共 同浴場 鹿の湯(那須湯本温泉)
★★★★
4.0

最終入湯日 : 2005-11/23
訪れた回数 : 3回

場 所
栃木県那須郡那須町湯本51
泉質
酸性硫黄泉
風呂の種類
男女別・内湯
電話
0287-76-3098
料金
日帰り・400円

− 那須温泉 −

温泉好きでなくとも、「那須」の名前は聞いたことがあると思います。
明治の時代には那須七湯とも言われ、それぞれ「鹿の湯」「弁天温泉」「北温泉」「大丸温泉」「高雄温泉」「板室温泉」「三斗小屋温泉」を指す。いずれも名 湯と名高い。
周辺には温泉だけでなく、娯楽施設やレストランなどが数多くある高原リゾート地。




那須湯本温泉にある、共同浴場「鹿の湯」。2004年12月5日に利用して参りました。
鹿の湯の源泉から引き湯している「雲海閣」には、この日の時点で既に2度宿泊している
のですが、肝心の鹿の湯共同浴場には一度も行ったことがありませんでした。
那須温泉=鹿の湯と連想される方も多い、那須を代表する温泉施設です。

この日の未明から明け方にかけ、季節はずれの台風(通過時には低気圧でした)が日本
列島を縦断しました。太陽が昇る頃にはすっかり晴れ、12月にも関わらずかなり暖かい
陽気となったのですが、台風の影響か、車の数が普段より圧倒的に少なく、混雑知らずで
順調に那須へ向かう。
鹿の湯は常に混むと聞かされていたので、「今日は観光客の数も少なそうだし、空いて
いるかな?」という、淡い期待を抱いたのですが、駐車場に着いた瞬間、その期待は打ち
砕かれました。
駐車場は既に満車で、入る混むスペースがありません。幸いちょうど良いタイミングで出て
行く人がいたので、あまり待たされる事が無かったのですが、人手の多さにいきなり
驚かされます。

鹿の湯施設内に入ると、既に入り口の段階でかなりの人が溢れています。
受付を済ませ、浴場までの短い廊下を歩くのですが、そこにも人だかり。廊下に弁当を広げ、
昼食を取っている中年グループを横目に、脱衣所へと向かう。
脱衣所は簡単な籠があるだけの簡素なものでした。一応浴室と段差で区切られているの
ですが、仕切りがないのでお互いに丸見えです。ざっと見たところ、脱衣所に5人、浴室に
25人くらいの人がいました。まるで芋洗い状態です。
誰も使っていないと思われる籠に洋服を丸めて放り込み、いざ入浴!

脱衣所から歯行ってすぐの所に、打たせ湯と人が入るには随分と浅そうな浴槽が一つ
あります。どうやらこれは頭から湯をかぶる為のモノらしい。かなり熱めだけれども新鮮な
湯で、頭からかぶり、掛け湯代わりに使わせてもらう。
ここ、鹿の湯には、41〜44度、46度、48度と、それぞれ温度の違う6つの浴槽があります。
(女性用には48度が無く、合計5つの浴槽があるとの事です。)

まず手始めに一番温い41度のお湯に入る。泉質は雲海閣と同じ、白濁酸性硫黄泉です。
一番温い浴槽ですが、元々ぬるいのが好きな私にとって、これくらいがむしろ適温です。
本当はここでゆっくりしていたかったのですが、かなりの人ごみで、ひっきりなしに色んな
人が出入りしていて落ち着かなかった為、空いていた44度の浴槽へ移る。
こちらのお湯は、湯が新鮮な為か、41度に比べると若干透明感のある濁り方をしています。
折角来たのだから、48度のお湯にも挑戦してみようと思ったのですが、地元の常連と思わ
れる人達が集まり、何だか入りにくい雰囲気があった為、結局入りませんでした。
某掲示板で散々悪口を言われていた常連達ですが、この日は他の観光客と談笑していた
り、あまり悪い人達には見えませんでした。ただ、お湯に湯花を追加していたり、ホースを
持ってきて源泉をドボドボ投入してみたりと、噂通りの傍若無人ぶりでしたが・・・
(ついでに、その常連達、観光客相手に湯をかき回すパフォーマンスをしてみたり、温度計
を差し出して48度の熱いお湯を誇示したりしていましたが、少なくとも私が隣の44度浴槽に
いた30分位の間では、誰一人として湯に入っていませんでした。)


お湯は噂通りに天下一品な鹿の湯。湯治場の作りもとても良く、地元の常連の人達とも
仲良くなれれば結構楽しい所かも知れません。
ただ、あまりに人が多すぎ、正直落ち着かないのも事実。設備は劣っても、ゆっくり出来て
若旦那の人柄が良い雲海閣の方が私の好みです。
と、言う事で、世間の絶賛にも屈せず、星は雲海閣より0.5個少ない4.0個。




(2005.4.9 再訪 追記)


前回入浴出来なかった48度の浴槽に入るべく、鹿の湯に再訪。

前回は熱すぎで入る気がしなかった48度のお湯ですが、「飯坂温泉 大門の湯」の47.5度や、
大門の湯以上に熱く感じた「塩原新湯温泉 寺の湯」の熱い方の浴槽など、熱湯の経験を
それなりに積んできたので、多分大丈夫だろうという、ちょっとした自信がありました。

この日の鹿の湯は、前回よりもやや人が少なめ。しかし、それでも結構な人が来ており、
相変わらずの人気の高さを窺えます。
脱衣所で人ごみを掻き分けながら服を脱ぎ、まずは、入ってすぐの所にあるかぶり湯をする。
以前、鹿の湯の常連と思われる老人がやっていたように、頭にタオルを巻き、持参の桶で
湯を掬い、ざばっと頭に掛ける。
うおぉぉぉーーー! 強烈に熱い!これは確実に火傷する温度だ!
悲鳴を上げることを我慢しながら、お湯の温度を測ると、なんと54度。
「こんな熱湯かぶれるか!」と、憤りを感じながら、それでもすぐに立ち去るのは悔しいので、
少量づつ掛け湯をし、その後、42度の浴槽へ入る。
ふぅ。やっぱり温泉はこうでなければ。

さて、落ち着きを取り戻した後、いよいよ今回の戦いの場所、48度の浴槽へ向かう。
目標捕捉。常連らしき人物3人。いずれも砂時計と飲み物を用意して来ているツワモノどもだ。
いきなり48度に入るのは健康にも悪いと思い、48度の隣にある46度で様子を見る。
うーん。これはこれで、なかなか熱い。温度計で測ると、ピッタリ46度。でもまあ、この程度ならば
全然余裕。しかし、ここで余分な体力を消耗する訳にもいかず、早々に出る。
48度の浴槽へ移動し、常連の一人に、「入ってみても宜しいですか?」と聞く。「お好きにどうぞ」
「まだ汗を掻いているな? もう少し休んで、この人の次に入りなさい。」と、そっけない返事。
食い下がって色々と話し掛ける。「熱いと言う事で有名ですよねー」「僕に入れますかねぇ?」
と聞くと、「慣れているから平気だよ」「若いうちには熱い湯に慣れない方が良いぞ。」と、無愛想な
お言葉。正直なところ、とっつき難いお方です。しかし、悪い人では無さそうです。

待つことおよそ5分。いよいよ自分の番が来ました。足先を中心にしっかりかけ湯をし、いざ入浴。
気合を入れて、一気にざぶんと入る。
うーん。熱い。しかし、入れぬ温度では無い。熱さに耐えながらじっとしていると、常連のオジサン、
「3分間入ってみるか?」と言って、砂時計をひっくり返した。
浴槽の中には私一人。それを見守る常連3人。これは私と常連の戦いです。
熱さに必死に耐えながら、時間が過ぎるのをただひたすら待つ。時間が経つごとに、熱さは
どんどんと増し、足先やふくらはぎを中心に、熱さを通り越した痛みが伝わってくる。
砂時計は私の後ろ、見えない場所にある。今どれくらい経っただろうか、確認してみようにも、
動くと熱さが更に増すので、振り返る事も出来ない。
「負けられない」「いや、でも熱い」「今出たら格好悪い」「しかし、もう耐えられない!」
ほんの僅かな時間にも関わらず、色んな思いが交錯する。

・・・気が付いたらお湯から逃げるように飛び出していました。
出てから砂時計を見ると、まだ1/3程残っている。
「やっぱ熱いです。」「1分30秒位ですか?」と聞くと、おじさん、「2分だな。」と、淡々と答える。
「ホレみろ。都会モンの若造には無理だって。」と、オジサン心の声が聞こえたような気がする。
自信あっただけに口惜しい。「このお湯、48度以上あるんじゃねーか?」と思い、温度計で測ると、
矢張り48度ピッタリを指している。うーん。3分間という短い時間が、途方も無く長く感じた。

さて、その後、諦めきれない私は、そこから立ち去る事が出来ず、48度の浴槽脇で他の人の
観察をする事にした。
常連が一人入る。私は「飛び出せ!」と祈る。しかし、涼しい顔をして3分間入った後、悠々と
出てくる。次に、私の隣にいた、砂時計をひっくり返してくれたオジサンと、もう一人が一緒に入る。
二人とも同じタイミングで入り、同じタイミングで出る。
私の負けを改めて思い知らされる。が、しかし、同時に攻略の糸口も見つけた。
まず、みんな、お湯を揺らさないようにゆっくりと入る。いきなりざぶんと入った私とは違い、とても
上品な入浴の仕方だ。それに、いきなり肩まで浸からない。最初は5cm位肩を出した状態で15秒
程待ち、次第にゆっくりゆっくり沈んでいく。
次に、手をお湯の中に入れない。それぞれが湯もみ板の上に乗せたり、お祈りをするように合わせ
たりしながら、お湯の外に出している。
「次こそはいけるかも知れない」と思い、「もう一度挑戦して良いですか?」と聞いたら、相変わらず
「どうぞ」とそっけなく返事をしてくれた。

砂時計のオジサン、「じゃ、あの人と一緒に入ると良いよ。」と、今来たばかりの常連とらしき人を
指差す。今来たばかりの人、「こいつ大丈夫か?」というような顔で私の事を見る。すると、オジサン、
「さっき2分入ったよ。」「色んな人が入ってお湯も温くなっているし大丈夫でしょう。」と言ってくれた。
たったの2分とはいえ、入れた事を認めてくれているかのような言葉に、ちょっと嬉しくなる。

さて、第2ラウンド。今度はゆっくりと入り、手も外に出す、常連を真似た入り方をしてみた。
今回は自分ひとりでなく、隣に人がいるので、熱くても湯を揺らして逃げ出す事が出来ない。
暫く入っていると、再びふくらはぎと中心に痛みが伝わってくる。しかし、今回は初回と違い、そこまで
耐えれないほどではない。
一緒に入った常連さん、「ちょっと温いな。47度位か?」とか言いながら笑っている。私は、「いや、それ
でも熱いっす・・・」と返すのがやっと。愛想笑いしようにも、湯が揺れて熱いのでそれすらままならない。
砂時計を睨み付けながら、ひたすら時間が過ぎるのを待つ。
砂時計の砂が落ちきる頃、まだちゃんと湯船の中に入っている自分がいました。「やった、達成!」
一緒に入っていた常連さんと目配せをし、一緒に出る。
「うわー、熱かったです!」「でも、入りきれて良かった!」
一人感動し、興奮する私を他所に、砂時計をひっくり返してくれたオジサン、「あっそう」って感じで
相変わらず反応が悪い。誉めてくれる訳でも、貶す訳でも無い。他人の入浴なんか、どうでも良いと
言うような素振りだ。まあ、「おめでとう!よくやった!」と言って、満面の笑みで祝福されても違和感
を感じるので、当たり前と言えば当たり前の反応なのだが・・・ ちょっと寂しい。

オジサン、「温くなっているからお湯を足すよ」と言い、湯口を全快にする。
まるで、私が3分間耐える事が出来たのは、温くなっているお湯のせいだと言わんばかりです。
しかし、48度の「湯船」で3分間耐えると言う、当初の目的は達成した訳で、とりあえずの所は大満足。
恐らく廊下で待っているであろう彼女の事も気になり、帰ることにした。
立ち去る時、「お邪魔しましたー」と言うと、常連さん方、一応に返事をしてくれました。
都会モンの若者を、少しは見直してくれたかな?
(かえって評判悪くしたかも知れんが・・・)


唐突ですが結論。

48度の湯に入るのは、私のような物好きか、常連とお近付きになりたい人以外、辞めた方が良いです。
熱かったという思い出と、「入ってやったぞ、コンチクショー!」という、妙な達成感しか残りません。
純粋にお湯を楽しむのであれば、42度位でまったりしているのが正解だと思われます。