青森県

秋元温泉 (湯ノ沢温泉) ★5.0

最終入湯日 : 2006-5/3

含硫黄-ナトリウム-塩化物泉

青森県南津軽郡碇ヶ関村湯ノ沢

混浴大浴場 ・ 男女別小浴場
0172-45-2137
入浴 : 300円

2005年のゴールデンウィークに日帰り入浴して参りました。

まず、この日に宿泊する宿、「古遠部温泉」にチェックイン。
5時からの夕食を済ませ、一目散に宿を出発する。
「あれ?晩御飯食べた後に宿を出発ってどういう事?」
と、思われるかも知れませんが、これにはちゃんと理由があります。
つまり、滅多に来れない青森、少しでも多くのお湯に入りたいという事で、宿泊滞在中はいつでも入れる古遠部温泉のお湯はそっちのけで、他所の温泉に入りに行ったという事です。

古遠部温泉の付近には数多くの名泉があります。
その中の一つ、車でおよそ15分程の場所にある、「湯ノ沢温泉郷」に向かいました。
お湯が良いという事もさることながら、湯ノ沢温泉には宿が3軒あり、それぞれ別の源泉を持ち、夜遅くまで日帰り入浴を受け付けています。
短時間で色んなお湯に入るには、まさに好都合の温泉地です。

ここ、「秋元温泉」は、湯ノ沢温泉にある旅館3軒のうち、一番奥に位置しています。
山の中にある、いかにも秘湯といった場所にある旅館ですが、駐車場は意外と広く、多くの車が停まっていました。

まず、旅館の中に入ると、ビーフシチューのような、トマトソースのような臭いが鼻につく。
「あぁ、ちょうど晩御飯の時間だし、何かの料理の臭いかな?」と思い、気にせず受付を済ませ、浴場に向かう。
右手には混浴大浴場(脱衣所男女別)、左手に男女別小浴場があります。
私はとりあえず大浴場に、彼女は小浴場に入る。

脱衣所に入ると、トマトソースのような臭いはますます強くなりました。トマトを癖の強い動物性油で炒めたような感じの、今までにあまり嗅いだ事の無い臭いです。
どうやら、この臭いの正体は温泉だったみたいです。
他所のページで硫黄臭と聞いていましたが、これは私の知っている硫黄臭とは明らかに違います。
とにかく不思議な臭いで、「一体どんなお湯なんだろうか!?」と、期待に胸を膨らませて浴室に入る。

大浴場には大きな楕円形の湯船が一つ。
不思議な臭いの正体である、薄緑色をした白濁のお湯がザブザブ掛け流されています。

湯船の中には板で間仕切りしてあり、それぞれに湯口が付いています。
しかし、間仕切り板が低く、お湯の表面より低い所にある為、2箇所のお湯は混ざり合ってしまい、どちらに入っても同じ温度です。
混浴だから、「男性はあっち、女性はこっち!」と、住み分ける為の間仕切りなのかな?
なお、私が利用した時は、利用者が私の他に誰もいなく、貸切状態でした。

お湯に浸かるとまず感じるのが、体にドスンと伝わってくるかのような重圧。
汗が一気に搾り取られるような感じがする、とても強烈なお湯です。
「きっと熱いからそう感じるのかな?」と思い、手持ちの温度計で測ってみたところ、意外な事に、お湯の温度は43度で適温でした。
きっと、成分がとても濃いからなのかも知れません。普通だったらゆっくり入っていても大丈夫な温度ですが、矢鱈と熱く感じました。
最初は頑張って出たり入ったりしていたのですが、そのうちに疲れ果て、湯船の脇でトドになってしまいました。
矢鱈と体力を消耗するお湯ですが、こうしてトドになっていると、実に気持ちが良い。
不思議な硫黄臭(?)も、慣れると実に心地良いです。

ちなみに、お湯を飲んでみました。
「ウゲェ、何じゃこりゃ!?」と、叫びたくなる、とても変わった味のするお湯です。
強烈な塩味と、苦味、酸味。それに硫黄臭が混じり、心なしか炭酸のような口の中で弾ける感触がありました。
およそ考えられる全ての温泉成分がミックスしたような、ワケワカンナイ味です。
温泉と言うよりは、「出来損ないのスープ」を飲んでいるような感じでした。

不思議な臭い、強烈な感触、複雑な味。
どれをとっても普通じゃない、とても特徴的なお湯でした。

なお、大浴場から出た後、男女別の小浴場にも入ろうと思ったのですが、何故かこちらには3人ほどの先客がおり、一杯で入れませんでした。
大浴場はガラガラだったのに・・・
お湯は同じものらしいので、こちらには入らずに次(湯ノ沢山荘)へ行きました。

<2005年 5月 2日 - 初訪問時のレポート>

2006年5月3日再訪

1年ぶりに再訪。
いやぁ、相変わらず素晴らしいお湯です。
個人的には文句無く★5つなのですが、是非とも宿泊してからその判断をしたく、評価は初回訪問時のまま、据え置きにしました。

2012年 8月 5日 - 宿泊

3箇所の宿があり、そのいずれも超濃厚、超個性的だった津軽湯ノ沢温泉。
私が大好きだった温泉地なのですが、最初に湯の沢山荘が廃業。続いてなりや旅館。
ここ秋元温泉はその3箇所の中でも唯一残って営業していた温泉なのですが、遂に廃業が決まってしまいました。
その知らせを聞き、これまで何度か立ち寄りでの入浴はしておりましたが、最後だけでもと宿泊をする事に。

いつ来ても凄いお湯でしたが、この日も相変わらず、凄いお湯でした。
私は全国そこそこ温泉回ったつもりでいますが、このお湯程に濃くて特徴的な所を他に挙げろと言われて、思いつくのは同じく湯ノ沢温泉のなりやくらいでしょうか。
秋元温泉を最後に湯ノ沢温泉が全滅してしまった事は、日本の温泉にとって、大きな打撃だとすら考えています。

帰り際に女将さんとお話をした際、冗談半分で「この温泉を買い取りたい」と申し出たところ、女将さんも冗談半分だとは思いますが、「売ってあげる」と仰いました。
私にお金があれば、買い取ってでも存続させたい宿でした。

いつの日か、再びこのお湯に会える事を祈っております。

パソコンの中のデータを整理していたら、宿泊した際に一眼で撮った写真が出てきました。
折角なので、編集で色を少し弄って派手目にした写真を追加します。

こうして改めて写真を見ると、もうこの秋元温泉に入れないと言う事が信じられないですし、もう秋元温泉に入れないと思うと悲しくてなりません。

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