屋と離れ4部屋。全ての部屋に露天風呂がつく、草津でも屈指の贅沢な旅館。それがここ、「つつじ亭」です。
二人で一泊した場合の宿泊料金が3万5千円前後からという、なかなか一般人には手の届かない高級料亭旅館。
当然日帰り入浴などはやっていません・・・

と、思いきや、和風村の湯巡り手形持参者のみ、700円にて日帰り入浴をさせて頂けます。
昨年、日新館に宿泊した際に購入した和風村湯巡り手形を握り締め、一泊3万5000円の湯を確認すべく、彼女と共につつじ亭へ向かいました。

つつじ亭は喧騒渦巻く湯畑から歩くこと徒歩10分以上。普段目にする賑やかな草津からは想像出来ない程静かな所にあります。
外観は雪のせいか、イメージしていた超高級和風旅館という印象は無く、見た目普通で「ちょっと広いかな?」といった感じのお宿です。
ただ、駐車場に3台のベンツが並んでいたりして、「中にはきっと凄い方々が宿泊しているのだろう。」と思わせる雰囲気は漂っています。

和風村湯巡り手形とは?

江戸時代の温泉街を再現させようと、14軒の格式ある温泉旅館が集まって結成されたのが「和風村」。
その和風村の旅館に宿泊した場合に限り、「湯巡り手形」を1000円で購入できる。購入後は、手形持参で和風村加盟宿全ての内湯に700円で入浴出来る。
一度入浴するとスタンプを押され、再利用する事は出来ない。
5軒以上周ると和風村名誉市民の称号を与えられ、記念品を受け取る事が出来る。

さて、気合を入れていざ!と思い、敷地に入ろうとすると、中からつつじ亭従業員の方か、オジサンが出てきて、「湯巡りですか?」「今日は12時半から2時までです。」と言われる。
携帯で時刻を確認すると、12時半まであと30分も時間があります。
「中で待つことは出来ますか?」と聞くと、「出来ません」との、そっけない返事。
ヤッパリ歓迎されていないのかな?という不安を感じつつ、30分もの間どうやって時間を潰そうかと、氷点下の寒い中途方に呉れてしまう。
幸い、近くに「睦の湯」共同浴場があったので、そこに入浴しながら時間を潰しました。

30分後、「睦の湯」で時間つぶしを終え、「今度こそは!」と気合を入れ、つつじ亭の敷地内に乗り込む。
「追い出されたらどうしよう?」「あー、自分ってば、なんて不釣合いな服装をしているんだ!」なんて事を考えながら歩く玄関までの距離は、矢鱈と長く感じました。
こんなに緊張する日帰り入浴も初めてです。

ドキドキしながら玄関に入ると、いきなり女将が正座してお出迎えしてくれる。
他にもフロントには正装した男性従業員が2名程いて、起立して深々とお辞儀している。
いきなりの格の違いに戸惑い、緊張は一気ににピークに達する。
「あ、あの、内湯巡りさせて頂けますでしょうか・・・?」と、シドロモドロに聞くと、快くOKとの事。
ふぅ。我ながらこういう環境に不慣れでみっともないが、どうやら追い出されずには済みました。
湯巡り手形を渡すと、女将さんが大浴場まで案内してくれる。お金払っていないけど、帰り際かな?
お風呂までの道すがら、女将さんが「今日は一段と冷え込みますねー」と仰る。
自分、何か答えたと思うんだけど、何を言ったか忘れてしまいました。緊張しすぎ!(笑)

大浴場まで案内され、女将さんが居なくなってしまえばこっちのものです。
いつものペースに戻り、「どれ、お金持ちの風呂場はどんな具合だろう?」と、内部の様子を隅々まで確認をする貧乏性な私。
まずは脱衣所ですが、拍子抜けな程にコンパクト。でも、宿泊人数を考えれば十分な広さです。
棚には何故か籠が20個近く並んでいます。客室数が10部屋で、和風村湯巡り以外の日帰り客お断りなことを考えれば、明らかに数が多すぎます。
とりあえず、「きっと、一人で3つ籠を使えという、贅沢なおもてなしなのだろう。」と、勝手に解釈。
タオルも20枚位山積みにされています。
これもきっと、「上半身と下半身を拭くタオルが一緒だなんて汚らわしい!」という、お金持ちの方々に配慮した心配りだと思われます。(んなわけねー!)

服を脱いでいて気が付いたのですが、足元はホットカーペットが敷かれており、寒い草津には非常に嬉しい心配りを感じます。
壁には、どこにでもあるような「お風呂の正しい入り方」の張り紙があり、「飲酒後の入浴は控える」「掛け湯をして入る」「タオルを湯船に入れない」など、基本的なマナーの注意書きがありました。
どうやら、上流社会でも掛け湯は基本らしいです。
普段見慣れたポスターにちょっと安堵感を覚える。

脱衣所の隣にはサウナ室がありましたが、内湯とは繋がっていません。
サウナで汗を掻いた後にシャワーを浴びると気持ち良いのですが、その都度脱衣所を通過しなければならないのはちょっと使いにくいのではないかな?

お風呂ですが、内湯と露天風呂がそれぞれ1つある標準的なもの。
内湯は広々としていて使いやすく、洗い場には一通りの物が揃っています。湯船も大きく、ゆったり入れて気持ちが良い。
お湯は万代鉱で、強烈な酸味はあるものの、あまり硫黄分とかを感じる事が出来ません。
しかし、ここのお風呂は、お湯が万代鉱だとか白旗だとか、そんな事は全て帳消ししてしまえるような風情があり、ゆっくり寛ぐ事が出来ました。

露天は、内湯を出て渡り廊下を歩いた先にあります。
ここは、洗い場は無く湯船のみがあり、純粋に景色を楽しみながら入る所のようです。
総檜造りの湯屋になっており、とても趣があって入っているだけで心が癒されます。

お湯は内湯と同じく、万代鉱。
湯口からのお湯は比較的熱めで、循環等はせずに掛け流されています。

普通、草津のお風呂と言えば、共同浴場であったり、宿の内湯であったりと、あまり開放感の無いこじんまりとした所で入る事が殆どだと思います。
それはそれで悪く無いのですが、つつじ亭の場合は目の前に広がる自然を見ながら雪見風呂を堪能する事が出来、他ではなかなか無い贅沢なひと時を味わう事が出来ました。

◆補足◆
「つつじ亭」には前述した通り、全室個室露天風呂が備え付けられ、他にも宿泊者専用の貸切風呂もあります。
「なんだ。高い割にお風呂はシンプルなんだね?」と思ったら大間違いですよ!
残念ながら、日帰りで利用出来るのはこの大浴場のみですが・・・
(参考までに、本館の個室風呂は非温泉です。離れの個室風呂と貸切露天には湯畑源泉が掛け流しにされているそうです。)

湯上りにフロントへ戻ると、女将さんはいませんでしたが、代わりに2人の男性従業員が応対してくれました。
まず、預かって貰っていた和風村湯巡り手形と引き換えに、2名分の料金1400円を支払う。
清算している間、もう一人の方が「お湯加減は如何でしたか?」と聞いてくれる。
精算が終わり玄関を見ると、既に私と彼女の分の靴が用意されていました。
靴の脇には靴べらが取りやすい位置に置かれていて、改めて気配りの細やかさに感銘を覚える。
普段ここまで丁寧に接客された事の無い私は、最後までオッカナビックリで、玄関を出るときは緊張のあまり転びそうになりながら、みっともない姿で退散した訳ですが、久しぶりに清々しい気持ちで宿を後にする事が出来ました。
旅館の日帰り入浴で、ここまで丁寧で完璧な接客を受けたのは初めてです。

一泊3万5千円以上という金額を考えた場合、おいそれと宿泊出来るような旅館ではありません。
しかし、その金額を払ってでも泊まりたいと思える上質のサービスと優雅な風情がこのつつじ亭にはあります。
一度是非とも泊まってみたいと思いつつ、「一体どれだけ切り詰めなければならないんだ?」「今の自分じゃ、見分不相応で返って赤っ恥さらすだけじゃないのか?」と、考え直してしまう。
「そうだ、両親でも招待するかな?」なんて事も思いついてみたのだが、果たしてそれはいつになる事やら・・・

いずれにせよ、どういう形であれ、是非とももう一度ご縁に預かりたいと思う、とても素晴らしい旅館でした。

2005-3/13

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