福島県西山温泉

旅館新湯 (西山温泉) ★4.5

塩化物泉
(源泉名:新湯) 71.2度 / ph6.7 / 自噴 / H5.10.30
Na+ = 1436 / K+ = 199.7 / Mg++ = 3.6 / Ca++ = 36.4
Al+++ = 0.4 / Mn++ = 0.4 / L+ = 2.0 / Cl- = 1950
SO4– = 309.4 / HCO3- = 475 / HS- = 1.7
Br- = 3.6 / H2SiO3 = 125.1 / HBO2 = 97.2
CO2 = 106.2 / H2S = 3.8 / 成分総計 = 4754mg

福島県河沼郡柳津町大字砂子原字老沢931
0241-43-2024
男女別内湯
500円
営業時間 要確認 (日帰りを断る事が非常に多い)

西山温泉のお宿、旅館新湯に宿泊して参りました。
このお宿、独自源泉を所有しており、是非とも一度入ってみたいと思っていたのです。
一応日帰り入浴も出来る事になっていますが、何かと理由をつけられて断られてしまい、私も一度玉砕しました。私の友人で4度も玉砕した方を知っています。
というわけで、今回は満を持しての宿泊です。

宿泊料金は1泊2食つきで9000円でした。
当初は「到着が遅くなるかも知れないから、素泊まりで・・・」とお願いしてみたところ、「素泊まりだと7000円です。お食事、11時とか極端に遅くなければ何時でもおつくりしますよ。」との事で、つまり、素泊まりはさせたくないのかなと解釈し、結局2食付きで予約を取ったというわけです。

さて、宿泊当日。予定通り、9時ちょっと前と言う遅い時間にチェックインしました。
女将さん、とても気さくな方で、嫌な顔をひとつもせずに笑顔でお出迎えして下さいます。
お部屋に通されてビックリ。外観はそれほど立派では無いものの、中は結構綺麗です。
もっと鄙びたのを想像していたのですが、かなり意外でした。
「先にお風呂入りますか?」と言われたものの、流石に気が引けたので、早速お食事を頂くことにしました。

で、お料理。広間で頂くのですが、暖かいもの以外はすべて用意されておりました。
素泊まりと2食つきの差額2000円、きっと家庭料理の延長だろうと思いきや・・・
出てくる出てくる、地の物のオンパレード。
馬刺し、喉が詰まりそうな程に力強い粘り気の自然薯、山菜、名前忘れたけど何かの煮魚、揚げ物、などなど。そして極めつけはこれでもかと言う量のキノコが入ったお鍋!
聞けば、ご主人が山菜採りの名人だそうで、この時期はキノコを大量に採ってくるのだそうです。(下湯のおばあちゃんも「西山一!」と認めていたので、本当に名人なのだろう。)
私にとってはどれを食べてもひたすら美味しく、腹いっぱいになるまでご馳走になりました。

さて、食後は楽しみのお風呂。
男湯と女湯があり、男湯は他の旅館にも配湯されている荒湯源泉、女湯がこのお宿が独自で持っている新湯源泉です。
私のお目当ては勿論、独自源泉。でも、当然ですが、男は男湯へ、女は女湯に入るべきです。
そこで、女将さんに交渉しようと思っていたところ、女将さんの方から「今日は他にお客さんいないから、どちらでも好きな方を好きな時に入っていいわよ~!」とお許しをいただきました。

でもまぁ、楽しみは後にって事で、何はともあれ最初は男湯へ。
内湯のみで、比較的最近造られたのか、綺麗で使い勝手が良い造りをしています。
洗い場が数人分と、結構広めの湯船がひとつありました。
お湯は無色透明で、結構熱めに調整されています。

ほんの僅かに白い湯花が舞うお湯で、微細ながら硫黄臭と、湯口付近で僅かな金気臭がします。
湯口からは素手で触ると火傷しそうな熱いお湯が注がれていました。
結構な湯量ですが、そのすべてを注ぐと熱くなりすぎてしまう為か、お湯の落下途中にビニール製のパイプが置かれ、一部を洗い場の方に逃がしています。
湯口のお湯を口に含むと、ほんのりやさしい塩味と硫黄味がしました。
とても飲みやすい印象で、美味しかったです。

続いて、独自源泉が使用されている女湯。
階段を降りた、ずいぶんと低い所にあります。
アプローチからして良いお湯であることを期待させられ、何だかワクワクしてきます。
浴室を覗いてみると・・・何とビックリ、男湯とはうってかわって、随分と渋い造りをしているではないですか!
いかにも西山って感じがする石造りの浴室で、中央に湯船があり、熱湯と適温湯に仕切られています。
湯口は両方にあるのですが、片方の湯口は石が置かれて塞がれており、熱湯の方のみに源泉が注がれています。適温湯は熱湯からのオーバーフローでした。

まずは適温湯。適温とは言っても少し熱めに感じるくらいで、しっかり入った気になれる気持ちが良いものです。
先に入った荒湯源泉と大きく違う事はありませんが、こちらの方が硫黄臭と金気臭が僅かに強く、濃い印象を受けます。
じっと浸かっていると、成分が体の中に沁み込んでいくような心地よさがありました。

続いて熱湯の方ですが・・・かなり熱い。47-48度程度はあると思われ、浸かるのを躊躇われる温度です。
ただ、せっかくそこに鮮度が良いお湯があると思うと、思い切って入ってみました。
いやぁ、熱い。ひたすら熱い。体中が無数の針で刺されるような、ビリビリする刺激に包まれます。
鮮度?多分良いんだろう。ここまで熱いと、ぶっちゃけお湯の事なんか分かりません。そもそも、適温湯の方も、他に宿泊客がいない事もあり、十分鮮度が良いので、温度以外の違いは無いような気もしてきます。
ただ、体が馴染んでさえすれば、この熱さが気持ちが良くなって来るんですね。
なんだかんだで、夜と朝、その都度しっかり熱い方にも浸かってしまいました。

期待していた独自源泉、もっと硫黄臭が強い個性的なものを想像していましたが、意外と大人しめなのが少しだけ拍子抜け。
ただ、風情良い浴室に、新鮮で気持ちが良いお湯は、入る事が出来て大満足でした。

翌朝、お風呂を頂いてから早速朝ご飯。昨日頂いた広間とは別の食堂で食べました。
まぁ、朝ご飯ですので、結構質素です。でも、朝からしっかりキノコのお味噌汁が出てきて、少し嬉しくなってしまいます。
この時は女将さんがすぐ近くにいらっしゃったので、色々とお話をができてとても楽しかったです。

ちなみに、この時、女将さんに「温泉巡りをしている」「隣の老沢温泉にも入りたい」と話をしたところ、なんと女将さん、チェックアウトの時に「電話して入れるかどうか聞いてみるよ」と言って、老沢に確認を取ってくれたのです。
どうやら入れる状態だったらしく、電話で「ウチにお泊りのお客さんだから、宜しくね」と、お願いまでしてくれました。
お蔭様で老沢にも気持ち良く入る事ができ、大感謝です。
老沢にしてみるは他所の客。それを宜しく言われても普通だったら迷惑な話だと思うのですが、新湯と老沢、とても仲が良いみたいですね。
小さなことですが、こう言う人間同士の暖かさを感じる事が出来ると、何だか心が癒されたような気分になりました。

日帰りではなく、泊まって大正解でした。
春先や初秋などは、山菜料理が更に美味しいらしく、話を聞いていると是非とも再訪したくなってしまいました。
次は来年の春先か、秋口か、今から楽しみでなりません。

2006-11/4

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